現代の日本の自動車マーケットを手短にまとめれば「軽自動車天国、ハイブリッド天国」というイメージがある。軽自動車についてはスズキがハイブリッド(とはいってもマイルドハイブリッド)を幅広くい展開しているものの、もっとも売れているホンダN-BOXはコンベンショナルなエンジン車。取り回しやすいコンパクトなボディと、外観からは想像できないほどの室内空間というサプライズが軽自動車人気を支えている。
また、軽自動車、登録車に限らず、自動ブレーキなどの予防安全性能の性能もクルマ選びでは優先順位を上げているのは昨今のトレンドだ。とはいえ、燃費性能へのニーズは相変わらず高い。その証拠に日本自動車販売協会連合会が発表した2017年度(2017年4月~2018年3月)における登録車の年度ランキングを見ると、トップ10はハイブリッドカーもしくはハイブリッドグレードを設定しているクルマで占められているのだ。
軽自動車の排気量アップは不可能!! 軽自動車規格のウラにある"諸事情"とは?
具体的には以下の通り。
1位 トヨタ・プリウス
2位 日産・ノート
3位 トヨタ・アクア
4位 トヨタ・C-HR
5位 ホンダ・フィット
6位 ホンダ・フリード
7位 トヨタ・ヴォクシー
8位 トヨタ・シエンタ
9位 トヨタ・ヴィッツ
10位 日産・セレナ
トヨタの各モデルがEV走行のできるストロングハイブリッドであることは説明するまでもないだろうし、日産の2台も100%電気駆動の「e-POWER」を採用している。ホンダの2台はワンモーターとDCTを組み合わせた独特のユニットだが、これもEV走行が可能なタイプでマイルドハイブリッドとはいえないハイブリッドシステムとなっている。
では、非ハイブリッドの登録車でもっとも売れたクルマは何だろうか? その答えはトップ10圏外すぐの場所にあった。11位がハイブリットを設定していないトヨタ・ルーミーとなっている。
ダイハツが製造を担当、トヨタ(ルーミー、タンク)、ダイハツ(トール)、スバル(ジャスティ)という4モデルで販売されているルーミーとその兄弟車は、合計するとトヨタのMクラスミニバン3兄弟(ノア、ヴォクシー、エスクァイア)に次いで売れているという隠れたヒットモデル。もし、同一車種としてカウントするとプリウスよりもノートよりも売れていることになるほど市場で選ばれている。思えば、軽自動車もN-BOXやムーヴキャンバス、タント、デイズルークスといったスライドドア車が売れている。
じつはスライドドアであることの利便性が市場で評価されるための条件であるといえる。2017年度の販売ランキングの結果を見ると、日本市場というのは「スライドドア天国」というべきなのだ!
(文:山本晋也)
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