まだまだ純正装着が少なかった時代のカーナビといえばダッシュボードなどに取り付けるオンダッシュ。そして1DINないしは2DINスペースに内蔵し、エンジンスタートともにモニターが浮き上がるインダッシュナビの2種類が存在した。
今やほとんどが据え置きナビと呼ばれるタイプに置き換わっているが、なぜインダッシュナビは廃れてしまったのか!? 確かに画面が収納されないなどのトラブルは多々あったものの、結構カッコよかったよね……。
故障も多かったけどカッコよかったよね……インダッシュナビはなぜ廃れた!?
文/高山正寛、写真/NISSAN、パイオニア、AdobeStock
■かつては1段がフツーもオーディオの進化で2倍のスペースに!
かつてはカーナビ&カーオーディオの取り付けスペースは、ドイツの工業規格である「DIN」を基本とし、1DIN、2DIN、ワイドDINなどのサイズがあった(Paylessimages@AdobeStock)
今さらの話ではあるが、かつてはカーナビ&カーオーディオ取り付けスペースの基本であったのがドイツの工業規格である「DIN」(その後国際規格として採用)。
幅180mm×高さ50mmが1DIN、それを2段重ねたのが2DIN。そして当時トヨタなどが中心となって横幅を200mmに拡大させた「ワイドDIN」というサイズも存在する。
さて、このDINだが生まれ故郷のドイツも含めて、欧州では多くのクルマに採用されてきた。そして過去、ほとんどのクルマは1DINであった。
2DINサイズに関してはカーオーディオの進化に伴って、CDやMDなどの搭載メディアへの対応、ディスプレイやスイッチ類の大型化によるUIの向上(局名や曲名の表示なども含む)、そして最後はカーナビに代表されるディスプレイを搭載するために2DINサイズは必須となったわけだ。
■ナビ本体とモニターを小スペースに集約!! インダッシュナビは見た目も超よかった
エンジンを始動するとせり出してくるモニターがメカメカしく、気持ちが盛り上がる(Amy Walters@AdobeStock)
前述したようにカーステレオであれば問題の無い1DINサイズもカーナビとなると表示部分が必要なので、基本的には無理。過去、日産マーチ(3代目)に小型カーナビも存在したが、文字通り“簡易型”だった。
そこに登場したのが、モーターを使い液晶ディスプレイの展開と格納を可能にした「電動インダッシュ機構」だ。
インダッシュ機構自体は2001年5月にカロッツェリアがサイバーナビにこの機構を搭載。
エンジン起動後、自動またはスイッチを押す(手動)ことで格納されたディスプレイがせり出してくる姿は多くのクルマ好きが「おお~何かカッコよイぞ~」って盛り上がったことは事実。実際筆者もこの機構にすっかり魅了されてしまい、その後何台も買ってしまった程だ。
余談だが、カロッツェリアのカーナビの一部には起動時にデフォルトとなる「Carrozzeria」のロゴが表示されるようになっていたが、この画面自体はカスタマイズが可能。
起動時に自分の子供や家族の写真を表示したり、筆者のようなアニメオタクは「機動戦士ガンダムSEED」で使われた「G.U.N.D.A.M.(GUNDAM)OS」の起動画面を組み込むなど、他にも様々な楽しみ方をしていたオーナーに何人も会ったことがある。オタクでごめんなさい。
■1DINサイズの全部載せモデルが大ウケ! 一部でオプション扱いに
とはいえ、冒頭で触れたように欧州車などでは当時は1DINが基本。前述したカロッツェリアなどは1DIN×2であればHDD部を別位置に設置することで対応できるが、その後登場した“2DIN一体型”になると設置は不可能だ。
そこに救世主とも言える商品が登場した。それが2005年11月に富士通テン(現、デンソーテン)が発売した「AVN075HD」という1DIN型のインダッシュモニター搭載カーナビである。
「AVN075HD」は1DINサイズに電動インダッシュモニター、20GBのHDD(それもサイズが1.8インチと超小型)、CD/DVD再生や最大で1250曲をHDDの中にリッピング(録音)できるなど当時日本のメーカーが得意としていた「高密度&小型化」の具現化した“全部入り”モデルだった。
実際、このモデルは1DINしかスペースが無い欧州車ユーザーに積極的に受け容れられたし、後継モデルはプジョー車のディーラーオプションとしても採用されるなど、大ヒットモデルとなった。
■消滅要因は故障や振動!! スペース変革で淘汰
カーナビの歴史を振り返ると電動インダッシュモニター搭載カーナビは徐々にその姿を消していった。
理由はいくつかあるのだが、まずは複雑な構造ゆえの故障、路面からの振動によってディスプレイがブルブル震えて画面が見にくい、そして日本市場では2DINスペースを採用する車種が増えてきたことで、前述したスペース上の制約が少なくなったことが挙げられる。
それでもエンジンを起動してディスプレイがウィーンとせり出す姿は当時としては「高級モデルへの憧れ」であったし、デジタルガジェッター(ガジェット好きの意味)にはたまらなく大好物であったことは間違いない。
■インダッシュナビの復活はたぶんなし……純正モニターが主流に!?
オンダッシュタイプのモニターは展開&収納のギミックは楽しめないが、モニターを大型化できるので見やすいのがメリット。このメリットはフローティングタイプモニターでも同様(YUTO PHOTOGRAPHER@AdobeStock)
では今後電動インダッシュモニターは復活しないのか、と問われるとその答えは「多分、無い」となる。
前述したようにカーナビを含む、インフォテインメントシステムは従来の2DINサイズに囚われないインパネとの一体設計になってきている。ゆえにトレンドとなる“大画面”も実現できているわけだが、この流れはしばらく続きそうだ。
一方で電動機構自体は持たないが、パナソニックのストラーダのようにディスプレイ自体を最初から外側に設置することで、2DINスペースさえあれば大画面化を可能にするフローティングディスプレイ構造が現在のトレンドとなっている。
それでも「電動インダッシュナビが欲しいんだよー」って人もいるだろう。実はAmazonなどのECサイトを見ると、1DINインダッシュナビは数種類存在する。
ナビの性能はあくまでもベーシックなものと思えるが、Android OSをベースとしているのでナビ以外のアプリも動かすことができる。ただそれでもディスプレイサイズは7型が上限であることは認識しておきたい。
今後は純正ディスプレイの大型化やHUDが進化することで安全面にも寄与したインフォテインメントシステムが多く出てくるだろう。しかし、この電動インダッシュモニターは一時代を築いた「カーナビ世界遺産(筆者勝手に命名)」として記憶に残ることは間違いない。
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