光岡自動車が2020年11月26日に発表し、先行予約を受け付けていた、RAV4ベースのSUV、Buddy(バディ)が2021年6月24日からいよいよ発売される。
ミツオカ・バディはティザーキャンペーン公開直後から反響が大きく、予約が殺到。なんと、2021年に50台、2022年に150台という予定だったバディの生産台数は、たった2日で売り切ってしまった。
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その人気を受けて生産計画を変更し、2021年130台、2022年以降は300台とした。現在の総受注台数は560台ほどになるという。2021年6月初旬に注文すると納車はいつになるのか、恐る恐る聞いてみると「今注文いただくと、2023年6月~9月頃をご案内しています」。え~、ということは2年以上待つということ。
さて、そのバディのメディア向けの広報車が用意され、貸し出しが始まったので、さっそくお借りし、モータージャーナリストの清水草一氏が試乗!
なぜ、ここまでミツオカ・バディが大人気となったのか? その秘密を探る!
文/清水草一
写真/光岡自動車 ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】本項で載せきれなかったバディの画像も大公開!
■納車2年待ちのバディにようやく乗ることができた!
1990年代のシボレー・サバーバンやブレイザーに近い雰囲気、見た目はアメリカンSUVそのものだ
納車2年待ちの光岡バディにようやく試乗することができた。2年待ちと聞くとそれだけでありがたみは10倍増。ありがたく乗らせていただきました。
光岡バディは、トヨタRAV4をベースに、1970~1980年代のヴィンテージ・アメリカンSUVをモチーフとして作られたクルマである。
どうです、このシボレー顔。最近流行のオラオラ顔のアルファードにも負けていない!?
写真をアップにしてもさすがミツオカさん、実によくできている
最大のウリはフロントマスク。RAV4とはまるで別の、ちょっと昔のアメリカンSUV風のデザインになっている。正確には1970~1980年代ではなく、1990年代のシボレー・サバーバンやブレイザーに最も近いグリル周りだが、そんな細かいことはどうでもいい。このクルマは、「なんとなくヴィンテージ・アメリカン」な雰囲気が感じられれば、それで十分なのだから。
お尻も、RAV4とはかなり異なり、まずテールランプがテールフィンの名残を感じさせる縦型になっている。そして、RAV4ではナンバープレートがついている部分に、バディはウッド調パネルがあしらわれ、バンパーもメッキになっている。
一方、サイドから見たバディは、RAV4そのものにかなり近い。フロント部の加飾はフロントフェンダー上から前で、リア部はリアフェンダー後部から後ろ。つまりサイドはほぼRAV4なのだ。
ウッドパネル調パネルやメッキバンパーが特徴。取材車のボディカラーはグローブワンホワイトパール(特別塗装色:8万8000円)
ボディサイドから見るとRAV4ベースであることがよくわかる。サイドのメッキモールはメーカーオプション
RAV4からの改造箇所一覧
ガソリン車が469万7000円~549万4500円、ハイブリッド車が525万300~589万9300円。それぞれ2WDと4WDを用意する
試乗車は2LガソリンFFの20ST。価格は469万7000円。このほか、20DXや20LXに加え、ハイブリッドのFF、E-FOURなど7モデル(469万7000円)が用意されている。
ただ試乗車には、メーカーオプションのオールテレインタイヤ(225/70R16)&ディーンクロスカントリー製のアルミホイールのセット(26万4000円)が奢られていたので、サイドビューからも、ライトなアメリカンテイストが感じられた。この「ライトなアメリカンテイスト」こそ、バディのキモだ。
■ガタピシといったボディが軋む音はなく、不安感はまったくなし!
