現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「セルシオ」のライバルだった!? 日産「インフィニティQ45」は贅を尽くして話題をさらったバブル時代の悲しき名車でした

ここから本文です

「セルシオ」のライバルだった!? 日産「インフィニティQ45」は贅を尽くして話題をさらったバブル時代の悲しき名車でした

掲載 27
「セルシオ」のライバルだった!? 日産「インフィニティQ45」は贅を尽くして話題をさらったバブル時代の悲しき名車でした

トヨタ「セルシオ」のライバル的存在は贅沢の極みだった

今回紹介するのは、バブル景気に湧く1989年に登場した「インフィニティQ45」だ。1989年というのはR32型日産「スカイラインGT-R」など、今で言う名車が大挙登場した年であり、バブル真っ盛りというか、今思えば崩壊直前の絶頂期だった。それゆえ、各メーカーからさまざまなクルマが登場したが、基本的には豊富な開発費をバックにした質へのこだわり、そして豪華絢爛な作りが当たり前となっていた。いい悪いは別にして、日本車のレベルをグッと引き上げたのは確かだ。

日産「プレセア」はミニ「インフィニティQ45」だった!? 遅れてやってきたバブルなクルマはセンス抜群でした

バブル景気で多彩なクルマが登場した

と、総括的に言えばこうなるのだが、振り返ってみると行き過ぎた感じのクルマも少なからず存在した。大量発生という点では毎度お馴染みのマツダ5チャンネル勢はクルマとしてはよかったが、存在意義としてはよくわからなかったというのが正直なところだろう。

バブルといえば高級路線もひとつの特徴で、1989年には世界の自動車メーカーを震撼させた名車、トヨタ「セルシオ」が登場している。だが、その対抗馬として日産が投入したインフィニティQ45については、今思えばよくわからないクルマだった。ちなみにセルシオの登場よりも1カ月早く発売されており、ルーツとなるショーカー、「CUE-X」が登場したのは1985年のこと。どちらかがライバルとして当てたというよりも、時代の趨勢によってそれぞれが別個に登場したというのが正しいだろう。

まず車名がよくわからなかった。インフィニティとは1989年に設立された、今でもある日産の北米向けブランドである。つまり、開始と同時に最上級車種として作られたのがインフィニティQ45というわけだ。ただし、インフィニティブランドが日本に上陸するとのウワサはあったものの、現在に至るまで展開されたことはない。

インフィニティブランド日本導入のきっかけとなるはずだった

この点が当時から違和感はあった。バブルの勢いでインフィニティを日本展開したかったのかもしれないが、インフィニティQ45としてポツンと日本に投入したのだから当然だろう。レクサスが日本に未上陸なのに、セルシオだけがレクサスLS460というような車名でトヨタのディーラーで売っていたら違和感を感じるのと一緒だ。

それに対しての答えは、あくまでも「日産」インフィニティQ45であるというもの。つまりただの車名というわけだ。実際、小さいNISSANのエンブレムが付いていた。

七宝焼や漆塗りも使い贅沢に作り込まれていた

肝心の作りは贅を尽くしていた。和のテイストを取り入るというのはどのメーカーでも行われていて当時の流行りだった。インフィニティQ45ではフロントエンブレムは七宝焼。インパネは漆塗りで蒔絵も施されていたし、オプションながら18金製のキーも大きな話題になった。

走りもまさに1980年代の集大成的な成熟した内容。日本初の4.5LのV8は実質300psは出ていたとされ、足まわりも前後ともに日産お得意のマルチリンク式を採用し、さらにはオプションでアクティブサスも用意されていた。

このように売れて当然のように思えるが、実際はほとんど売れず。セルシオの対抗馬にすらなっていなかったと言っていい。理由は車名もあるだろうし、和のテイストもやりすぎた感もあったし、グリルレスとそこに輝く七宝焼きのエンブレムはなんだかバタ臭い感じもした。外国人が考える日本風と言ったらいいだろうか。

そしてなにより、狭かったのも関係していると思われる。サイズ的には全幅が1825mmで、全長も5090mmと巨大だったが、その割には狭いというのが正直な印象。当時、ピラーを内側に傾けたハードトップが人気だったので、その手法を採り入れたのはとくに変ではない。ただし、ライバルたるセルシオがキッチリとスペースを取って、クラウンの上級車種としてうまくハマっていただけに、なおさら。セドリック/グロリアからステップアップされるわけではないし、身内には大ヒット作シーマもいる。さらに1年後にはテコ入れ的に兄弟車のプレジデントまで投入されただけに、わざわざ買う理由がなかった。

インフィニティQ45は最終的に1997年まで販売され、国内的には3代目シーマとなって消滅してしまった。途中でグリルレスをグリルありにしたり、本木目を木目調にするなど、コストダウンという名のテコ入れが行われたが、当然ながら販売は回復するわけはなかった。

アメリカでは堅実に売れたからいいのだろう。またバブルのあだ花と言ってしまえばそれまでだが、今思えば出来は悪くなく、奇をてらわなければもう少し売れた気もする。セルシオ的な、日本人が本当に好むものをうまく入れていればよかったかもしれない。

