はじめに
1972年にメルセデス・ベンツがはじめてSクラスの名を用いたモデルから数えて、この自称・世界最高のクルマは7代目となった。当然ながら、歴代モデルが登場時にそうだったように、これは最先端のメルセデスだ。
【画像】写真で見るメルセデス・ベンツSクラスとライバル 全16枚
いや、はたしてそうだろうか。というのも、今回ははじめて、このシュツットガルトのフラッグシップサルーンに、身内のライバルがいるからだ。もちろんEQSのことだ。Sクラスにできることはすべてできるように造られ、さらに完全電動化されたモデルである。
これは政権交代のときなのだろうか。おそらくはそうだろう。また、それだけで記事を1本作る価値のある話だ。
それまでは、開発主任のユルゲン・ワイシンガーが「投資の点では、これに迫るモデルはない」というこのクルマが、まだトップの座を譲らないものとしておこう。ラグジュアリーさや静粛性はいまだプライオリティの最上位にあるが、デジタル化とコネクティビティも、EQSには及ばないまでも、きわめて僅差だ。
新型Sクラスは、ドライバーの操作なく完全自動運転できるポテンシャルを持った初のメルセデスだ。たとえパーキングのような閉鎖空間に限られるとはいえ。OTAでのソフトのアップデートも可能で、メルセデス指定のアイテムを家に備えていれば、MBUXスマートホームを介して、自宅の室温や照明、ブラインドの開き具合まで車内から確認し、音声認識で操作することもできる。
便利かと問われれば、多分そうとはいえない。しかし、メルセデスがSクラスに技術的に新たな道筋をつけようとしていることはよくわかる。
どれもすばらしいことに思えるが、先代にあった走りの完全な洗練性が受け継がれていなければ、それも無意味だ。目的地に着いたとき、乗り込んだときよりも休まり、むしろ元気なれる、クセになりそうなクルマでなくてはいけない。
ロールス・ロイスよりは安い価格で買えるうちで最高のサルーンというポジションを、今回も主張する必要があるのだ。それも、どんなに地味なロールスよりも人目につかないという利点を備えた。
それらをすべてふまえて、W223型Sクラスのロードテストを進めていこう。はたして、新たな高みに達したのか、それとも、水準が落ちてしまっているのか、確認してみようではないか。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
スリムなヘッドライトとソフトな曲線により、新型Sクラスは先代ほどけばけばしくない外観だが、じつはホイールベースの長短を問わず、サイズアップしている。オーバーハングは短縮されているので、全長の延長分はホイールベースに充てられている。また、全高も増している。ドアミラーを含む全幅は21mm狭くなったが、トレッドは前後とも広げられた。
今回テストしたS580e Lの全長は5320mmで、競合するBMWやアウディと同等だが、ロールス・ロイス・ゴーストの5546mmにはまだ届かない。ボディシェルのアルミ比率は増えているが、100kmのEV走行を可能にする28.6kWhのバッテリーを積むこともあり、車両重量は2385kgに達する。
パワートレインはガソリンもディーゼルも、英国ではすべて直6ターボのみのラインナップとなった。しかし、4.0LのV8マイルドハイブリッドも開発中だといわれる。また、S580eがそうであるように、6気筒ガソリンには電気モーターを組み合わせて500psオーバーとした仕様も存在する。
いずれのモデルも、トランスミッションはメルセデス内製の9Gトロニックこと、トルクコンバーターATを搭載する。9速はオーバードライブで、高速道路巡航時のエンジン回転数を1600rpm程度に低く保つ。
エントリーグレードのS350dを除けば、四輪駆動も標準装備。オプションでは、四輪操舵も選択できる。リアサスペンションに用いる鍛造アルミのリンクは、このシステムのために開発された。4WSの装着により、ロングホイールベースモデルは回転直径が2mほど縮小される。
リア周りでは、サブフレームキャリアとストラットのゴムブッシュが、静粛性改善のために新開発された。エアスプリングは標準装備で、ADS+アダプティブダンパーを組み合わせて、四輪を独立制御する。速度が上がると、ドラッグを減らすために地上高が自動的に10mm低くなるが、もっともスポーティな走行モードにすると、さらに7mmダウンする。
