マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリというふたりの勢いあるF1ドライバーを上手くマネジメントできると考えている。
近代のF1では、ふたりの有力ドライバーを同格に扱ったことで、チームが大きな代償を払うことになった例がいくつかある。
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2007年、マクラーレンが前年にルノーで王者となったフェルナンド・アロンソを獲得し、ルーキーのルイス・ハミルトンと組ませた例を思い出すファンも多いだろう。内紛といってもいいほど激しくふたりが対立した結果、フェラーリのキミ・ライコネンに1ポイント差で逆転を許し、マクラーレンのふたりはタイトルを逃してしまった。
他にもアイルトン・セナ/アラン・プロスト(マクラーレン)、ハミルトン/ニコ・ロズベルグ(メルセデス)、マーク・ウェーバー/セバスチャン・ベッテル(レッドブル)といったライバル関係も悪名高いが、それぞれのチームが優位に立っていた時代であったこともあり、最終的な結果への影響はそれほど大きいわけではなかった。
しかし結果として、こうしたケースは様々なシナリオを経てチームが不安定となり、ドライバーのどちらかが陣営を去ることにつながる。
ふたりの同格ドライバーを抱えるのは、成功するよりも失敗することの方が多いというのが歴史的な見方だが、マクラーレンのCEOであるブラウンは、ノリスとピアストリの場合は状況が異なると主張した。
今シーズン前半でF1キャリア初勝利を飾り、エリートドライバーとしての地位を固めた両ドライバー。ノリスがF1キャリア5年目にしてマイアミGPで感動的な優勝を果たした一方、ハンガリーGPでのピアストリの初勝利は、戦略上の都合で先にピットストップしたノリスがチームオーダーに抵抗。レース終了3周前に渋々ピアストリに首位を譲った結果のものだった。
ノリスはもっと早くチームオーダーに従いポジションを返さなかったことを悔やんでおり、チーム内ではこの問題は解決されている。しかしマクラーレンが今後もワンツーフィニッシュを狙える状態を維持できるのであれば、将来的に良くない事態に陥る可能性があることを垣間見る結果となった。
motorsport.comの独占インタビューに応じたブラウンは、マクラーレンのチーム文化はノリスとピアストリが互角に渡り合っても大丈夫なほど強固なものだと断言した。
イコール・ナンバー1体制が機能すると信じる理由について尋ねると、ブラウンは次のように答えた。
「人間関係、コミュニケーション、そしてふたりの個性(が理由)だ」
「それについてはミスはない。ふたりともナンバーワンになりたいと思っているし、ふたりともナンバーワンだ。ナンバー2がいないだけだ」
「だが、彼らはチームのためにレースをする。彼らは互いにハードなレースを展開し、自分の心の中でナンバーワンになれるタイプだと思うし、我々が2台のナンバーワンを走らせているという事実を尊重してくれる。これまでも、そしてこれからもね」
一方で、ブラウンCEOはチャンピオンを争う上で、どちらかを優先する可能性は否定しなかった。ただ現状、ポイントリーダーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と78ポイント差のランキング2番手にノリス、フェラーリのシャルル・ルクレールを挟んで、さらに32ポイント差のランキング4番手にピアストリがつけているため、まだ”その時”ではないとブラウンは考えている。
「言うまでもなく、チャンピオンシップが後半になり、あるドライバーが他のドライバーよりも有利になった場合、戦略的に違うことを考え始めるかもしれない」
「でも我々は彼らを平等に扱っている。彼らはそれを知っているし、楽しんでいるし、時には譲歩が必要な時も我々の決断を尊重してくれる。このようなふたりがいることは幸運だと思う」
ノリスとピアストリをマネジメントすることは、彼とチーム代表のアンドレア・ステラが築こうとしているチーム文化において、最も難しい試練になるかと問われ、彼は次のように答えた。
「文化というものは、自分たち自身で作り上げていくものだと思う。方向性やトーンを決めることはできても、それを強制することはできないんだ」
「アンドレアと私、そしてここにいる全員がレーサーだ。我々は公平で、パフォーマンスを追求する上でかなりアグレッシブだ。だがフェアであり、何でもかんでも勝つというやり方じゃない」
「チームもそう考えていると思うし、ガレージの環境は素晴らしいよ」
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