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新型クラウン・セダンは新世代のリムジンである!──トヨタの思い切ったコンセプトは受け入れられるのか?

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新型クラウン・セダンは新世代のリムジンである!──トヨタの思い切ったコンセプトは受け入れられるのか?

フルモデルチェンジしたトヨタの新しい「クラウン」(セダン)について、小川フミオが考えた!

思い切ったデザイン

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トヨタ自動車が2023年11月13日に発売するという新型クラウン・セダンで興味深い点は、コンセプトそのものだ。トヨタは2023年9月6日に「センチュリー」のSUVバージョンというショファードリブン(運転手つき)前提のモデルを発表している。

斬新なのは、パッケージング。使い勝手を考えて、1805mmもある全高を設定している。かつ2950mmのロングホイールベースを活かして、フルリクライニングできる後席の仕様も設定。クラウン・セダンは、全高こそ1475mmだけれど、センチュリーSUVより長い3000mmのホイールベースを採用した。

理由のひとつは、燃料電池にあるだろう。燃料となる水素のタンクを積まなくてはならないのだ(居住性を考えてのロングホイールベースが先か、水素タンクの収納スペースが先か、今の段階でトヨタの考えは不明)。ただし基本プラットフォームを共用する「MIRAI」のホイールベースは2780mmに抑えられているので、クラウン・セダンは、さらに居住性に振っているとみることができる。

もうひとつ、クラウン・セダンで私が注目したのは、ボディデザイン。ファストバックスタイルは、ずいぶん思い切っている。上屋(キャビン)だけ見ると、新型クラウン・ファミリー第1号の「クラウン・クロスオーバー」に近いデザインコンセプトだ。いずれにしても、従来のリムジンとは無縁のスタイルだ。

「“オーソドックスなセダンはつくりたくない”と、デザイナーのひとたちが考えた」と、クラウン・セダンのプレスリリースに書かれている。

最終的な車型は、販売に全責任を負うトヨタ自身が決めることだから、善し悪しの判断は私には難しい。プロポーションを見ると、Aピラーが極端なほど後退していて、ノーズの長さが強調されているのが大胆、と、感心することはできる。

リムジンの本質とは?ショファードリブンを視野に入れたリムジンといえば、一般的には”長いクルマ”がすぐ思いつく。

レクサス「LS」(全長5235mm)をはじめ、ロールスロイス「ファントムEWB」(5990mm)、BMW 「7シリーズ」(5390mm)、メルセデス・マイバッハ「Sクラス」(5470mm)、アウディ「A8」(5320mm)など。

いっぽう、大胆なコンセプトを採用したリムジンを探すと、まず思いつくのがロールス・ロイスのSUV「カリナン」。センチュリーのSUV版が発表されたとき、コンセプトの近似性が取り沙汰された後席重視のモデルだ。

トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」をベースに、後席にフルリクライニングシートを設けたレクサス「LM」や、ジャパンモビリティショー2023にトヨタ車体が出品した、やはりフルリクライニングシートを持つ「ヴェルファイア・スペーシャスコンセプト」も、いまの時代っぽいリムジンだ。

歴史的には、ロースル・ロイス「ファントムV」(1959~1968年)やメルセデス・ベンツ「600」(1963~1981年)がよく知られたリムジンだ。さらに当時は、ジャガーより高級ブランドで、ウイルスンからサッチャーにいたる英国首相が後席に乗っていたローバー「P5」(1958~1973年)や、ホイールベースが3580mmあった大型(なのに価格はジャガー「XJ」より安かった)デイムラー「DS420」(1968~1992年)などが思いつく。

シトロエン「DS」(1955~1975年)だって、フランスでは大統領公用車にも使われていた。当時の映画好きには、映画『ジャッカルの日』(1973年)でよく知られているのでは。映画『個人生活』(1974年)では政治家役のアラン・ドロンが車内で電話を使っていて、私は驚いたものだ。なぜなら当時の日本で、DSをショファードリブンとして使うことなんか考えられなかった。

リムジンの本質とは、その時代にそこに乗るひとが求めているものを出来るだけ十全なかたちで提供するところにあるのでは? と、私は思う。前出のDSだと、優れた乗り心地や電話かもしれない。現代だとBMW7シリーズでは天井から31インチという驚愕サイズの大型モニターが展開して、ウェブ会議だって出来るし、レクサスLMはシートをフルリクライニングし、移動中にすやすやと眠っていられる。こういった“機能”を求める人にとっては、かなり魅力的だろう。

クラウン・セダンの場合は(乗っていないので確かなことは言えないけれど)燃料電池モデルの設定で、ゼロエミッションによる環境への貢献だろうか。

この種のクルマは、“社会的責任を負うことは、このクルマの後席におさまっていられるひとの義務”という考え方も出来る。その点で、クラウン・セダンのFCEV(燃料電池車)に乗る価値はある、といえるような気がした。急な移動時、ピュアEVだと充電中なんてこともありうるかもしれないが、水素は充填があっというまなので、ステーションの使い勝手さえよければ、リムジンに向いているともいえる。

なるほど、新型クラウン・セダンは新しい世代のリムジンの誕生かもしれない。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

8件
  • ********
    ちょっとデカくなりすぎな気がするんだよね
  • moo********
    サイドビューがパナメーラのパクリみたいでなぁ
    セダンであのケツの短さは無いでしょ、ハッチバックの真似してどうすんのよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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