輸入車 [2024.05.11 UP]
長く愛してほしいジープ ラングラー
文●九島辰也 写真●ジープ
ジープ 北米でバズった“ダック”付き!ラングラーアンリミテッドにフリーダムな特別仕様車
ジープ・ラングラーが新しくなりました。といってもフルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジです。現行のJL型は2018年のデビューですから6年目を迎えての進化となります。そもそもラングラーはモデルサイクルが通常のクルマより長く設定されています。まぁ、そうちょこちょこ手を加えるクルマではないのはおわかりでしょう。エクステリアデザインでいえば、変えるのが難しいモデルです。
なので、YJ型は1987年、TY型は97年、JK型は2007年とほとんど10年サイクルになります。となると、JL型のフルモデルチェンジは2028年ごろですかね。もしかしたらその頃はBEVになっているかもしれません。
ジープ ラングラー サハラ(1988年モデル)
そんなラングラーですが、個人的にとても馴染みがあります。YJ型、TJ型は所有していましたし、昔のワゴニアにも乗っていました。JK型はセールスマン用に技術解説書も作りました。ジープらしい装備をひとつひとつ丁寧に解説すると新しい発見をしたり。いい勉強になります。それにジープの聖地であるルビコントレイルにも何度か足を運びましたし、モアブにも行きました。オフロードをラングラーで走る楽しみを知っています。岩肌をグイグイ登っていく様は感動モノですね。それにこうしたイベントではアメリカのスケールの大きさに圧倒されます。なんたって山の中腹までランチボックスをヘリコプターで運んで来るんですから。「あのヘリ、僕らの弁当運んでたりして」なんて言っていたら、本当にそうだったんです。
カリフォルニア州のルビコン・トレイルは、ジープの悪路走破性を証明する過酷なテストコース
なんて話はともかく、マイチェンしたJL型ラングラーのトピックスを羅列すると、エクステリアではグリルとホイールの形状が変わり、アンテナがフロントシールドに内蔵されました。7スロットグリルが黒っぽく塗装され新しく見えます。インテリアではフロントシートが12ウェイのパワーシートになり、サイドカーテンエアバッグが装備されています。それとインフォテイメントが5世代目となり使いやすさを向上。インターフェイスは日々進化していますからね。ここは当然でしょう。
「FAMOUS FOR FREEDOM(自分を楽しむために、人生はある)」が新型ラングラーのコンセプト
でも今回の目玉はスポーツの復活に違いありません。エントリーグレードが蘇ったことでスタートプライスが下がりました。これは朗報です。初期投資が抑えられればカスタムに費用を回せます。このクルマは下取りが高く残価設定プログラムが使えるから有効ですね。装備を細かく見比べないと正確には言えませんが、スポーツはありだと思います。
ラングラー アンリミテッド サハラ ローンチエディション
それと今回は限定車が同時に2モデル登場しました。ルビコン・ハイベロシティとサハラ・ローンチエディションです。ここで注目なのは後者です。あの人気色アンヴェルが採用されました。スチールブルーのようなカラーは本当にかっこいい。あれこそラングラーにピッタリのボディカラーだと思います。街で見かけると思わず「センスいいなぁ」なんて言ってしまいます。
エントリーモデルの復活や限定車の導入から感じるのはジープの日本に対する力の入れ方です。日本はなんと世界で4番目のマーケットで、アメリカ、カナダ、中国に続きます。しかも昨年中国が4402台だったのに対し日本は4078台だったのですから激戦。日本のスタッフからしたら、「もう一押し!」ってところでしょう。
とはいえ、日本には日本に合ったマーケティング活動が必要です。この国のカスタマーはグローバルで見ても特殊ですから。それはドイツメーカーもイタリアメーカーも重々承知しているはずです。あまり裾野を広げてもブームで終わってしまいますから。トレンドになった瞬間、終わりが見えます。危険です。ジープ好きの身からしてもそれだけは避けてほしいですね。
ということで、新しくなったJL型ラングラーをみなさんもチェクしてみてください。モデルサイクルの長いクルマですからもし気に入ったら長く愛してあげてくださいませ。
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