1968年に誕生したトヨタ ハイラックスは50年以上の歴史を持ち、世界180以上の国と地域で生産されるグローバルカーだ。日本で販売されているハイラックスのボディタイプはピックアップトラックの1種類だが、海外に目を向けると、仕向け地に合わせた多くの仕様が存在する。そんな世界のハイラックスをご紹介する。
豪州と南米でワイドバリエーションを誇るハイラックス
トヨタ ハイラックスの海外仕様は、各国で展開されている公式HPで見ることができる。それらWebサイトを見ると、ハイラックスの仕様にはある傾向が見受けられる。
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それは欧州のように大都市を抱える国・地域では日本仕様と同様のピックアップ仕様を、タイをはじめとする新興国ではキャブシャシーと呼ぶ簡素な荷台の仕様も用意される。さらにオーストラリア(以下、豪州)ではアウトドアに特化した仕様が用意、南米ではスポーツ性に秀でたグレードが用意される。世界には多種多用なハイラックスがある。そこで筆者が気になったハイラックスの海外仕様をご紹介しよう。
まずは南米仕様で、これを語る上で欠かせない存在がハイラックスのダカールラリー参戦車だ。2020年のダカールラリーはサウジアラビア国内で開催され、GAZOOレーシングから4台のハイラックスが参戦。いずれもが完走を果たしている。優勝こそ逃したものの2位、5位、7位、13位と上位に食い込む好成績だ。
そのハイラックスのダカールラリー参戦マシンは、4WDはもちろんのこと四輪独立懸架サスペンションと5L V8自然吸気エンジンをフロントミッドに搭載したラリーレイド専用のスペシャルマシンだ。
南米のブラジルとアルゼンチンでは、このラリーマシンのイメージを色濃く反映した「SR-GII」が販売されている。ハイラックスのGRスポーツは2019年にブラジル専用モデルとして登場したが、2020年3月にマイナーチェンジしてアルゼンチンでも販売されるようになった。ハイラックスのGR仕様が販売されているのは、世界中でブラジルとアルゼンチンだけという羨ましい状況だ。これは、南米を舞台に2009年から2018年まで開催された、ダカールラリーの影響と考えられる。
ハイラックス SR-GIIのボディはダブルキャブ。4L V6自然吸気ガソリンエンジン(238ps/376Nm)、または2.8L 直4ディーゼルターボ(177ps/450Nm)が搭載される。変速機はどちらも6速ATを用意され、アルゼンチン仕様のディーゼルモデルでは6速MT(420Nmにデチューンされる)も選択できる。
フロントグリルには大きく「TOYOTA」と記され、これがトヨタのSUVと言わんばかりのルックスはなんともカッコいい。もしSR-GIIを日本に導入するのなら、ディーゼルターボ仕様が低速走行の多い日本には似つかわしいだろう。
豪州仕様のハイラックスはオフローダーであることを強調
自動車のスポーツ性能には、道なき道を疾走するトレイル走行も含まれる。速さにフォーカスしたハイラックスが前出のSR-GIIなら、トレイル走行にフォーカスしているのが豪州のハイラックス ラギッドXだ。ダブルキャブの5人乗り、駆動方式は4WD、搭載エンジンは2.8L直4ディーゼルターボ(6速ATで約201ps/500Nm・6速MTで約201ps/420Nm)を搭載し、南米のSR-GIIのスペックにも引けをとらない。
ラギッドXの最大の特徴は外観と装備だ。日本仕様とは異なり、ワイルド&タフなイメージを醸し出すフロントとリアの樹脂製オーバーフェンダー、ブルバーとフォグランプを組み込んだ専用フロントバンパー、フロントアンダーカバー、そしてシュノーケルを標準装備する。まさに広大な大自然が広がるオーストラリア大陸を、縦横無尽に疾走するためのハイラックスだ。
ラギッドX専用装備品の中でも、フロントフェンダーパネルから突き出ているシュノーケルは特に優れものだ。シュノーケルは本来、川を渡る際に車体のルーフ付近の高さからエアーを取り込む装置であるが、ラギッドXのものはホコリっぽい環境での空気取り込みにも特化した性能を持つ。日本で使用するなら、黄砂の舞う時期に役立つかもしれない。また路面温度の高くなりがちな真夏でも、約2mの高さから空気を取り込めばいくらか冷たいエアーの供給も期待できるだろう。
ここまで乗用仕様を紹介してきたが、実用的な商用仕様も紹介していこう。ハイラックスの仕様には大きく分けて2種類ある。それがピックアップとキャブシャシーだ。ピックアップは乗用車の後席よりうしろに荷台を備えた車種を意味し、日本仕様は乗用車寄りのトラックだ。そのためか、日本ではレジャーユースとして購入される比率がとても高い。
一方のキャブシャシーは本来なら荷台のない、キャブとシャシーだけの車種を意味する。ハイラックスの場合、オーストラリアの「ワークメイト(Workmate)」という仕様がキャブシャシーを名乗っている。キャブ後部にはピックアップの荷台よりもさらに簡素な荷台が備えられ、いかにも作業車といった外観だ。
オーストラリアのハイラックスの中でもベーシックグレードにあたり、最も廉価な仕様ではシングルキャブ、2.7L直4ガソリン、後輪駆動、5速MT、鉄ホイールを備え、車両価格も2万3590オーストラリアドル(日本円で約180万円)におさえられている。後部座席がなく、キャブのすぐ後ろにまで荷台が伸びているので、荷台長は世界のハイラックスの中でも最長クラスだ。
ちなみにWorkmateにはピックアップ仕様もあり、ダブルキャブながら前述の後輪駆動や5速MTも選択できる。車両本体価格は3万3070オーストラリアドル(同、約250万円)とこちらも日本仕様より安く、ドレスアップ目的には最適の1台だろう。
世界のハイラックスでキャブシャシーは簡易な荷台を備えた仕様だと前述したが、実はブラジルでは本当にキャブとシャシーだけのモデルが販売されている。その仕様の名称「Cabin e chassi」はポルトガル語で、日本語に直訳すると「キャビンとシャシー」というあまりにもストレートなネーミング。シングルキャブだけが設置されており、荷台のない架装ベース車がカタログモデルになっているのだ。
ドライブトレーンはSR-GIIにも搭載される2.8L直4ディーゼルターボで、スペックは177ps/3400rpm、42.8kgm/1600−2600rpmを発揮する。ハイラックスのキャラクターを考えれば、主な用途はモーターハウスやキャンピングカーだろう。日本で販売されているトラックベースのキャンピングカーは、トヨタ ダイナをベースとするカムロードのキャンピングカー専用キャビンシャシーを用意されている。ハイラックスのキャブシャシーが加われば、キャンピングカーベースとして高いニーズを得るかもしれない。(文:猪俣義久)
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