CX-8の中古車相場高騰はCX-80の登場でどう変わる
2024年10月10日、マツダのフラッグシップSUV「CX-80」が販売開始となりました。マツダのラージ商品群第2弾として、FRのプラットフォームを採用したのに加えて、3列シートや広大なラゲッジペースを備えています。マツダの3列シートミニバンのパイオニアと言えば「CX-8」。クルーザーのような大らかな乗り心地で、ファミリーカーとして人気でしたが、中古車相場が高騰しています。はたしてその理由とは?
マツダ新型「CX-80」を長距離試乗! 3列目シートは「おもてなし」満載も乗り心地は…ドライブフィールは良好です
3列シートSUVの先駆けだったCX-8
2024年10月10日、マツダはフラッグシップSUV「CX-80」の販売を開始した。CX-80は、国内におけるラージ商品群の第2弾で、3列シートや広大なラゲッジペースを備え、オンロードからオフロードまで気持ちよく走ることができるフラッグシップモデル。これは2023年12月に生産終了した「CX-8」の後継車という位置づけに間違いない。
一般的にはフルモデルチェンジを行うと旧型車は、未使用車などが出回る一時期だけ中古車相場が値上がりするものだが、昨年末に生産終了したCX-8は、その後も人気が衰えず、現在でも中古車相場は値上がり傾向となっているのだ。
ここではマツダのフラッグシップSUVとして君臨したCX-8の歴史を振り返りつつ、最新の中古車相場の現状を紹介しよう。
マツダCX-8は、マツダが、ミニバンに代わる新しい提案として2017年末に販売開始した3列シートSUV。これまでの3列シート車=ミニバンという図式を崩すことに成功し、3列シートSUVという新しいムーブメントを確立したモデルだ。
全長約4.9mのCX-8は5人乗りの「CX-5」のボディをストレッチしたモデルではなく、海外で販売されている「CX-9」をベースに日本市場に合わせてダウンサイジングさせたモデル。キャビンスペースは3列目まで大人が乗れる居住性、無理のない優れた乗降性を確保しながら、3列目までの定員乗車時でも荷室容量はゴルフバッグ2個を搭載できる239Lを確保。さらに3列目シートを倒せば572Lのラゲッジ容量を実現している。
ボディ剛性の向上やフロントダンパーに「リバウンドスプリング」を採用することで、コーナリング時の安定性を実現。また後輪フェンダーパネルなどに制振材を採用することで、ロードノイズの音源となる車体の共振を抑制しているのが特徴となっている。
CX-8に搭載されたエンジンはデビュー当初、最高出力190ps、最大トルク450Nmを発生する2.2L直列4気筒ディーゼルターボの1種類だった。組み合わされるトランスミッションは6速ATを採用。そして駆動方式は2WD(FF)とi-ACVTIV AWDと呼ばれる新世代4WDを設定。燃費性能は実走行に近いWLTCモードで15.4~15.8km/Lと駆動方式による差が非常に小さくなっているのが特徴。
運転支援システムは、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」の標準装備に加えて、車両の前後左右に装着された4つのカメラ映像をさまざまな走行状況に応じて切り替えてセンターディスプレイに表示して、死角や障害物との距離を目視で確認できるようにする「360°ビューモニター」を設定するなど充実した運転支援システムを採用している。
一部改良を重ねて進化し続けた
CX-8は2017年12月の販売開始以降、一部改良を重ねて進化している。2018年10月には最高出力190psを発生する2.5L直4ガソリンエンジンと、最高出力230psを発生する2.5L直4ガソリンターボエンジンを追加し、3種類のパワートレインから選べるようになった。同時に高速走行時や滑りやすい路面でも安定した車両挙動を実現。意図しない急な動きを抑制し、乗員の不安感を軽減する「G-ベクタリングコントロールプラス」を全車に標準装備。
さらにコネクティビティシステム「マツダコネクト」のスマートフォンの連携強化。安全装備では運転支援システムのアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートに夜間歩行者検知機能を追加するなど商品性を強化している。
2019年の一部改良で、2.5Lエンジン車に4WD、2.5Lターボ車に2WDを追加し、すべてのエンジンで2WDと4WDを選べるようになった。またWVGAセンターディスプレイのサイズを7インチから8インチに拡大。さらに、2列目に電動スライド&リクライニング機構を採用した特別仕様車の「エグゼクティブモード」を設定した。
2020年の一部改良では、2.2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを従来の190psから200psへと向上。同時に6速ATの応答性を向上させ、ドライバーが素早くアクセルを踏み込んだ際に、より素早く変速するようになっている。
快適装備では、ハンズフリー機能付きパワーリフトゲートの採用をはじめ、ワイヤレス充電、最大10.25インチまでセンターディスプレイのサイズの大型化を図るなど快適性を向上。さらにプロアクティブをベースとした特別仕様車の「ブラックトーンエディション」を設定した。
そして2022年11月には大幅改良を行い、内外装の変更に加えて、「マツダ3」から採用している車両構造技術「スカイアクティブビークルアーキテクチャー」の考え方を取り入れ、長時間運転しても疲労感の少ない運動性能を目指し、すべての乗車位置で揺れを軽減し、快適性を向上させている。
また、走行シーンに応じて、スイッチ操作ひとつで任意に走行モードが切り替えられる「Mi-Drive」を新採用。安全装備では、3列目乗車時の後方からの追突に対する衝突安全性の確保に加え、アダプティブLEDヘッドライト(ALH)の進化やクルージング&トラフィック・サポート(CTS)を採用し、安全性を向上させている。
そして特別仕様車としてアウトドア色を強めた4WD車のみの「グランドジャーニー」、全身をブラックでまとめて上質さを表現した「スポーツアピアランス」を追加した。
1年で中古車の流通台数が半減
約6年にわたり販売されたCX-8の中古車の流通台数は、現在約680台。生産終了となった2023年12月末の時点では約1700台だったので、半分以下まで減少している。そして中古車の平均価格は現在約301.6万円。2023年12月末の時点では約260万円だったので、40万円も値上がりしているのだ。中古車の価格帯は約150万~約500万円で、とくに低価格車の下げ止まりが目立っている。
CX-8の中古車の年式別の分布を見ると、昨年末と比べると、とくに2020年の一部改良後のモデルが減少していて、大幅改良を行った2022年式以降は半減している。これは、運転支援システムなどがアップデートしている高年式車の人気がとくに高いことを表している。
つまり、今回のCX-8の中古車相場の値上がりは、CX-80の発売の遅れが原因だけでなく、ラージ戦略車の評判によりCX-8の高年式中古車を購入する人が多かったというように考えられる。
CX-80が正式に発表されたことにより、今後は値上がりの勢いは緩やかになるかもしれないが、高止まりする可能性は高いので、今後の動きを要チェックだ。
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