2019年11月18日に世界初公開され、同日よりタイで販売を開始された三菱の「新型ミラージュ」が、2020年4月16日についに日本にも導入される。
ミラージュとしては、日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめている、直近3カ月の販売台数を見てみると、
2019年12月:159台
2020年1月 :138台
2020年2月 :162台
と好調とは言えない状況だ。
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ライバルの状況を見れば、登場初月となる2020年2月に、新型フィット:8221台(2020年2月14日発売)、新型ヤリス:3491台(2020年2月10日発売)と好調だ。フィットに関しては、旧型が混じった状態ではあるが、それでもミラージュと比べれば大きな差がある。
大幅なデザイン変更と先進安全装備の向上で、販売状況を好転させる起爆剤としたい三菱。今回は攻めの姿勢を見せた、奮起を期待したい「新型ミラージュ」の全貌をひと足お先にお届けする。また現在の三菱の販売状況から、これからの三菱の期待についても考察する。
文/遠藤徹
写真/MITSUBISHI
【画像ギャラリー】改良で男前に! 新型ミラージュと現行型を比較しながらチェック!!
■ダイナミックシールドで男前に仕上がったフロントマスク
三菱自動車は2020年4月16日にコンパクトハッチバック「ミラージュ」をマイナーチェンジし復権を目指す。
今回はかなり大幅な改良で内外装のデザイン変更、安全対策を中心とした装備の充実、ボディカラーの再編などが中心。コストアップによる値上げは車両本体ベースで2~5万円。すでに事前の予約受付を開始しているが、組み立てるタイの工場は新型コロナウイルスの影響で稼働をストップさせており、現時点での納期は2020年6月以降になる見通しである。
マイナーチェンジの内容は外観がフロントマスク、リヤのバンパー&ハッチゲートパネル、アルミホイールのデザイン変更など。フロントはグリル、ボンネットパネル、バンパーのデザイン変更でガラリと変え、見栄えをよくする。
現行型ミラージュ(日本仕様)。全長4m未満の5ナンバーコンパクトカーで1.2Lの直3NAエンジン搭載
三菱車のデザインアイコンである「ダイナミックシールド」を採り入れた新たなフロントマスク。コンパクトカーということで、デリカのようなアグレッシブさは控えめだ
フロントマスク変更で全長のみ若干伸び、全長3845×全幅1665×全高1505mm(タイ仕様)となった
ヘッドランプ回りにLEDの白色灯をラウンドさせた上級志向の顔つきとする。リヤはバンパーの意匠を変えて見栄えを良くしLEDコンビランプを採用する。15インチアルミホイールはスポーク幅を太くした新デザインで高級感を盛り込む。
内装はブラック基調でグレー&ブラックのシート地を上質な材料を採用、これに合わせた内張の仕立てとする。上級グレードには本革巻のステアリングホイールを装備する。
新型ミラージュ(タイ仕様)の内装。インパネまわりのデザインは、現行型とは変わっていない
インパネまわりは大きく変えない。ボディカラーはモノトーンのみトータル8色で従来モデルと同じだが、サンライズオレンジメタリックとホワイトパールの両有料色が、それぞれサンドイエローメタリックとホワイトダイヤモンドに入れ替わる。あとのワインレッドパール(有料色)、レッドメタリック、セルリアンブルーマイカ、クールシルバーメタリック、チタニウムグレーメタリック、ブラックマイカは継続となる。
安全対策を中心とした装備面では、自動ブレーキの停止機能速度が5~30km/hだったのが、5~80km/hに引き上げ。クルーズコントロール、オートマチックハイビーム、高速道路での車線逸脱警報装置、検知機能での歩行者追加なども搭載。法規制対応によって、10万円のサポカー補助金の対象モデルとなる。
グレードの2タイプの変更はない。上級の「G」とベーシックタイプ「M」との装備差はアルミホイール/スチールホイール、LEDヘッドランプ/ハロゲンヘッドランプ、ステアリングホイールの本革巻/ウレタンなど。車両本体価格は、「G」が156万9700円(従来モデル 151万4700円)、「M」が143万2200円(従来モデル 140万6000円)だから、それぞれ5万5000円、2万6200円の値上げとなる。
首都圏にある某三菱自動車店で、改良モデルの見積もりを取ってみた。売れ筋の上級グレード「G」(車両本体価格=156万9700円 + 有料色)にメンテナンスパック、ボディコート、フロアマット、サンバイザー、ナビ、ETCなど45万円強のオプション&付属品を付けて弾いて貰うと法定、法定外費用を含めて200万円弱と出た。
初回の値引き回答は15万円程度の提示だった。これによって改良型のミラージュは多少の人気回復を目指すことになるが、新型コロナウイルスの影響で生産が止まり、再開の目途が立っていないので先行きは不透明感が漂っている。
■コロナ禍で出だしに不安! 販売現場の思惑
●証言1:首都圏三菱自動車販売店営業担当者
引き続きタイからの輸入モデルとなるので、供給状態が悪く、出だしはあまり期待できないと受け止めている。ただ今回のマイナーチェンジはかなり大幅で外観はフロントがデリカD:5を想わせる「ダイナミックシールド」マスクを採用したりするので、見栄えがよくなっている。
生産を再開しても納期は2020年6月以降になるので、それまで待つしかない。販売が復活できるかどうかはやってみないとわからない。
街中を走っているシーンだが、ひと目で三菱車とわかるデザインで、コンパクトカーながら存在感もバッチリだ
■もう一手欲しい三菱自動車の販売動向
三菱自動車の国内販売は、軽自動車は「新型eKクロススペース/eKスペース」の投入で盛り上がっているが、登録車はモデルが古くなり苦戦を強いられている。頼みの「デリカD:5」は2019年2月15日にクリーンディーゼル車をビッグマイナーチェンジしたことで、好調な販売を続けていたが、2020年に入って2年目になり、需要一巡で頭打ち傾向にある。
2020年はミラージュのマイナーチェンジのほか、今秋から年末にかけてアウトランダーのフルモデルチェンジ、新型軽ベースの電気自動車の投入が予想され、これによって多少の復活が見込まれる。1~2年後の近い将来にはミラージュ、RVR、デリカD:5、エクリプスクロスなどのオリジナルモデルが相次いで世代交代、大幅改良、追加モデルの設定などで商品ラインアップを強化する方向にある。
三菱のラインナップで最も売れている「デリカD:5」。そろそろ販売も落ち着く可能性があり、三菱としては次の一手が欲しいところ
同クラスの日産車とのプラットフォーム、パワーユニット、各種パーツの共用化によるシナジー効果で技術レベル、クオリティアップ、コストダウンを図ることが期待される。
具体的には「ミラージュ&マーチ」、「RVR&キックス」、「アウトランダー&エクストレイル」、「デリカD:5&セレナ」との連携が見込まれる。これらによって三菱車の国内販売は大幅に増え、これまでの苦境から一気の脱出を目指すことになりそうだ。
※編集部注:三菱は日産と傘下に入ったことで、今後登場する新型モデルは日産との共同開発になることを明言している。次期ミラージュは、ノートとプラットフォームの共通化が図られると考えられており、そうなると次期型にはe-POWERやMI-PILOT といった先進技術が搭載される可能性が高い。三菱らしさをどう出すかは難しい点だろうが、商品力の高さという点では販売サイドから歓迎されるだろう。
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