プロダクト名「LB744」のランボルギーニの次期フラッグシップの驚くべき内容が次第に明らかになってきた。ここではそのスニークプレビューに参加した西川氏に「レヴエルト」を名乗るV12エンジン搭載のPHEVを報告してもらう。
ランボルギーニの新時代がこのレヴエルトから始まる
12気筒ミッドシップのスーパーカーとしては異例の大ヒット作となったアヴェンタドールの後継モデルがついに登場した。その名も「レヴエルト」。
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印象的なY字ヘッドライトユニットからワンモーションのウェッジシェイプ、伝統のシザーズドア、そしてフードレスエンジンベイに上方排気のリアエンドまで、歴史へのオマージュも散りばめながらまったく新しいスタイルを完成させた。新鮮であり、しかもどこからどう見てもランボルギーニにしか見えない。
スニークプレビューは正式発表の1カ月前に、チェントロ・スティーレにおいて世界から限られたメディアを招聘し開催されたが、カウンタック好きデザイナーであるミーティア・ボルケート氏は私を見つけるなり新型車のリアエンドへと誘ってこう言った。「ここから見える景色が最高なんだよ!」。
エンジンブロックがまるでバイクのように剥き出しになり、従来に比べて大きめのリアウインドウからは個性的なダッシュボードがよく見える。そして「真ん中がエイリアンみたいに見えるだろ?」とまるで子供のように満面の笑顔を浮かべて語り続ける。
見所は、デザインだけじゃない。パワートレーンとボディ骨格は最大の注目点で正式発表に先立って情報が公開されたほど。
ランボルギーニは今、新たなフェーズ=電動化ラインナップの完成に向かって走り始めている。限定モデルのシアン(クンタッチ)とに続き、量産モデルのレヴエルトでもハイブリッドパワートレーンを採用することに。しかもPHEVということで、いよいよ「電動ランボ時代」が本格化する。
従来型(L539)よりも軽く新設計された6.5L V12エンジン(L544)は9250rpmで最高出力825psを発生。許容回転数9500rpm超の高回転型だ。これに3つの電気モーターを加えるとシステム最高出力はなんと、1015psに。パワーウエイトレシオは1.75kg/psというから、バッテリーによる重量増(全重約1.77トン)をカバーしてあまりあるスペックとなった。ちなみに0→100km/h加速はブガッティ級の2.5秒である。
最大性能を長く維持するため、走行中の充電時間を短くした
肝心のハイブリッドシステムについて記す前に、歴史的転換について書かなくてはならない。
ランボルギーニはカウンタック以来の伝統を捨て、V12+トランスミッションの配置を180度ひっくり返した。トランスミッションの置かれていたセンタートンネルにリチウムイオンバッテリーを収めるためだ。そしてトランスミッションはというと小型で軽量のDCTを新たに開発し、電気モーター一基と組み合わせてリアアクスル上に横置きとしたのだ。
フロントには、左右独立の電気モーター2基を搭載。もはや後輪との物理的な繋がりはないが、ディアブロ以来の個性であった4WDも電気的に継承した。2基の前モーターの性能はそれぞれ110kW/350Nmで前後のフル電動走行を担うほか、エネルギー回生やトルクベクタリングを行う。
リアは110kW/110Nmで主にスターター&ジェネレーターとして稼働、13種類も用意された走行モード次第では駆動の支援も行う。リチウムイオンバッテリー容量は3.8kWh。比較的容量は少なめ(フェラーリSF90の約半分)だが、走行中の充電時間を短くすることで繰り返し最大性能を得られることを重視した結果だ。ちなみに外部からの充電はフロントブートを開けて行う。
ハイパワーシステムを支えるのがフロントサブフレームまでCFRPとした新開発の骨格「モノフーゼレージ」だ。得意の鍛造コンポジットに伝統的なプリプレグ、さらには市販車では主流のRTMなど異なる成型法を駆使して組み合わせている。アヴェンタドール用よりも10%軽く、ねじり剛性は25%アップした。
ランボルギーニの新時代がいよいよ始まろうとしている。(文:西川 淳/写真:ランボルギーニS.p.A)
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