こんな記事も読まれています

アルパインがジムニー専用10型ビルトインナビ発表! “純正を超える超純正”製品や、ルーフから降り注ぐサウンドが体感できる「メティオサウンド」など発売へ
アルパインがジムニー専用10型ビルトインナビ発表! “純正を超える超純正”製品や、ルーフから降り注ぐサウンドが体感できる「メティオサウンド」など発売へ
くるまのニュース
庶民のFFハッチをメーカー自ら魔改造! コスワース謹製エンジンをぶち込んだ「フォード・エスコートRSコスワース」とは
庶民のFFハッチをメーカー自ら魔改造! コスワース謹製エンジンをぶち込んだ「フォード・エスコートRSコスワース」とは
WEB CARTOP
アイルトン・セナに敬意、マクラーレン『セナ』の8分の1スケールモデル開発中…日本円で320万円
アイルトン・セナに敬意、マクラーレン『セナ』の8分の1スケールモデル開発中…日本円で320万円
レスポンス
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーに我らがプリウスが輝いた! プロサングエやブロンコを凌ぐ魅力をデザインのプロが解説!!
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーに我らがプリウスが輝いた! プロサングエやブロンコを凌ぐ魅力をデザインのプロが解説!!
WEB CARTOP
日産 新型「ノートSUV」世界初公開! 3年ぶり”顔面刷新”に反響大! タフ感増した新型「ノート“クロスオーバー”」発表
日産 新型「ノートSUV」世界初公開! 3年ぶり”顔面刷新”に反響大! タフ感増した新型「ノート“クロスオーバー”」発表
くるまのニュース
発売から1か月 トヨタ新型「ランドクルーザー250」注目の “丸目”限定車はまだ買える!? 販売店に聞いてみた
発売から1か月 トヨタ新型「ランドクルーザー250」注目の “丸目”限定車はまだ買える!? 販売店に聞いてみた
VAGUE
「アウディが推進する都心のEVライフとは?」【自動車業界の研究】
「アウディが推進する都心のEVライフとは?」【自動車業界の研究】
LE VOLANT CARSMEET WEB
最終周まで激闘も、インディ500”最速の敗者”に。オワード「胸が張り裂けそうだよ」
最終周まで激闘も、インディ500”最速の敗者”に。オワード「胸が張り裂けそうだよ」
motorsport.com 日本版
シャシーが完成してクルマの形に!ハセガワ製「ケンメリGT-X」にエンジン搭載、DATSUN化!第3回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
シャシーが完成してクルマの形に!ハセガワ製「ケンメリGT-X」にエンジン搭載、DATSUN化!第3回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
みんな“月2万円”使ってる!? 「クルマにかかるお金」高いは本当? 最新調査で分かった実態とは
みんな“月2万円”使ってる!? 「クルマにかかるお金」高いは本当? 最新調査で分かった実態とは
くるまのニュース
マリオ・アンドレッティ、リバティCEOの言葉に衝撃受ける「F1参戦を全力で阻止すると面と向かって言われた」
マリオ・アンドレッティ、リバティCEOの言葉に衝撃受ける「F1参戦を全力で阻止すると面と向かって言われた」
AUTOSPORT web
【国内試乗】スーパーラグジュアリーの新たなる最適解「ロールス・ロイス・スペクター」
【国内試乗】スーパーラグジュアリーの新たなる最適解「ロールス・ロイス・スペクター」
LE VOLANT CARSMEET WEB
CAMSHOP.JP の「Honda スーパーカブ×ラッピー コラボTシャツ」が那須クラシックカー博物館にて販売開始!
CAMSHOP.JP の「Honda スーパーカブ×ラッピー コラボTシャツ」が那須クラシックカー博物館にて販売開始!
バイクブロス
RunWind のバイク用ヘルメット曇り止めシートに「ワイドサイズ」が登場!
RunWind のバイク用ヘルメット曇り止めシートに「ワイドサイズ」が登場!
バイクブロス
住友ゴム、ダンロップ「スポーツマックスRS」を6月発売 全26サイズを展開
住友ゴム、ダンロップ「スポーツマックスRS」を6月発売 全26サイズを展開
日刊自動車新聞
トヨタが「新・凄いエンジン」世界初披露! なぜ“イマ”エンジン開発? 1.5&2Lは「エコからスポーツ」まで!? どんな技術なのか
トヨタが「新・凄いエンジン」世界初披露! なぜ“イマ”エンジン開発? 1.5&2Lは「エコからスポーツ」まで!? どんな技術なのか
くるまのニュース
663馬力のV8エンジン搭載オープンスポーツ! 令和に復活した伝統の“マッスルカー” 新型「ACコブラ」がついに登場
663馬力のV8エンジン搭載オープンスポーツ! 令和に復活した伝統の“マッスルカー” 新型「ACコブラ」がついに登場
VAGUE
スバルの次世代ハイブリッドは、トヨタ式のハイブリッドを組み込む【マルチパスウェイワークショップ SUBARU編】
スバルの次世代ハイブリッドは、トヨタ式のハイブリッドを組み込む【マルチパスウェイワークショップ SUBARU編】
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

27件
  • このライター、本当乗ったことがあるのか?室内スペースは明らかに初代セルシオより広かった。特にリアシートのレッグルームに差があって、初代セルシオは狭かった。
  • 後期はフロントグリルを着けたけどぱっとしないままだった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

593.3787.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.0277.5万円

中古車を検索
セルシオの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

593.3787.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.0277.5万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村