■派手さはないけど……実用車に欲しい要素がほどよく揃っている
現在、売れ筋のニューモデルといえば「ハイブリッド」車が中心ですが、こうした電動化技術を持たずに販売上位に君臨し続ける小型車があります。その名はトヨタ「ルーミー」。
ルーミーが地道に売れ続ける理由を探ります。
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)の「乗用車ブランド通称名別順位」は、軽乗用車を除いた国内ブランドの新車販売台数とそのランキングが毎月発表されています。
2022年11月7日に発表された10月度のランキングで、ルーミーは5位。販売台数は8144台を記録しています。前年同月比では116.4%の伸びを示しています。
そんなルーミーは、2016年11月にデビューした車高の高いワゴン車(スーパーハイトワゴン)です。
すでにデビューから丸6年が経過したロングセラーモデルであるルーミーは、ダイハツが軽自動車のノウハウを投じて開発した小型車で、トヨタにOEM供給されています。
ダイハツ版の車名は「トール」。さらにスバルにも「ジャスティ」として同型車が供給されています。
デビュー当初はルーミーのほか「タンク」という兄弟車がありましたが、2020年5月に実施されたトヨタの販売チャンネル統合後、2020年9月のマイナーチェンジを機にルーミー1車種へと一本化されました。
1本化された直後の2021年(1月から12月まで)の販売台数は13万4801台で2位。前年2020年の8万7242台(6位)に対し154.5%の伸びとなっており、統合効果が高かったことがうかがえます。
ただし同年のタンク販売台数は3万5591台だったので、兄弟車2モデルを合計しても12万2833台という結果でした。2020年9月のマイナーチェンジによるリニューアル効果も高かったとはいえ、根強い人気ぶりがうかがえます。
搭載されるエンジンは、1リッター3気筒自然吸気エンジン(ノンターボ)エンジンと、同エンジンにターボチャージャーを加え1.5リッター級の出力を与えた高性能版の2タイプで、電動化技術「ハイブリッド」の設定はありません。2WD(FF:前輪駆動)のほか、ノンターボ車のみ4WDの設定も用意されます。
カタログ燃費は1リッター車で18.4km/L、ターボ車でも16.8km/L(共にWLTCモード燃費)。ハイブリッドなしでも十分に低燃費な仕様といえます。
■見た目からも一目瞭然な「室内の広さ」!
ルーミーのボディサイズは、全長3700mm×全幅1670mm×全高1735mm。トヨタのコンパクトカー「ヤリス」が全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mmなので、それよりもさらに小型な扱いやすいサイズですが、背の高さはグッと高め。
外観上も客室部がはっきりと真四角なことがわかるスタイリングで、見るからに室内が広そうなことが伝わってきます。
後席ドアは両側ともスライドドア。乗り込んでみると後席の広さはミニバン並みで、さらにさらにシートアレンジも多様と実用性も極めて優れ、まさに車名のルーミー(ROOMY:英語で「広々とした」の意味)そのものといった成り立ちを特徴としています。
ルーミーの消費税込み価格は「X」(2WD)156万6500円から「カスタム G」(4WD)210万円まで。価格も軽自動車クラスの廉価な設定となっていることもポイントです。
より低燃費なハイブリッド車は安くても200万円台前半からで、それなりのコストが発生しますが、その点ルーミーは、安いのに広く実用的で燃費性能も十分で、しかも200万円前後で買い得と、欲しい要素が1台にほどよく「全部のせ」なのが魅力といえます。
デビュー6年が経過した今も、経済的な実用車を求めるユーザーから根強く支持され続けているという訳です。
※ ※ ※
ちなみに軽自動車の世界では現在、同様に四角くて背の高い「軽スーパーハイトワゴン」が、軽乗用車販売の4割を占める状態にあり、ホンダやダイハツ、スズキ、日産など各社の競争も激化しています。
しかしルーミーのライバル車といえば、OEMの兄弟車と、あとはスズキ「ソリオ」と同車のOEMモデル、三菱「デリカD:2」くらい。自販連のデータによると、2022年10月度に3987台を販売し15位に位置するソリオが最高位です。
トヨタ系販売店の圧倒的な多さ(全国で約5000店弱)という戦力の差も味方につけ、トヨタ一強という現在の状況になっているとみてよいでしょう。
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中身がダイハツの手抜き車だろうが何だって売れるよ。