テスト車には装備されていないが、E−アクティブボディコントロールというデバイスも存在している。これは、旧Sクラスで導入された油圧作動のマジックボディコントロールの発展版で、カメラでスキャンした路面の情報をもとに車体のピッチやリフト、ロールを抑えるシステムだ。マイバッハ仕様には標準搭載されるが、ほかのバージョンにはオプションでも用意されない。
内装 ★★★★★★★★★☆
デジタル化をさらに推進しながら、慣れ親しんだ妥協ないほど贅沢なラウンジ的雰囲気とも両立するという高いハードルを自らに課して、メルセデスはSクラスのキャビンを作り上げた。大部分においては、そうした要素のブレンドに成功している。
ダッシュボードの表面的なデザインはとくにいい感じで、キャビンはおおむね先代より広く感じられるが、マテリアルのリッチさや全体的なソリッドさ、守られている感じは犠牲になっていない。
あらゆる面でA8の冷たい雰囲気の上を行き、美しい構成の区切り方で7シリーズに勝る。ベントレー・フライングスパーには、手触りやセンスで及ばないにしても、視認性や開放感では上回っている。
暗くなっても、アンビエントライトが華を添え、状況はよくなるばかりだ。色調と明るさが調整でき、キャビンをラグジュアリーで洗練された空間に演出してくれるそれは、大成功だといえる。
その体験を高めるのがシートだ。前席は深く身体を囲む形状でありながら広さがあり、サポート性を持ちながらソフトだ。こんなバランスのよさはめったになく、いかなるクラスのクルマをも凌ぐ。また、マッサージ機能は10のプログラムが用意される。
後席はすばらしいというほかない。とくにロングボディはそうだ。左右席は電動調整機能が備わる。テスト車に装着されていたショーファーパックは、可動式フットレストが含まれ、助手席のスライドも前倒しも、通常より幅が大きくなる。また、電動ブラインドにより、外界から遮断できる。
ただし、問題点がまったくないかといえば、そうとはいえない。ほとんどすべてのスイッチをセンターディスプレイに統合したことは、エアコンのセッティング変更を必要以上に困難にしている。
また、残された実体スイッチの中には、チープに感じられるものもある。ドアミラーの調整部はそのひとつで、エンジンスタートボタンも同様だ。
さらに、ディスプレイの大きさは、中央の送風口をダッシュボードの上のほうへ追いやり、手が届きにくい。そのほか、ドアに設置された電動シートの操作スイッチは、手触りに満足できず、妙に硬くて扱いにくい。
たしかにどれも些細なことだ。とはいえ、せっかくほかのよくできた部分が高級感を醸し出した努力に、水を差しているのもまた事実なのだ。
走り ★★★★★★★★☆☆
すべてのラグジュアリーなサルーンがそうであるように、有り余るパワーとパフォーマンスは、必要だからほしいのではなく、それに日々無関心で乗っていられるために求められる。S580eの、510psを発揮するプラグインハイブリッドシステムは、その点で申し分ない。
ローンチコントロールは装備しないが、そもそもそんなものは必要ないだろう。それでも0−97km/h加速は5.2秒をマークする。さらに現実的な動力性能がいかに力強いかを示すのが、48−113km/hのタイムだ。シフトチェンジありでは4.2秒、4速固定でも6.3秒で、これはかなり速いホットハッチであるアウディS3を余裕で退ける。
しかし、本当に注目すべきはタイムではなく、このパフォーマンスの性質だ。電気モーターの大トルクに助けもあって、直6ターボは穏やかに回る傾向にある。また9速トランスミッションは、必要とあれば1600rpm程度で、そうとは感じさせないような変速をする。
それも、もしエンジンが回っていれば、という話だ。A8や7シリーズのPHEVに関しては、EV走行についてはほとんど机上の空論だが、S580eの駆動用バッテリーはスペック表の100kmはともかく、72km程度は実際に走れるだけの電力を持つ。
バッテリー電力のみを用いるEVモードと、内燃機関とモーターを器用かつ効率的に使い分けるハイブリッドモードを選択することもできる。驚いたのは、そこそこ素早く加速するときと、一定速での巡航時以外にはほとんどエンジンを使わないことだ。
また、回生ブレーキもうまく活用するが、その制御にはナビと、道路標識や先行車を検知するセンサーのデータが利用される。その使い方がなめらかなので、全面的な信頼を寄せるようになるまでに長い時間はかからない。
ほかに長所を挙げるならば、モーターとエンジンのレスポンスの調整具合だ。歯切れのよい加速は、動力系の電動部分と、そこへ必要に応じてシームレスに介入するエンジンによるものである。パワーデリバリーが遅かったり、不快なほど過敏だったりすることは一切ない。それは追い越し加速のようなときも、低速で取り回すときも変わらない。
