F1開幕戦で号泣ハジャー、マルコから辛辣コメントも「問題ない」。一方でハミルトン家やファンからの“愛”に感激

フォーメーションラップのスピンでレースをリタイアするという無念極まりない形でF1デビュー戦オーストラリアGPを終えたアイザック・ハジャー（レーシングブルズ）は、パドックで涙を見せたことが反響を呼び、それが多くの人々の目に留まった。そこには温かい声援もあれば、辛辣な言葉もあった。

予選ではQ3進出まであと少しというところまで迫り、ルーキー最上位のグリッドを手にするなど素晴らしい週末を過ごしていたハジャーにとって、些細なミスでレースすら戦うことができなかったという状況は大きな衝撃だった。モーターホームに戻る途中、ヘルメットも脱がず、途方に暮れていたハジャーを慰めたのはルイス・ハミルトン（ハミルトン）の父、アンソニーだった。

一方、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコはハジャーがその時見せた涙は「恥ずかしい」ものであったと厳しいコメントを残した。ただハジャーはマルコのコメントを冷静に受け止めている。

「自分でも恥ずかしいと思っているよ」とハジャーは言う。

「その翌日ヘルムートと電話で話したし、何も問題ない。彼のことは何年も前から知っているし、彼のやり方には慣れている」

「彼は（当該のインタビューで）ドイツ語で話していたし、解釈の違いもある。映像を見たわけではないから表情やボディランゲージも分からないし、多くは語れない。でもそれとは別に、ファンや多くの人たちからたくさんの愛をもらうなんて、クラッシュしたときには全く予想できなかった。すごく嬉しかった」

「月曜日にはかなり気持ちが楽になった。特に連戦ということで、1ヵ月も引きずらずにすぐ次に挑めるのはありがたい」

ハジャーはまた、アンソニー・ハミルトンからかけられた言葉を明かした。そしてその息子であり7度のF1王者であるハミルトンからも励ましのメッセージを受け取ったという。

「彼（アンソニー）は、ルイスが2007年の中国GPでピットレーン入口にマシンを止めた時のことを思い出したと言っていた」

「アンソニーとそんな時間を共有できたのは素晴らしい瞬間だった。僕のアイドルの父親だからね。それに、その日のうちにルイスからもメッセージをもらった。本当に気遣いのある素晴らしい人たちだ」

ハジャーと共に記者会見に同席していたウイリアムズのアレクサンダー・アルボンも、かつてはレッドブル系チームで戦ったドライバー。ハジャーのパフォーマンスには感銘を受けていたという。

「僕はあれ（ハジャーのスピン）を大きな挫折とは思っていない」とアルボンは言う。

「アイザックはF1キャリアの素晴らしいスタートを切った。実際、オーストラリアのようなルーキー全員にとって難しいサーキットで、ペースが驚くほど良かった。彼のスタートは順調だったし、今シーズンを通して注目すべき存在になるだろうね」

その意見にはレーシングブルズのローレン・メキーズ代表も同意しており、motorsport.comに対して次のように語った。

「もちろん、彼を励ますことが我々の役目だ。あの週末は完璧だったのに、あの難しいコンディションでの出来事だけでそれをなかったことにするつもりはない」

「経験豊富なドライバーでさえ、あの状況ではミスを犯していた。私が一番残念なのは、彼が必要な走行距離を得られなかったことだ。でも全力でサポートし、気持ちを切り替えて、次の中国GPに向けてベストな準備をする」

Comments

[tot********]

F1は実力だけでは評価されない厳しい世界ではあるが、かつてターミネーターと呼ばれた皇帝ミハエルシューマッハでさえアイルトン・セナの勝ち星に並んだ際のインタビューで人目もはばからずに号泣したことがあった。
勝つことに手段を選ばないと云われターミネーターのようだ(人ではない)と称されたミハエルの人間臭い心の葛藤やライバルであったミカ・ハッキネンがシューマッハの肩に手をまわし彼を労った姿は実に人間味に溢れ厳しい世界で戦う者同士が血の通った一幕を見せたシーンは感動もので今でも忘れない！
今回、アイザックの悔しい気持ちを理解し励ましたハミルトン家もまた紆余曲折を乗り越え栄光を手にした者だからこその人間味に溢れているのだと感じる。
素晴らしいじゃないか！

[kam********]

プレッシャーがかかると人はなかなか本来のパフォーマンスを発揮できない。新人ならば尚更だ。ハジャーには大きな期待が寄せられていた。
　アンソニー・ハミルトンの優しい思いやりは、逆にハミルトン親子がF1界でどんな逆風の中で戦ってきたのかが推測される。
　ルイス・ハミルトンの強さは、逆境の中を這い上がることでも培われてきたのだろう。金も名声も手にした今、フェラーリでもう一度情熱を燃やし、こうした新人の目標、手本であり続けて欲しい。