2023年6月27日、ミシュランは新世代エアレスホイールテクノロジー「ミシュラン アプティス・プロトタイプ」(MICHELIN UPTIS Prototype)を装着したフランス郵政公社La Poste車両の初運行を実施した。2024年末までにフランス北部のオードフランス地域で、約40台のフランス郵政公社車両がアプティスを装着して手紙や小包を配達する予定という。
エアレスタイヤの実用化がさらに加速する
ミシュランは「すべてを持続可能に」という企業ビジョンのもと、人(People)、地球(Planet)、利益(Profit)の三方良しの理想を叶え、2050年までに100%持続可能なタイヤを製造することを約束している。具体的には、大西洋で帆船による海上輸送の推進、東南アジアの天然ゴム栽培および森林保全の最適化、自動車産業の電動化への貢献など、グローバルに脱炭素への取り組みを進めている。
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今回フランス郵政公社La Poste車両で初運行を実施した「アプティス」は、この企業ビジョンのもとで開発された、公道を走行することのできる世界で唯一のエアレスタイヤ。「アプティス」の使用により、空気圧補充や点検の必要がなくなり、タイヤのパンクや破裂などの運行上のリスクやメンテナンスの負荷を大幅に軽減することができるため、稼働率が向上し、事業の生産性の向上が期待できるとしている。
ただ、空気圧の調整を必要としないエアレスタイヤは画期的ではあるものの、重量やコスト、耐久性などの面でまだ課題があり、ブリヂストンやトーヨータイヤの「ノアイア」など国内外のタイヤメーカーも開発を進めているが、ゴルフカートや農機・重機向けとして販売されているというのが実情だ。
ミシュランはこの重量やコスト、耐久性などの課題に対して、特殊な構造や製造方法、ハイテク材料を開発。すでに2023年2月に国際輸送専門の「DHL Express」と提携して、シンガポールでこの「アプティス」を装着したDHL車両の運行を開始しており、今回のフランス郵政公社との提携により、エアレスタイヤの実用化がさらに加速すると期待される。
ミシュランのOEM事業ディレクター、ブルーノ・デ・フェラウディ氏は「ミシュラン アプティス・プロトタイプは、タイヤの画期的なイノベーションで、2050年までにタイヤを100%持続可能にするための重要なステップです。タイヤ構造とハイテク材料の約50件の特許で、より安全なモビリティと環境保全に貢献するミシュランの能力を実証しました。フランス最大手5万台の車両を保有するLa Posteがアプティスを採用したことを嬉しく思います」とコメント。
フランス郵政公社La Posteの副マネージングディレクター、フィリップ・ドルジェ氏は「一世紀以上モビリティに貢献してきたミシュランとのコラボレーションを非常に嬉しく思います。我々はフランス全土に週6日郵便を配達し一日地球50周分移動するため、環境フットプリントを抑制しながら安全に運航する車両を必要とします。革新的なミシュラン アプティス・プロトタイプに性能と完全な安心を期待しています」と語っている。
ちなみに、アプティス=UPTISとは「Unique Puncture-proof Tire System」(独自の耐パンクタイヤシステム)の頭字語。
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