ただし、停止する手前で多段シフトダウンするようなときに、トランスミッションがギクシャクと作動することがあるのが玉にキズだ。それ以外がおもしろみがないくらい円滑なので、小さいながらもぎこちないところがあるのはうれしくない。
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
インフォテインメント
MBUXインフォテインメントシステムの操作を行うセンターの傾いたタッチ式ディスプレイは、無駄に大きすぎたり、写真で見て思ったほど集中力を削ぐものでもない。
むしろすばらしく鮮明なディスプレイで、直感的なメニューが並び、配置された高さも適切。Android AutoとApple CarPlayの統合にも非常に都合よくできている。リアのアームレストには7.0インチのタブレットも組み込まれ、上位グレードは前後にワイヤレス充電器や、8つものUSB−Cポートも備える。
当然というべきか、エアコンなども含め、実体スイッチは少ない。その点については、7シリーズのiDriveのほうが、走行中でも直観的に操作できる。
いっぽうで、音声認識は自動車業界全体をみても最先端を行っている。また、ヘッドアップディスプレイは、ARナビゲーションの情報を効果的に伝えてくれる。
燈火類
Sクラスは、デジタルライトとマルチビームLEDヘッドライト、アダプティブ機能を標準装備。光は遠くまで届き、クリアで、他車の眩惑対策も問題なし。不満なし。
ステアリングとペダル
配置はエクセレント。ドライビングポジションのアジャスト性も同じく。率直に言って、これよりいいクルマはほとんどない。また、フロントシートの形状は一級品だ。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
これほど長くて重い車体でありながら、ここまでハンドリングが整ったクルマを、このSクラス以外に見つけるのは難しい。デフォルトのコンフォートモードでは、シャシーのセッティングはゆったりとして確実性重視だ。走行ラインを決めるのがイージーで、ロールは比較的抑えられていないが、常に安定していてコントロールが効く。
ステアリングフィールはまったくないが、アシスト多めのラックは気楽さとレスポンスのバランスがほどよいギア比に設定されている。実際より100kg以上は軽いクルマを操っているように感じさせてくれるのだ。
よりスポーティな方向にモードを切り替えると、ステアリングは重くなり、パワートレインは活気を増し、サスペンションはボディコントロールをタイトにする。そのときのS580eは、じつに目を見張るような走りを見せてくれる。走り出したときには思いもよらなかったような、上質さと落ち着きがそこには感じられるのだ。エレガントなPHEVでスポーティさを兼ね備えるものはめったにないが、このSクラスは速く走らせてもよくできたところをみせる。
だからといって、新型Sクラスがフライングスパーや7シリーズに肩を並べるようなハンドリングを発揮するスポーツサルーンだ、というわけではない。車体のロールも浮き沈みも、運転に退屈しなような道に入ればベントレーやBMWより大きくなるし、一般的に大型サルーンのドライビングを満足できるものにしてくれる、わかりやすいシャープさは感じられない。
シャシーバランスは、競合するベントレーやBMWより明らかにフロントヘビー傾向が強い。後輪駆動のライバルたちがテールを沈めて走るところを、このメルセデスはニュートラルに走り、タイヤの限界を超えると完全にアンダーステアへ転じる。とはいえ、そこまで達することはまずないだろう。ウェットコンディションでさえ、そのグリップとトラクションは最上級だからだ。
全体的にみて、このSクラスはショーファードリブンなら満足できるが、オーナードライバーであれば、ベントレーやBMW、さもなければアルピナB7を選んだほうが、より優れた、楽しい走りを味わえるだろう。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
新型Sクラスの静粛性はどの程度か。その方面で最高峰にあるロールス・ロイス・ゴーストと比べると、立派に善戦しているが、脅威になるほどではない。アイドリングの静けさでこそ勝っているが、48km/hでは3dBA、高速道路巡航時では4dBAの差をつけられている。
