最低限やっておきたい冬のバイクメンテナンス
冬の間は、路面状況を見て大丈夫なようであれば寒さを我慢して乗るというライダーがいる一方で、安全を考慮してバイクに乗らないというライダーも少なくありません。
そのように、バイクを冬の間保管しておく、いわゆる「バイクの冬眠」をさせる人にとって、保管前のメンテナンスは、春のバイクのコンディションを決める大事な作業と言えます。冬のメンテナンス次第では、春のバイクの状態だけではなく、今後のバイクの寿命にまで影響を及ぼすことも。
では冬季、バイクにはどういったメンテナンスをすればよいのでしょうか。
冬季保管の前に必要最低限やっておきたい自宅でできるメンテナンスは以下の通りです。
まずひとつ目は、メンテナンスの基本である洗車。バイク以外にも言えることですが、汚れは時間が経つほどに落としにくくなります。保管する前は、バイクをねぎらう気持ちも込めて汚れを綺麗に落とし、少しでも綺麗な状態に戻しておきましょう。
また、分かりやすい泥汚れなど以外にも、黄砂や花粉が付着していた場合、そのまま長期間放置していると腐食したりシミになってしまうこともあります。さらに、繰り返し海沿いを走り潮風に当たり続けたバイクは、潮風に含まれる塩分で錆びてしまうことも。
そのため、できれば吹き上げのみではなく、普段掃除が行き届いていないところまで丁寧に洗車することをおすすめします。細かなところまで洗車することで、気づかなかった異変などにも気づきやすくなるメリットもあります。
ふたつ目は、洗車のあとはグリスアップ&コーティングをすることです。可動部やチェーン、ワイヤー類などの金属面にグリスやシリコンスプレー、チェーンオイルなどを塗り、コーティングしましょう。金属と空気が触れる部分をなくすことで、錆を予防することができます。
劣化を抑えるために車体全体をコーティングすることも効果的ですが、グリスなどは潤滑油でもあるため、それらをブレーキ周りやシート、タイヤなどに塗布するのは危険。滑りやすくなってしまいます。
3つ目は、タイヤの状態をチェックすることです。タイヤの空気はたとえ走行しなくても少しずつ空気が抜けていくもの。そのため、規定空気圧よりも少しだけ高めの空気圧にしておきましょう。そうすることでタイヤの変形を抑えることができます。
また、タイヤの変形を防ぐためには、メンテナンススタンドなどを使ってタイヤを浮かせて保管することが望ましいです。ない場合は、保管中もたまにタイヤを回して、タイヤの接地面を変えるようにしましょう。春になり再びバイクに乗る際には、安全のため空気圧を測定しなおして、規定空気圧にすることも忘れずに。
そして4つ目は、バッテリーの点検です。バイクのバッテリーは乗らない間も自然放電されるので、それを防止するためにバッテリーを取り外して置くのがよいと言われています。
外す際には必ずエンジンを切ってキーを抜き、電流が通らないようにしておこないます。バッテリーを取り外すときは、「マイナス端子」、「プラス端子」の順で外していくのが鉄則。順番を間違えるとショートしてしまう恐れがあります。また、戻すときは取り外すときとは逆の「プラス端子」、「マイナス端子」の順番で取り付けます。
取り外したバッテリーを充電器を使って充電する際は、今度は「プラス端子」、「マイナス端子」の順番で接続してから電源をONにします。充電が完了したら電源をOFFにして、「マイナス端子」、「プラス端子」の順に外します。フル充電したバッテリーは、温度変化の少ない室内で保管しましょう。また、バッテリーを取り外さなくても、「マイナス端子」を外しておくだけでも自然放電を防ぐことができます。
以上が、必要最低限やっておきたい冬季のバイクメンテナンスですが、長期保管する際には補足しておきたいいくつかの注意点があります。
まずはガソリンを満タンにしておくこと。これはタンク内の結露や錆を防ぐためです。さらに保管場所も大切で、可能であれば温度変化の少ない室内が理想的です。
屋外で保管する場合は、雨風や直射日光を防ぐバイクカバーが必須。そして、水分は錆びの原因となるため、雨や雪が浸入して濡れていないか、湿気で結露ができていないかなど、小まめに状態をチェックするよう心掛けましょう。
※ ※ ※
冬はバイクに乗らない期間が多くなりますが、冬の間のメンテナンスが春のバイクの調子を大きく左右します。シーズン中活躍したバイクを労わる気持ちも込めながら、ぜひ冬のバイクメンテナンスをおこなってください。
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