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シトロエン C3とアウディ A1シティカーバー。独特な個性か、走れる万能モデルか

掲載 更新 12
シトロエン C3とアウディ A1シティカーバー。独特な個性か、走れる万能モデルか

乗ってみたいクルマは、誰もがスポーツカーやワゴンを選ぶとは限らない。コンパクトなモデルでも、次々と気になる存在が登場してきているのだ。ここでは、時流に合わせてモダナイズされた趣深きふたつのモデル、シトロエン C3とアウディ A1シティカーバーに注目した。(Motor Magazine 2021年4月号より)

マイナーチェンジ後のC3とA1のクロスオーバーモデルを乗り比べ
いまコンパクトカーも上級車と同じレベルの安全装置が付き、装備品も品質感も上級車と肩を並べる時代になった。とくに欧州車はそれぞれのブランドで個性を出しているから乗る楽しみも大きいし、自分好みのモデルを選べば、そこでまた自身のパーソナリティをアピールすることもできる。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

まずは、最新のアウディA1シティカーバー リミテッドエディションである。基本フォルムはすでにお馴染みのアウディA1スポーツバックだが、このシティカーバーはオフロードルックのデザインエレメントをクロスオーバーさせたものだという。A1スポーツバックより最低地上高が40mm高くされて17インチホイールを装着、河原のBBQなどで通常なら躊躇するような状況でも駆け抜けていくことができそうだ。

ルックスはホイールアーチもコントラストカラーに仕上げられ、アウディのSUVモデルを連想させる八角形のシングルフレームグリルなどでA1スポーツバックとはテイストが変えられている。取材車はパイソンイエローメタリックという美しい黄色いボディカラーに黒色のルーフで、バランス良くまとまっている。

もう1台はシトロエンC3シャインだ。マイナーチェンジが施され、フロント上部にレイアウトされたLEDのデイタイムランニングライトに加えて、その下のヘッドライトもLEDになった。グリルのダブルシェブロンは左右のヘッドライトトリムにつながるデザインに変更。取材車はブランバンキーズ(白色)にエメラルドのバイトーンルーフというカラーリングで、ちょっと派手なようだがコンパクトカーとしてはちょうど良い遊び心が演出されている。

駐車場で隣のクルマにドアパンチされても吸収できそうなエアバンプはC3のアイコンとなっているが、エアバンプのカプセルとドアミラー、フォグランプトリムは「カラーパック」でバイトーンルーフと同じカラーでアクセントが付けられている。エアバンプといいこのあたりの独創的な思考はいかにもシトロエンらしいといえる。

似通ったボディサイズだが個性ある見た目と雰囲気
A1シティカーバーとシトロエンC3の2台は全長が4050mmと3995mm、全幅では1755mmと1750m、全高でも1485mmと1495mmで、よく似通っている。しかし、そうはいっても見た目の印象はかなり異なる。A1シティカーバーは横に広く見えるし、全体に走り系の匂いが漂う。C3は横に広いのではなく、丸いイメージである。その意味ではこの2台、3サイズが随分と違うように見えるから不思議だ。

このボディサイズは、市街地での使い勝手がとてもいい。路肩に四角い駐車枠があれば縦列駐車は簡単だし、デパートの駐車場などでのパレット式の入庫も楽だ。全長が短いことが小回りを効かせられることにもつながり、全幅が約1750mmと1800mmを大きく切っていることにより、狭い駐車場での乗り降りでも苦労しない。

しかし、コンパクトカーだからといって市街地走行だけが専門ではない。今回もこの2台で箱根まで乗って行き、ワインディングロードも存分に走らせてみた。そこでわかったのは、どちらも走りの面で確固とした個性を持っているということと、両車ともにとてもいい走りとコーナリングをするということであった。

どちらも走りに不足なし。まず体験して真価を知る
アウディA1シティカーバーのエンジンは1L直列3気筒だが、ターボチャージャー装着によって最大トルク200Nm、最高出力85kW(116ps)を発揮する。車重は1210kgあるが、2Lの自然吸気エンジンクラスの最大トルクを発揮できるから問題ない。ちなみにトランスミッションは7速DCTである。

低いエンジン回転域からトルクがあるので、通常の領域ではアクセルペダルを踏み込む量に比例した加速感が味わえる。もっと深く踏み込んだ場合は、グイーンという音とともに、回転の上昇を待つ感じにはなるが、それでも気持ち良いペースで山道を走り抜けることができた。Dレンジのままでも、ハンドルの裏にあるパドルシフトを使うと、コーナーの立ち上がり時に遅れがなく気持ちのいい加速がタイミングよく味わえる。

一度こういう走りを経験してしまうと、たとえ息子や娘のために買ったクルマであっても、休日は取り上げて自分でドライブに出かけてしまいたくなる。軟弱な買い物専用モデルではない、ということに気づいてしまったからだ。