つまり、S580eのキャビンは並外れて静かで穏やかな空間ではあるものの、クラストップの洗練性にはまだ届かない。6気筒エンジンの性質についていえば、控えめで貴族的というより、スムースで朗々たるサウンドを響かせる。言い換えるなら、ほどよく上質な部類に入るが、昔ながらの洗練性に照らして頂点に立つといえるほどではない、ということだ。
同じことは、乗り心地にも当てはまるといっていいだろう。予想どおり、エアスプリングと長大なホイールベースによって、ゆったりとした走りはすばらしくなめらかだ。しかし、荒れた舗装からの突き上げはもっと抑えられていて然るべきだ。先代Sクラスの登場時には、スリッパを履いたようにソフトな乗り心地に驚かされたが、この新型はそこまでではなかった感じだ。
にもかかわらず、7シリーズより洗練された乗り心地で、A8よりも一枚上手だ。もしもE−アクティブボディコントロールが採用されれば、その水準はかなり高まるだろう。いっぽう、ホイールはテスト車が履く20インチのほか、オプションで21インチも設定されるが、それを選ぶのはやめておいたほうがいい。
マテリアル的な心地よさは、このクルマで一番の強みだろう。Sクラスの深いバケット風シートと、ゴーストのもっと立派だが飾り気のないシート、一日中座っているならどちらを選ぶかと問われたら、われわれは迷わずメルセデスのほうを取る。
比較すればSクラスのほうが目立たず、操縦系は見慣れていて、全方位の視認性が優れているということも、落ち着いて乗っていられる要因だ。間違いなく、ロングホイールベースのリムジン的なモデルで、これほど運転しやすいものはない。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
非ハイブリッドのSクラスより、S580eを選びたい理由はいくつかある。カンパニーカーとしては、税率が低いことが挙げられる。また、日常使いに十分なEV航続距離は、燃費面でも有利だが、ショーファードリブンとして使う場合には、後席のVIPが静かなキャビンで快適に過ごせることも見逃せないメリットだ。
PHEV仕様のA8や7シリーズは、近くモデルチェンジする見込みではあるものの、現状ではSクラスにEV走行距離で及ばない。そこで肩を並べるクルマとしては、新型レンジローバーのP440eくらいだろう。
また、同郷の競合サルーンたちより高価だが、残価予想はそれらのライバルをかなり上回る。同じくらい豪華なインテリアのクルマであれば、ハイブリッドに限らずどの仕様でも、レンジローバーのほうがSクラスを脅かす強敵となるだろう。
スペック
レイアウト
新型Sクラスは、大幅に改修されたモジュラー・リア・アーキテクチャー(MRA)がベースで、アルミが多用されている。エアサスペンションは標準装備だ。
エンジンは、今のところ直6のみのラインナップだが、マイバッハ仕様にはV8やV12が搭載される見込みだ。テスト車のウェイトは2530kgで、前後重量配分は46:54とリアが重いが、これはおそらくロングホイールベース版であることも一因だ。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:直列6気筒2999ccターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×92.4mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:367ps/5500~6100rpm
最大トルク:51.0kg-m/1600~4500rpm
エンジン許容回転数:-rpm
ハイブリッドアシスト:永久励起同期モーター
モーター最高出力:149ps
システム総合出力:510ps/5500~6100rpm
システム総合トルク:76.5kg-m/1600~4500rpm
馬力荷重比:214ps/t
トルク荷重比:32.1kg-m/t
エンジン比出力:122ps/L
ボディ/シャシー
全長:5320mm
ホイールベース:3216mm
オーバーハング(前):896mm
オーバーハング(後):1208mm
全幅(ミラー含む):2120mm
全幅(両ドア開き):3920mm
全高:1503mm
全高:(トランクリッド開き):1900mm
足元長さ(前席):最大1190mm
足元長さ(後席):860mm
座面~天井(前席):最大1000mm
座面~天井(後席):930mm
積載容量:505L
構造:スティール/アルミモノコック
車両重量:2385kg(公称値)/2530kg(実測値)
抗力係数:0.22
ホイール前/後:9.0Jx20/10.0Jx20
タイヤ前・後:255/40 R20 101Y/285/35 R20 104Y
