■発電用に開発されたものではなかった!?
「もともとは、これ専用に開発していたわけではなく、クルマ用のエンジンとして企画がスタートしている」。
マツダ、新型ロータリーエンジン搭載のMX-30 e-SKYACTIV R EVを日本初公開|オートモビルカウンシル2023|
マツダ入社以来、ロータリーエンジン開発一筋のベテランエンジニアが、新型ロータリーエンジン「8C」についてそう話す。彼が言う「これ専用」の「これ」とは、「MX-30 e-SKYACTIV R-EV(欧州仕様車)」のことだ。
「MX-30 e-SKYACTIV R-EV(欧州仕様車)」は2023年1月、欧州ベルギーのブリュッセルモーターショーでワールドプレミアされた。今回、「AUTOBILE COUNCIL」(2023年4月14日~16日、於:千葉県幕張メッセ)での展示は、同モデルの日本初公開となるが、日本仕様の販売計画などについては未発表だった。
世界が同モデルに注目しているのは、発電機用のロータリーエンジンを搭載している点だ。「MX-30 EV MODEL」の航続距離を伸ばす、いわゆるレンジエクステンダーである。
さらに、外部からの充電が行えるプラグインハイブリッド車(PHEV)であることが最大の特徴だ。レンジエクステンダーでPHEVという電動車の形態は極めて珍しく、そうしたアレンジを量産化するのが、いかにもマツダらしい。
一方で、「MX-30 e-SKYACTIV R-EV(欧州仕様車)」でロータリー復活を強調する各種メディアに対して、ユーザーの中には「あくまでも発電機用であって、これをもってマツダロータリー復活と言い切ることに違和感がある」といった声も見受けられる。
ロータリーエンジンをクルマのエンジン本体として搭載してこそ、マツダロータリー復活と呼ぶべきだ、という気持ちが強い人が少なくないのだろう。
そうしたユーザーの期待を肯定するような「8Cの真実」が今回、明らかになった。
■企画は2006年からスタートしていた
8C量産へつながる企画は、マツダ社内で2006年に立ち上がり、エンジニアたちが初期構想を練り出したという。
時期としては、現時点でマツダ最後のロータリーエンジン搭載車である「RX-8」のマイナーチェンジのタイミングだった。
それから足掛け17年で、その企画は8Cとして世に出たことになる。
2006年時点での企画の狙いは、熱効率を上げて規制対応していくため、ゼロベースでロータリーエンジンのあり方を考え直すことだった。
そうした研究開発の中で、ロータリーエンジン活用の“方法論のひとつ”として表に出たのが、2013年のデミオEVレンジエクステンダー用の排気量330ccのロータリーエンジンだ。
これは、あくまでも“方法論のひとつ”であり、「次期ロータリーエンジン=発電機用」に限定していたわけではない、とも言う。
マツダとしては、ロータリーエンジンを「クルマ用=駆動用エンジン本体」として復活させることを重視してきたのだ。
その象徴が、2015年の第44回東京モーターショーに出展した「Mazda RX-VISION」だ。
広報資料に記された主要諸元には、エンジン「SKYACTIV-R」とあるが、その実態についてはこれまで一度も明らかにされなかった。
そのため、同モデルはあくまでもデザインコンセプトという見方が多く、それから約7年後に登場したSKYACTIV-Rは発電機用というオチがついてしまっていた。
ところが、今回マツダのロータリーエンジンのエンジニアの証言では、「8Cはそもそもクルマ用(=駆動用エンジン)」である。
筆者が「8Cの排気量が830ccなので、つまり、8Cをクルマ用とすると、2ローター、または3ローターを想定していたという解釈か?」と聞くと、彼は「そうだ。出力からして2ローター以上の想定(で設計した)」という。
設計にあたっては、熱効率を上げるため、(レスプロエンジンでのボア×ストロークに相当する)ディメンションや、ローターのサイズ・厚みなどをまったく新しく考えたというのだ。
つまり、2015年の「Mazda RX-VISION」の時点では、いまでいう8Cの3ローター構想が現実に存在したと言えるだろう。通称「RX-9」実現可能性は確かにあったのだろう。
だが、発電機用としての活用については、2016~2017年ごろに量産に向けた研究開発が始まった証言する。
世の中はちょうど、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス領域、電動化)へと大きく転換した時期であり、8Cの主要目的が単体の発電機用という位置付けに変わっていったと言える。
■水素やカーボンニュートラル燃料の可能性あり
時代は再び、大きな転換期を迎えている。それが、次世代燃料を活用する内燃機関の研究開発だ。
今回「AUTOBILE COUNCIL」の出展車両の中に、2010年代に欧州や日本の官公庁向けなどに販売された「マツダRX-8ハイドロジェンRE」の姿もあった。
筆者は同モデルを、マツダR&D横浜の基点に首都高速や一般公道で試乗しているが、運転中でも車内のレバーひとつで、ガソリンと水素を切り換えることができた。ただ、水素燃料になると、一気にパワーとトルクが落ちる印象だった。
この点を今回、ロータリーエンジンのエンジニアに話すと「今の技術ならば、(他社が水素燃料で実施しているような)燃料をリーンにしたり、過給することでドライバビリティが上がる」と指摘する。
マツダ社内では、ロータリーエンジンを水素で回す研究開発が引き続き行われているようなのだ。また、カーボンニュートラル燃料などについても可能性はあると考えられる。ロータリーエンジンはエンジン内の気体の流動性が高く、様々な燃料の燃焼をうまく行えることがレシプロエンジンに対するアドバンテージだからだ。
最後に、ロータリーエンジンの今後の期待を聞くと、「スポーツカーとしての量産」を挙げた。
運動特性を重視したエンジンレイアウトが可能なロータリーエンジンは、次世代燃料と電動化技術を活用した、「8C連装」スポーツカーという夢へと着実につながっていく。
〈文=桃田健史〉
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みんなのコメント
で、モーター駆動になったらコレジャナイってなんなんだよ
おれも連休中にお部屋の模様替えしよう!!
とか計画するよ
毎年