現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スモールカー要らずのスモールSUV。キャプチャーの内に秘めた実力とは

ここから本文です

スモールカー要らずのスモールSUV。キャプチャーの内に秘めた実力とは

掲載 更新 6
スモールカー要らずのスモールSUV。キャプチャーの内に秘めた実力とは

個性的なスタイルで人気を博したコンパクトSUVの2代目は、フランス車には珍しいキープコンセプトで登場した。合理的な思想と力強い走りを備え、スモールカーとしてさらに磨き込まれている。

ヒットした初代のキープコンセプト

さすがに1200kg少々という新型のルノー ルーテシアほどの軽さには収まらず1380kg(本国発表値)となったが、欧州BセグメントのFFベースのSUVにも関わらず、インテリアの豪華さは想像のナナメ上をいっていた。3連ダイヤルのバイゾーン・エアコンのスイッチなど、ところどころルーテシアと共通ながら、借り出した「インテンス」内装のトリムではマットなオレンジメタリックのソフトパッドがダッシュボードの下面からシフトコンソールにかけて張られ、ビジュアル的にもタッチの上でも包まれ感は上々。メーターパネルはフル液晶に一新され、ダッシュボード中央には縦長のタッチスクリーンが鎮座する。フランス車らしく柔らかな、それでいてモダンな表現だ。昨年のフランクフルトIAAでフルモデルチェンジが発表されて、欧州では発売されて1年近くたったが、日本にも来年前半に導入が見込まれるルノー キャプチャーの第2世代である。

初代より全長は約10cm延び、全幅は約2cm拡がり、全高は約1cm高くなって4227×1797×1576mm(本国発表値)のサイズとなったボディは、なかなか堂々としている。ルノー日産三菱アライアンスのCMF-Bという新開発プラットフォームに一新されながらも、デザインはフランス車には珍しく、キープコンセプトで進化した。Cの字を描くLEDライト一体型の前後コンビネーションランプと、サイドウィンドウ下端からCピラーに至るクローム使いなどが新しいディティールだが、それだけだ。初代がヒットしたがゆえの外観デザインという点は、ルーテシアと同様だ。ちなみにCMF-Bは日本未導入の英国生産の日産車、ジュークが初めて市販モデルに採用し、ルノーは今のところ5世代目ルーテシアとこの2世代目キャプチャーのみ。日産では新しいノート e-パワーで待望の国内投入がようやく始まるところだから、その最新ぶりが分かるだろう。

華もある、スモールSUVの優等生

走りについても、すでに新型ルーテシアの軽量&高剛性ぶりと、それらに見合わぬほどのどっしりした走り味を経験していると、地続きの安定感のようなものを確かにキャプチャーにも感じる。旧型よりも明らかに剛性感も静粛性も高く、力強い。だがTCe140という、最高出力が10psほど向上している新しい1.3リッターターボのアウトプットは、感触もルーテシアのそれと微妙に異なる。トルクの引き出し方が機敏なルーテシアのTCe130に対し、こちらはロングストロークのエンジンらしい力強さを示し、ワンテンポしてからパワーがグイと出るような、そんな性格なのだ。湿式に改められたダブルクラッチの7速EDCの、下のギアでは低めで中から上のギアでは長めというギアリングも効いている。

これは10cmほど伸びた全長のほとんどが、初代の455リッターから536リッターへと拡大された荷室容量に充てられていることと、無関係ではないだろう。スモールSUVであってもフランス車は、1年で最大の冒険である長期休暇ドライブでの満載&グランドツーリングに、焦点が合っているのだ。FFしか駆動方式を用意しないのもそういうことで、年に数度も使わない4WDシステムを1年中背負って燃費を悪化させる方が非合理的、という発想だ。

かといってハンドリングがスロー志向かといえば、そうじゃないのがルノーの凄みだ。マイルドな回頭性ながらも鈍いと思わせない舵の正確さで、足回りのストローク量もハッチバックのルーテシアより多いが、下りのワインディングでも面倒とか怖さを感じさせない。なかなか粘っこいロードホールディングなのだ。ADAS機能もレベル2ながら、レーンセンタリング機能はけっこうな積極制御で、空いている高速道路などでは頼もしく感じることすらある。そもそもミリ波レーダーやセンサーやカメラの安定作動を担保するための、フラットな乗り心地と直進安定性がBセグ離れしている。そこもルーテシア同様だ。

見かけはSUVで、インテリアは地味ハデなラウンジのようだが、乗り込むほどに、良質のスモールカーとして磨き込まれていることを再認識させてくれる。華もあるし、新しいキャプチャーはスモールSUVの優等生といえる。加えてキャプチャーには、ルーテシアにないPHEV版も本国では用意される。日本での展開を期待したいところだ。