ブリヂストン・トランザT005 MO-S
スペアタイヤ:なし(ランフラット)
変速機
形式:9速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.35/9.3
2速:3.24/15.4
3速:2.25/22.4
4速:1.64/30.7
5速:1.21/41.5
6速:1.00/50.4
7速:0.87/58.1
8速:0.72/70.2
9速:0.60/83.7
最終減速比:2.65:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:14.5km/L
ツーリング:13.1km/L
動力性能計測時:12.2km/L
EV航続距離:72km
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:125km/L
EV航続距離:100km
燃料タンク容量:75L
駆動用バッテリー:28.6/21.5kWh(総量/実用量)
現実的な航続距離:約987km
CO2排出量:17g/km
サスペンション
前:マルチリンク/エアスプリング、スタビライザー
後: マルチリンク/エアスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.3回転
最小回転直径:12.5m
ブレーキ
前:350mm通気冷却式ディスク
後:278mmディスク
制御装置:ABS、EBA、EBD
ハンドブレーキ:電動、ダッシュボード・運転席左側にスイッチ配置
静粛性
アイドリング:38dBA
全開時(4速):74dBA
48km/h走行時:54dBA
80km/h走行時:59dBA
113km/h走行時:62dBA
安全装備
ABS/EBD/ESP/LKA/LCA/TSR/CTA/ABSM/ASA/ACC/PSIC
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温8.5℃
0-30マイル/時(48km/h):2.3秒
0-40(64):3.2秒
0-50(80):4.1秒
0-60(97):5.2秒
0-70(113):6.5秒
0-80(129):7.9秒
0-90(145):9.8秒
0-100(161):11.9秒
0-110(177):14.2秒
0-120(193):17.1秒
0-130(209):20.7秒
0-140(225):25.0秒
0-402m発進加速:13.6秒(到達速度:173.2km/h)
0-1000m発進加速:24.4秒(到達速度:222.9km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ロールス・ロイス・ゴースト
テスト条件:乾きかけ路面/気温9℃
0-30マイル/時(48km/h):2.0秒
0-40(64):2.8秒
0-50(80):3.6秒
0-60(97):4.7秒
0-70(113):5.8秒
0-80(129):7.0秒
0-90(145):8.5秒
0-100(161):10.3秒
0-110(177):12.3秒
0-120(193):14.7秒
0-130(209):17.6秒
0-140(225):20.9秒
0-402m発進加速:13.0秒(到達速度:192.8km/h)
0-1000m発進加速:21.8秒(到達速度:250.7km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.8秒(2速)/2.4秒(3速)
30-50(48-80):1.8秒(2速)/2.4秒(3速)/3.1秒(4速)/4.4秒(5速)
40-60(64-97):2.0秒(2速)/2.4秒(3速)/3.1秒(4速)/4.5秒(5速)/5.4秒(6速)/5.7秒(7速)
50-70(80-113):2.5秒(3速)/3.3秒(4速)/4.5秒(5速)/5.5秒(6速)/6.5秒(7速)/8.7秒(8速)
60-80(97-129):2.6秒(3速)/3.4秒(4速)/4.5秒(5速)/5.6秒(6速)/8.0秒(7速)/8.5秒(8速)
70-90(113-145):3.6秒(4速)/4.7秒(5速)/5.7秒(6速)/7.0秒(7速)/8.9秒(8速)/11.7秒(9速)
80-100(129-161):3.6秒(4速)/4.9秒(5速)/6.0秒(6速)/7.3秒(7速)/9.1秒(8速)/12.5秒(9速)
