昭和世代のクルマ好きたちは懐かしさを感じる1台
「そういえば昔はこんなスポーツカーがあったなぁ」と当時を思い出し、旧車に乗りはじめたオーナーたちのほとんどが昭和世代のクルマ好き。その中には純正スタイルのままでは飽き足らず、自己表現をしながらクルマいじりを楽しむ人たちがいます。今回紹介するマツダ「サバンナRX-7」のオーナー、安達隆之さんも「クルマは自分好みに仕上げるからこそ面白い」と、カスタムを楽しんでいるひとりです。
DCブランドロゴが懐かしい! マツダ「サバンナRX-7」は10年眠っていたエアロパーツを復刻して「IMSA GTO 254」仕様にしました
ロータリーエンジンなくしてサバンナRX-7のスタイリングは生まれなかった
岡山県倉敷市在住の安達隆之さんは、漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームを経験し、『よろしくメカドック』でチューニングのことを理解し、より過激な改造の世界を『シャコタン☆ブギ』で知った。次第に当時流行った市販車をベースとしたレースカー、チューニングカー、改造車の中でも「ワークス」と名の付くモデルに心が躍り、チューニングカーの世界にのめり込んだ。そしてその醍醐味は速さと個性であることを学んだ。
そんな安達さんがマツダ初代SA22C型「サバンナRX-7」を手に入れたのは、今から5年ほど前のことだ。これまでも旧車は数多く乗り継いできたが、昭和のエポックメイキングなマツダ「コスモスポーツ」登場以来、マツダのスポーツカーとしてサバンナRX-7がデビューした当時の衝撃は大きく、いつかは乗りたいとずっと思っていたそうだ。
このサバンナRX-7はそれまで共有部品が多かったマツダの開発思想を見直し、プラットフォームから本格的なスポーツカーとして専用設計したモデルだった。そのためスタイリングは空気抵抗を意識し、スラントノーズにリトラクタブルヘッドライトを組み合わせる。さらに低いボンネットとそれに続く流麗なボディラインによって、スポーツカーであることを主張。空力特性は、この時代としては驚異的なCd値0.36と低い値を達成している。
ノーズの低いスタイリングを作り出せた理由は、マツダの代名詞であるロータリーエンジン搭載にある。軽量コンパクトなロータリーエンジンは、その構造上の特徴からレシプロエンジンよりも低くマウントできるのだ。このロータリーエンジンが無ければ、サバンナRX-7のスタイリングは生まれなかっただろう。
当時の草レーサースタイルにフルリメイク
安達さんは若かった頃に憧れたクルマを思い出し、サバンナRX-7をベースに「草レーサー」と呼ばれたマシンをイメージしてフルリメイクを施した。
その一部パーツは購入時に付いていたが、より発展させるべくチューニングしている。細かい仕様については、まず左右に巨大なフォグランプをセットした、通称「ポルシェバンパー」が目を引く。そして、草レーサーらしくフロントフェンダーにオーバーフェンダー、リアにワークスのオーバーフェンダーを組み合わせてマウント。いわゆるボンキュッボンのスタイルを作り出す。
リアウイングは巨大なセブンパネをマウントさせることで、ウェッジシェイプなスポーツカーならではのデザインをより強調している。ル・マン24時間レースに出場したマツダ「RX-7 253」のエアロミラーの装着も見逃せないポイントだ。
数多くのメリットがあるキャブレターのダウンドラフト化
エンジンについては、12A型NAをチューニング。その中身は高圧縮ローターに交換し、サイドポートの拡大加工を施す。また、キャブレターはウェーバーφ48のダウンドラフト仕様。このダウンドラフトとは、キャブレターを垂直状態でセットすることで燃料と空気を重力に逆らわずにエンジン本体へ効率よく送り込み、より積極的に混合効率を高めるシステムのこと。その効果は、パワーアップやレスポンス向上を図るだけでなく、エンジンの始動性向上やアイドリングの安定性など、数多くのメリットを生み出してくれる。
エンジン系統については、他にも熱に弱いロータリーエンジンの対策として、大容量の3層アルミラジエターをセット。それだけでは冷却が不十分なので、フロントスポイラーから効率よくフレッシュエアーを取り入れ、ボンネットに設けたルーバー型ダクトによって素早く抜くことで、循環効率を高める工夫を施している。
オールブラックのボディカラーも渋くてカッコいいサバンナRX-7の草レーサー仕様。ホイールは安達さんこだわりのハヤシレーシングを装着。昭和世代のクルマ好きたちが思わずジッと見入ってしまうような、懐かしさを感じる1台である。
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