バイクテクノロジーで目下注目の話題が「自動変速」だ。2024年、ホンダが「Eクラッチ」を、ヤマハが「Y-AMT」と立て続けに発表、さらにBMWやKTMもそれぞれ独自の自動変速技術を発表し、ひとつのトレンドになろうとしている。
全く異なるアプローチで、それぞれにバイク本来の楽しさを訴求する自動変速。Eクラッチを搭載する『CB650R Eクラッチ』とY-AMTを搭載する『MT-09 Y-AMT』を、MOTOR STATION TVのプロレーサー丸山浩氏とチャレンジ女子アナ7期生の本川まあさ氏こと“まあさ”が比較インプレッションするシリーズ、「前編・クラッチ操作不要の『CB650R Eクラッチ』はナナハンCB乗りにどう映る?」ではCB650R Eクラッチを紹介した。
【ホンダ Eクラッチ vs ヤマハ Y-AMT】クラッチ操作不要の『CB650R Eクラッチ』はナナハンCB乗りにどう映る?[前編]
第2回の今回はMT-09 Y-AMTについて紹介する。
クラッチ操作をせずとも変速(シフトチェンジ)が可能という点ではホンダのEクラッチと同様だが、Y-AMTはクラッチレバーとシフトペダルそのものが存在しないのが大きな違いだ。代わりにシフトアップ&ダウン操作をハンドル左のスイッチ操作のみでおこなう。またスポーツバイクでありながら自動変速をおこなう「ATモード」も搭載し、ライディングにより集中できるスポーツ性と、イージーライディングによる快適性を提供するというものだ。
◆眼を惹く大柄のタンク、跨るとその扱いやすさに気付く
丸山浩(以下、丸山):今回はヤマハ『MT-09 Y-AMT』の紹介だよ。
まあさ:パッと見た目の印象からいくと、結構大柄ですよね。888ccだからそりゃそうかって思うんですけど、見た目以上にタンクもすごく大きく感じます。でも乗ってみると、すごく扱いやすくて街中もとても乗りやすかったのが意外でした。それに細部までデザインが実に凝ってますね。エンジンもこんなに艶やかというかスタイリッシュなんだろうかってぐらい、ボルト1本から飾りボルトを使っていてすごく綺麗でした。
丸山:そのデザインがちゃんと機能につながっているところもヤマハらしいんだよ。
まあさ:たしかに!シート前方の絞りからタンクにかけてのこの曲線が見た目だけではなく跨った時の太腿をズレさせないというかちょうどフィットしやすい位置だったので本当に疲れにくい設計になってるんだなって感じました。身長170cmの私でもシート高825mmは高めに感じられる数字なんですが、実際はそのシートの絞りのおかげで足着きもよく、渋滞で長時間立ったままでも疲れにくかったです。
それにハンドル角度も手前に寄せてきてくれているのでヒジや手首も疲れにくいし、自然と骨盤を立てて乗るようなライディングポジションになるから、お尻の肉がちょっと少なめの私でもあまり痛くならずに助かりました。
◆回転数で豹変する音とパワー
丸山:それに最近のヤマハはこれまで以上に“音”にも強くこだわっているんだよ。
まあさ:タンクに“網”が付いているんですが、これがデザインだけじゃない。「アコースティック・アンプリファイア・グリル」と言って、ここから空気を取り込んでる音が聞こえるようにしてるなんて驚きました。そこだけじゃないんですけど全体のエンジン音としては、すごく心地の良い重低音まで行かない中低音ぐらいでずっと走っていけました。
他にも重低音やらいろんな音があるバイクの中で、このMT-09はすごく走っていて楽しい優しい気持ちにさせるエンジン音。アクセルを開けたりギアを変えたりするたびに私こんなに気持ちいい走りをしてるんだっていう風に感じました。
丸山:MT-09は3気筒なので、実はそれだけじゃないんだよ。今回は街中やツーリングペースでの試乗だったけど、スポーツしようとエンジン回転を上げていくと途中から音もパワーも豹変して力強くなっていくんだ。その表情の変化に惚れ込むファンも多いね。
まあさ:今回、私が乗った中低回転域だとアクセルを開けた時の振動っていうのもすごく来るわけでもなく心地のよいアクセルになっているので乗りやすかったですんけど、違う楽しみも持ってるんですね。
◆Y-AMTの恩恵、MTユーザーも楽しめる?
丸山:そしてMT-09には今回このY-AMTという新しいグレードも登場したけれど、違和感なく乗れた?
まあさ:最初は違和感ありましたよ。ハンドルにはよく分からないボタンが多すぎてエンジンをどうやってかけるんだろうというところから始まりましたし(笑)。でも使っていくと、すぐにいろんな乗り方ができるんだなって理解できるようになって。
それこそクラッチレバーもシフトペダルも無いからAT限定免許で乗れちゃうんですけど、ATモードとMTモードの2種類があるのでMTモードにすればマニュアルのバイクに乗ってる感じも味わえちゃう。オールマイティな乗り物になっていますよね。乗る人を問わないというか、マシン本体がそもそも街中からツーリングやスポーツ&初心者からベテランまでとオールマイティな感じになっているところに、Y-AMTがさらにそれを増していて誰にでもオススメできる気がしました。
丸山:Y-AMTの操作には小一時間くらいで慣れてたもんね。
まあさ:バイクに乗りたいけど難しいからAT限定免許で…という人も多いと思うんですよ。でもATだと大抵は無段変速のスクータータイプじゃないですか。それに対してY-AMTに乗ると、シフトアップしていった時の爽快感やサウンド、乗り心地とかを味わえて、マニュアルのバイクもいいなって教えてくれるところが最高に良かった気がします。Y-AMTでバイクに乗り始めることで、その次にいろんな車種に挑戦していきやすくもなると感じました。
◆ちょっとでも長い距離を走っていたくなりそうな一台
丸山:一言でまとめると、どんなバイクになるんだろう。
まあさ:やっぱりどんな使い方をしてもOKな、とてもオールマイティに感じられるバイクですね。でもシフトチェンジする楽しみを覚えてしまうと、街乗りだけじゃもったいなく感じてしまうかも。すぐそこまで買い物しに行こうってよりも通勤や通学だったり、ちょっとでも長い距離を走っていたくなりそうです。それこそ都会から郊外に向かうというよりは、ちょっと地方に住んでいて都会に出勤しに行くという人の方が、よりこのバイクを楽しめそうな気がしました。
丸山:よし、じゃあ次回はこのY-AMTとホンダのEクラッチの魅力をじっくり比較していこう。(「後編」に続く)
丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。
本川まあさ|愛称:まあさ
MOTOR STATION TVのチャレンジ女子アナ7期生。アナウンサーをしながら普通2輪免許から、大型2輪にチャレンジ。現在は、叔父から受け継いだCB750Fourをレストアしながら乗っています。
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