運転席に座って運転していると、当然だが現代的なRAV4そのものの快適な走りをみせてくれる
エンジン音はとても静か。エンジンルーム内の組み付け精度が高く隙間もちょっぴり
では、実際に走った感じはどうなのか。バディはトヨタRAV4をベースにしているが、メカに関してはRAV4そのままで、何も変更されていない。
車両重量は、試乗した2LガソリンFFの「20ST」で、1560kg。同じ仕様のRAV4は1500kgだから、60kgだけ重くなっている。
この60kgの大部分は、フロントとリアの加飾部の重量。つまりバディの走りは、RAV4より60kg重いRAV4ということになる。
メーカーオプションの225/70R16、BFオールテレーンタイヤ、6.5J×16サイズのディーンクロスカントリー製アルミホイール(シルバー)を装着
60kgといえば、おおむね大人一人分。大人一人余計に乗っただけだ。加えて今回の試乗車には、225/70R16サイズのオールテレーンタイヤが装着されていたので、走りに関してRAV4との違いは、その影響のみということになる。
一般道を普通に走っている限り、RAV4との差をほとんど感じなかった。オールテレーンタイヤのゴツゴツ感は若干あるものの、まったく不快なものではない。
このタイヤ、70扁平の16インチ。ノーマルのRAV4は17インチから19インチが標準だから、それよりもハイトがある。ヴィンテージ・アメリカンSUVが扁平タイヤを履いているはずもないので、正しい選択である。
これが見た目的にも乗り心地的にも、いい影響を与えている。なお、このメーカーオプションを装着しない場合は、タイヤ&ホイールはRAV4そのものになる。
試乗車は2LガソリンモデルのFF。1560kgの車両重量に対して、2Lではやや力不足にも思えるが、このエンジン、実に低速トルクがあり、一般道でのハーフスロットル走行なら十分トルクフル。ちょっと昔のアメ車の3L、V6クラスと遜色なく走ってくれる。
一般道から高速道路に乗り入れて速度を上げると、走行安定性はまったく問題ないものの、重量増加とタイヤの変更の影響は、それなりに感じられる。
60kgの重量増加のうち、かなりの部分がフロントに集中しているため、少し鼻先が重い感覚があり、ピッチングが若干大きい。オールテレーンタイヤも、路面のジョイントを乗り越えた時のショックが、ノーマルより少しだけ大きく出る。
しかしまぁ、それらは厳密にRAV4と比べた場合の話であって、バディを買う人にとっては、何のマイナスでもないだろう。逆に少しフロントが重くてユサユサする感覚が、本物のアメ車に近いかもしれない。
速度を上げてアクセル踏み込み量が大きくなると、171ps/21.1kgmのパワー/トルクがやや物足りなく感じるシーンもあるが、それはRAV4も同じ。バディの罪ではない。
試乗したのはFFモデルだったので、オンロードでの走りは軽快かつ快適。さすがトヨタ品質、安心感は絶大だ。このトヨタ品質で、今では中古車でしか味わえないヴィンテージ・アメリカンテイストが楽しめることこそ、バディの魅力だ。
これは本物のアメ車ファンが買うクルマではなく、「アメ車への憧れはあるが、燃費や故障のリスクなどを考えると買えない」という人が買うクルマ。それでいいのである。
ちなみに、タイヤがオールテレーンであっても、FFでは本格的なオフロードはムリなので注意してください。それはアタリマエのことですね。
■モダンで使いやすいRAV4そのもののインテリア
コクピットはステアリング中央のMITSUOKAのロゴ以外はRAV4と同じ。エントリーナビキットやカメラ別体ドライブレコーダーはディーラーオプション
取材車には専用レザーシート&トリムセット(全席・合成皮革、ステッチ付き)が装着されていた
リアシートは広々としていて実用性が高い
運転している時のバディは、バディであることを忘れさせる。乗り味がほぼRAV4だし、内装もほぼRAV4そのままだからだ。
内装に関しての変更点は、ドアトリム上部とシートのレザー(合成皮革)&ステッチのみ。レザー色は18色から選ぶことができて、オプション価格は43万7800円。
残念ながらシートは座ると隠れて見えないし、形状もノーマルのRAV4と同じなので、アメリカンなゆったりした雰囲気もない。これなら、このオプションは付けなくてもいいかも……というのが、正直な感想だ。
■計18色も用意! ポップでカラフルなボディカラーも魅力
3種類のテーマが与えられたバディのボディカラー(バディのカタログ/左側)
バディのボディカラーカタログの右側。最上段はモノトーン(標準カラー)、中段はモノトーン(オプションカラー)、下段はツートーンカラー(オプションカラー)
もうひとつ、バディの魅力は、計18色のボディカラーが用意されていることにある。バディの命はアメリカンな雰囲気。つまり見た目が命だ。そのためには、ボディカラーはきわめて重要だ。
バディには、標準カラー6色、オプションカラー6色(39万6000円)、ツートーンのオプションカラーが6色(48万4000円)、計18色が用意されている。その色がなかなかイカしている。ノースカロライナブルーとホワイトのツートーンあたりは、まさにアメリカン・グラフィティの雰囲気だ。
清水さんお気に入りのノースカロライナブルーとホワイトのツートーンカラー
試乗した標準カラーのグローブワンホワイトパール(8万8000円高)でも、それっぽい雰囲気はしっかり感じられたが、せっかくならツートーンと、タイヤ&ホイールのオプションを奢りたい。その2つだけで74万8000円! う~ん、決してお安くはないですなぁ。
実はバディそのものが、決してお安くはない。それでも欲しい人がたくさんいる。それだけの魅力が備わっているということだ。
バディは青い空、砂浜が実によく似合う
アメリカンピックアップが店頭に飾ってあるエアストリームのショップ前にて
■ミツオカ・バディ20ST FF 主要諸元
全長×全幅×全高:4730×1865×1685mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1560kg
エンジン:1986cc、直4ガソリン
最高出力:171ps/6600rpm
最大トルク:21.1kgm/4800rpm
タイヤサイズ:225/70R16
価格:469万7000円
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みんなのコメント
フロントとサイドのデザインが
違和感でしかない。。。