現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタ・イノーバ ゼニクスにぶつけるガチライバル! 中国BYDの「M6」発売に見えるインドネシア獲りの本気度

ここから本文です

トヨタ・イノーバ ゼニクスにぶつけるガチライバル! 中国BYDの「M6」発売に見えるインドネシア獲りの本気度

掲載 6
トヨタ・イノーバ ゼニクスにぶつけるガチライバル! 中国BYDの「M6」発売に見えるインドネシア獲りの本気度

 この記事をまとめると

■BYDはGIIAS2024でMPVスタイルのBEV「M6」の正式発売をアナウンスした

中国メーカーの工場進出でタイが東南アジアのデトロイト化! その勢いに逆行するように生産を縮小するホンダは大丈夫なのか?

■「e6」と呼ばれるモデルも存在し「M6」の廉価モデルという位置付けだ

■BEVでありながら安価ということもありトヨタなどをライバル視しているとみられる

 BYDが発表した新モデルに違和感あり!?

 中国BYDオート(比亜迪汽車)は、7月18日から28日の会期にて、インドネシアの首都ジャカルタ近郊で開催されたGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)2024の開幕日前日に会場内で行われたプレスカンファレンスにおいて、多人数乗車が可能なMPV(多目的車)スタイルのBEV(バッテリー電気自動車)となる「M6」の正式発売を発表した。車両価格は3億7900万ルピア(約368万円)からとなっている。

 M6は筆者が海外各地の街角で見てきた限りでは、同じBYDの「e6」というモデルによく似ている。e6の初代モデルは2009年にデビューしている。BYDとしても本格的にBEVの量産をはじめた初期モデルといっていいだろう。

 2021年に生産終了となり現行2代目へと引き継がれている。初代e6の流れを受け継ぎ2代目もフリート販売専用モデルのような存在となり、筆者が見てきた限り、e6はタイやインドネシア(筆者が確認した限りではまだ初代のみのようだ)ではタクシー車両として採用されている。

 現行2代目は2021年にデビューしている。中国国内におけるBYDの宋ブランドの「宋マックス」の海外向け仕様と考えてもらえばわかりやすいだろう。そして、調べてみるとe6は、右ハンドル市場でのみラインアップされているということである。タイではすでにタクシー車両として、2代目もバンコク市内では多く見かけることができる。それではこのe6とM6の関係はというと、じつはBYDにはかつてM6というモデルが存在していたので、まずそこから紹介していこう。

 2010年から2017年の期間でラインアップされていたM6は、丁寧な表現を使えば、トヨタの3代目エスティマにインスパイアされたモデル。つまり、わかりやすくいえばコピー車といってもいいモデルであった。いまでこそBYDはBEVの世界的トップブランドとなっているが、現在のBYDは、BYDオートの親会社であるBYD(比亜迪股份有限公司)の子会社であった「西安泰川汽車有限公司」が倒産し、BYDオートと社名変更。2003年に新会社として設立されている経緯がある。

 当初は主にトヨタ・カローラセダンのコピー車「F3」など、「どこかで見たような」といいたくなるようなICE(内燃機関)車ばかりで、そのなかにM6もあった。初代M6は1.5リッターと2リッターエンジンを搭載するICE車であった。

 BYD M6はBEVでありながらトヨタのHEVよりも安い!

 e6とM6の関係については、あくまで筆者の見方となるが、e6がタクシーなどフリート販売にも対応したシンプルなモデルなのに対し、M6は一般ユーザーや企業幹部用車両としてe6の豪華版として存在するのかもしれない。

 すでにインドネシア最大手のタクシー事業者である、「ブルーバードグループ」は2024年4月にe6の導入を発表している。

 e6であろうがM6であろうが、タクシー以外の法人需要が目立つモデルのような印象も受けるが、会場内BYDブース壇上に展示してあったM6の実車にはいつも人が集まっていた。核家族化が進むものの、いまでも多世代同居が目立つインドネシアでは、3列シートをもつMPVニーズは高い。その意味ではBEV専用MPVというのは多くのインドネシアの人の注目を集めていたのかもしれない。

 地元メディアでは、3列シートを採用するMPVで絶大な人気とステイタスを誇る、トヨタ・イノーバ ゼニクスと比較する報道も目立っていた。

 2リッター新世代ダイナミックフォースエンジンベースのハイブリッドエンジンを搭載するイノーバ ゼニクスの価格は4億7760万ルピア(約450万円)からとなっている。

 M6はイノーバ ゼニクスとボディ寸法はそんなに変わらない。それでいてBEVでありながらM6は安価だ。ただ、クラウンにいきなり、やや畑違いなブランニューモデルが挑むような構図なのも確かで、筆者としては違和感を覚えるところもある。社用車(偉い人向け)ニーズも多いイノーバ ゼニクスなので、M6も社用車ニーズを狙っているという意味で、イノーバ ゼニクスの車名が出てきているのかもしれないが……。

 最大手のタクシー事業者「ブルーバードグループ」では、トヨタのコンパクトMPV(アバンツァ)ベースの営業車両「トランスムーバー」の最新型車両を2024年に入って導入をはじめたばかり。もしかして、e6がトランスムーバーにとって代わってしまうのか? とも思ったが、トランスムーバーは価格が2億ルピア近辺(約195万円近辺)ということなので、e6であってもトランスムーバーの存在を揺るがすような価格にはならないだろうから、あくまで「BEVタクシー」というカテゴリーで、いま導入されている初代e6タクシーを現行e6へ入れ替えることになるようである。

 ただし、価格をメインにM6のキャラクター分析をすると、アバンツァとイノーバ ゼニクスの中間に位置し、しかもBEVとなるので、なかなか微妙なポジションとなり隙間的なニーズをつかむことができるかもしれない。さらに、インドネシアでニーズの高いMPVスタイルとなるので、ジャカルタ首都圏など都市部以外でのBYD製BEV車の旗頭として販売促進にもつながるかもしれない。タクシーやライドシェアニーズを狙ったe6とセットで攻めてくるあたりは、BYDらしい周到な販売戦略というものを感じる。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
AUTOSPORT web
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
AUTOSPORT web
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
AUTOCAR JAPAN
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
Auto Messe Web
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
motorsport.com 日本版
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
AUTOCAR JAPAN
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
AUTOSPORT web
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
motorsport.com 日本版
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
乗りものニュース
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
くるまのニュース
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
AUTOSPORT web
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
AUTOSPORT web
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
AUTOCAR JAPAN
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
Auto Messe Web
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
motorsport.com 日本版
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
AUTOSPORT web
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
AUTOSPORT web
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
VAGUE

みんなのコメント

6件
  • ivq********
    これが次期ESTIMAか
  • 投資家のコメント
    アメリカ合衆国の企業家、政治家、前最高指導者、Donald John Trump(ドナルド・ジョン・トランプ)さんが反EV派の姿勢から一転し、EV寄りの発言をした模様ですが、それについてカービューキッズの皆様は如何思われますでしょうか?15字以上50字以内でお答えください。
    ※当コメントに関連しない内容又は誹謗中傷を含むコメントを返信した場合、本件に関してぐうの根も出ず涙目になりながら書き込んだ、所謂「負け惜しみ」であると解釈させていただきます。あらかじめご了承ください
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.0360.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.0155.0万円

中古車を検索
MPVの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.0360.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.0155.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村