シトロエンC3も3気筒エンジンだが、こちらは1.2Lターボ仕様。最大トルク205Nm、最高出力81kW(110ps)を発揮する。車重はA1シティカーバーより若干軽い1160kgである。アクセルペダルを踏み込むと、モコモコっとトルクが湧いてくる感じだ。レッドゾーンは5500rpmから始まるが全開にしてもその手前でシフトアップする。そしてこちらも、この車重を引っ張るのに不足はない印象だ。

A1シティカーバーの運転席に座ると、意外にもドライバーオリエンテッドな設定だということがわかる。ダッシュボード中央のモニター画面やその下のエアコンスイッチ類はドライバー側に向いている。このリミテッドエディションのインストルメントパネルは、地図情報や車両情報、エンターテインメントなどを大きく表示することのできるバーチャルコックピット仕様とされる。

ライトスイッチも一歩進んだ考え方だ。通常はオートモードで日中はデイタイムランニングライトを使うが、オートの表示があるスイッチを押すと順にロービーム、スモール、オフ、オートを繰り返す。霧が出てきたようなケースでは、まだ明るくてもヘッドライトを点けたいときがある。デイタイムランニングライト状態ではテールランプが点灯しないからだ。そんな場合は、ライトスイッチを押すとロービーム点灯にできる。

人生をどう満喫したいか。それぞれ異なる楽しみ方
A1シティカーバーで山道を走ると、まるで熟成されたA1スポーツバックのような印象を受ける。サスペンションに遊びがなく、しっとりしながらもガッチリ受け止めてくれるのだ。ドイツ車的にサスペンションが理論的に動いてくれて、コーナリング時にロール角は小さく、ダイレクト感たっぷりなので挙動がわかりやすい。

そしてC3は、しなやかな足まわりが何よりフランス車らしく感じられる。とくにコーナリングの場面は、シトロエン車の真骨頂だ。ロールはするが穏やかに傾いていき、大きくなり過ぎないのでワインディング路で気持ち良く走れる。コーナリング中にアンダーステアっぽくならないのもいい。クルマ自らが曲がってくれるような感じで、FFじゃないみたいだ。

直進からターンインするときは、滑らかにノーズをインに向けて曲がっていく。その時にハンドルを切り足してもついてくる。ハンドル中立の遊びは小さく、小舵角から効く。操舵力は軽い方だが舵角度くらいまで切ると反発力がちょっとバネっぽくなってくるが、舵角に対する正確性は良い。

乗り心地にも、同じようにC3独特の味がある。その粘るようなサスペンションの動きが好きだ。ここは、大きな個性になると思う。大きな上下動でも、どこがフルバンプなのかわからないというところが凄い。さらにこのC3シャインが257.5万円と聞くと、随分とお買い得な感じがする。

今回乗り比べてみて、ハンドリングを楽しむことで人生を満喫できるなら、意外かもしれないがシトロエンC3がいいと思う。感覚的に捉えて動かすのが合っているからだ。そして、アウディA1シティカーバーは教科書のような出来栄えで、クセのないハンドリングだから乗る人を選ばないとも言える。ビギナーからベテランまで幅広く受け止めてくれるので、家族の誰もが同じ感覚で運転できるところがメリットだ。(文:こもだきよし/写真:井上雅行)

アウディ A1シティカーバー リミテッドエディション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4050×1755×1485mm
●ホイールベース:2565mm
●車両重量:1210kg
●エンジン:直3 DOHCターボ
●総排気量:999cc
●最高出力:85kW(116ps)/5000-5500rpm
●最大トルク:200Nm/2000-3500rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・40L
●WLTCモード燃費:15.3km/L
●タイヤサイズ:205/55R17
●車両価格(税込):483万円

シトロエン C3シャイン 主要諸元
●全長×全幅×全高:3995×1750×1495mm
●ホイールベース:2535mm
●車両重量:1160kg
●エンジン:直3 DOHCターボ
●総排気量:1199cc
●最高出力:81kW(110ps)/5500rpm
●最大トルク:205Nm/1750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:17.2km/L
●タイヤサイズ:205/55R16
●車両価格(税込):257万5000円

[ アルバム : シトロエンC3とアウディA1シティカーバー はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

12件
  • C3のミッションは、アイシン製だったはず。
    それだけでも、C3を買うかな
  • まず、価格が違い過ぎて競合車ですらない。

    とりあえず「 C3の方が良い」と書いておけばなんとなく車好きっぽいし、さらに貧乏人の支持も集めそうだが、価格を度外視して単純に2車を比べれば、ハンドリングも含めてC3が A1シティカーバーに勝る点など一つも無い。

    但し、好みを語り出せばそれはそれで別の話だとは思う。
    なんせ、世の中には本気でポルシェマカンよりハリアーが好きだと思っている人間が存在するぐらいだからね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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