文・南陽一浩 写真・Groupe PSA 編集・iconic

こんな記事も読まれています

日産「“2ドア”ハコスカGT-R」実車展示に大反響! 「極上個体」の値段に議論勃発!? 今「いくら」で買える?
日産「“2ドア”ハコスカGT-R」実車展示に大反響! 「極上個体」の値段に議論勃発!? 今「いくら」で買える?
くるまのニュース
何か関係はある? 偉人の名前が付けられた「ナポレオンミラー」の正体とは
何か関係はある? 偉人の名前が付けられた「ナポレオンミラー」の正体とは
バイクのニュース
メルセデスベンツの新型EVトラック、欧州20カ国走破ツアー開始…航続500kmの『eアクトロス600』
メルセデスベンツの新型EVトラック、欧州20カ国走破ツアー開始…航続500kmの『eアクトロス600』
レスポンス
「高速SA」に泊まれる!? 謎の「ハイウェイホテル」車中泊より快適ってホント? “どんな人”が利用してる? 実際に宿泊した人からの感想も
「高速SA」に泊まれる!? 謎の「ハイウェイホテル」車中泊より快適ってホント? “どんな人”が利用してる? 実際に宿泊した人からの感想も
くるまのニュース
気になる! バイクのバッテリー寿命はすべて均一なのか?
気になる! バイクのバッテリー寿命はすべて均一なのか?
バイクのニュース
FP2でクラッシュの12号車ポルシェ963、ル・マンの飛行場で代替シャシーのシェイクダウンを完了
FP2でクラッシュの12号車ポルシェ963、ル・マンの飛行場で代替シャシーのシェイクダウンを完了
AUTOSPORT web
欲しい人は急げ!! アバルトのガソリン車[F595][695]日本モデルの生産終了! 残るは在庫販売のみに
欲しい人は急げ!! アバルトのガソリン車[F595][695]日本モデルの生産終了! 残るは在庫販売のみに
ベストカーWeb
トヨタ『ヤリス』次期型は2025年末登場か、ハンマーヘッド&新エンジン搭載でスポーティ感アップ!?
トヨタ『ヤリス』次期型は2025年末登場か、ハンマーヘッド&新エンジン搭載でスポーティ感アップ!?
レスポンス
スズキが新型「ハスラー」発表! レトロなゴツ顔「ワイルド仕様」 SUV感スゴッ! 「ジムニー」と比較する人はいるのか
スズキが新型「ハスラー」発表! レトロなゴツ顔「ワイルド仕様」 SUV感スゴッ! 「ジムニー」と比較する人はいるのか
くるまのニュース
輸入車メーカーや「ヨシムラ」から認められるトップペインターが施工 スプレー式ガラスコーティングとは?
輸入車メーカーや「ヨシムラ」から認められるトップペインターが施工 スプレー式ガラスコーティングとは?
バイクのニュース
日産『デイズ』と『ルークス』、一部仕様を変更し新色も追加
日産『デイズ』と『ルークス』、一部仕様を変更し新色も追加
レスポンス
新車購入でお馴染みの光景「値引き交渉」はまもなく姿を消す!? 家電で広がる「指定価格」が新車にも導入される可能性
新車購入でお馴染みの光景「値引き交渉」はまもなく姿を消す!? 家電で広がる「指定価格」が新車にも導入される可能性
WEB CARTOP
日産ノート オーラが仕様変更。フロントマスクの刷新や新内外装カラーの設定などで存在感と上質さをアップ
日産ノート オーラが仕様変更。フロントマスクの刷新や新内外装カラーの設定などで存在感と上質さをアップ
カー・アンド・ドライバー
[15秒でわかる]フィアット『ストラーダ』のスポーツ仕様…内外装ともに引き締まった印象に
[15秒でわかる]フィアット『ストラーダ』のスポーツ仕様…内外装ともに引き締まった印象に
レスポンス
ホンダ EVの社会実装とCN社会の実現にむけ新会社ALTNAが電力ビジネスの事業展開を開始
ホンダ EVの社会実装とCN社会の実現にむけ新会社ALTNAが電力ビジネスの事業展開を開始
Auto Prove
新型「BMW M3」早くもツーリングをフェイスリフト パワーアップされた「M3」の全情報!
新型「BMW M3」早くもツーリングをフェイスリフト パワーアップされた「M3」の全情報!
AutoBild Japan
高速のSA・PAで「車中泊」してもいいの?「法令違反」の可能性も?! 「これは仮眠ですから!」主張は許されるのか
高速のSA・PAで「車中泊」してもいいの?「法令違反」の可能性も?! 「これは仮眠ですから!」主張は許されるのか
くるまのニュース
じ~ん。ポルシェを手に入れた瞬間の幸福
じ~ん。ポルシェを手に入れた瞬間の幸福
レスポンス

みんなのコメント

6件
  • プジョー2008とコレは気になるわ、新型ルーテシアの試乗記事も高評価だったし
    サイズは幅1800以下で日本だと運転しやすいサイズだし運転支援も問題無し
    リセールバリューは諦めて買わなきゃ駄目だろうけどw
  • 日産ジュークの兄弟車。
    地元市場では大衆SUVとしてこの凡庸ぶりでOKだろうが、日本ではぶっちゃけこれよりジュークの方がトガった商品として好感されそう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

337.0439.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.0379.9万円

中古車を検索
キャプチャーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

337.0439.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.0379.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村