90-110(145-177):3.9秒(4速)/5.0秒(5速)/6.2秒(6速)/7.6秒(7速)/10.0秒(8速)/13.8秒(9速)
100-120(161-193):5.3秒(5速)/6.5秒(6速)/8.1秒(7速)/11.2秒(8速)/15.3秒(9速)
110-130(177-209):5.9秒(5速)/6.9秒(6速)/8.8秒(7速)/11.7秒(8速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温8.5℃
30-0マイル/時(48km/h):8.5m
50-0マイル/時(64km/h):24.0m
70-0マイル/時(80km/h):47.4m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.94秒
ライバルの制動距離ロールス・ロイス・ゴースト
テスト条件:乾きかけ路面/気温9℃
30-0マイル/時(48km/h):8.2m
50-0マイル/時(64km/h):22.9m
70-0マイル/時(80km/h):46.6m
各ギアの最高速
1速:57.9km/h(6200rpm)
2速:96.6km/h(6200rpm)
3速:138.4km/h(6200rpm)
4速:190.0km/h(6200rpm)
5速:249.4km/h(6010rpm)
6速:249.4km/h(4958rpm)
7速:249.4km/h(4289rpm)
8速:249.4km/h(3555rpm)
9速:(公称値):250.0km/h(2980rpm)
7速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1346rpm/1538rpm
結論 ★★★★★★★★★☆
もしもメルセデスの狙いが、デジタル化を進めて、Sクラスを新たな時代に進ませることにあったなら、新型のW223世代は成功だとみていい。
キャビンは安心できるくらいトラディッショナルでありながらアヴァンギャルドでもあり、大画面ディスプレイの範囲は他メーカーに見られるような気に触る偏りを生まないよう設られている。
アンビエントライトとコネクティビティは非常にうまくできている。エルゴノミクス面でいくつか手落ちはあるけれど、ドライバーも同乗者も、長距離をもっとも快適にくつろいで過ごせるクルマのひとつに数えられる。
いまやバカげたくらい大げさなグリルが幅を効かせる状況において見れば、Sクラスのエクステリアは比較的緻密だ。欧州車の中でも、いい意味で際立つに違いない。
とはいうものの、根本的に進歩は足踏みをしているように感じられる。S580eのプラグインハイブリッド・パワートレインは、効率とバーサタイル性でクラスの新たな基準を打ち立てたが、キャビンの静粛性や乗り心地は従来を超えるものではない。
Sクラスがロールスロイスに挑んできた路上でのマナーという点においては、今や明らかな差がついてしまった。また、来るべき新型7シリーズは、シュツットガルトの頭痛の種となるに違いない。
新型Sクラスは、すばらしく贅沢な乗り物ではある。しかし、もはや息を呑むほどではない。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーン新型SクラスのADASを詳細に説明した長いビデオを観たのだが、疑いなくこれはすばらしく包括的で、効果的で、人命を救ってくれる性能を備えたものだ。しかし、病的なほど突き詰められているわけではない。緊急ブレーキが、重要とは思えない場面で作動して、リラックスムードが台無しになることが何度かあった。
マット・ソーンダース驚いたのは、アンビエントライトが気分に影響したことだ。適切に使えば、あっという間に穏やかさが倍増するのだ。
オプション追加のアドバイス
最大の疑問は、ホイールベースの長短いずれにするべきか、だ。というのも、それによってPHEVや上級レベルの装備パッケージを選べるかどうかが変わってくるから。もっとも、日常使いするなら、19インチホイールを履くエントリーレベルのショートボディもなかなかいいクルマだ。
改善してほしいポイント
・停止する際のシフトダウンをスムースにしてほしい。現状、ギアボックスがギクシャクすることがある。
・ADASをもっと巧みに起動するようにしてもらいたい。過敏すぎるように感じることがある。
・遮音性や乗り心地は、今後も磨き続けてほしい。Sクラスは、その点が驚くほどいいものでなくてはならない。
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