マカンは2014年のデビュー以来、グローバルで80万台以上を販売するポルシェのトップセラーモデルである。その新型はフルEVとなるが、今回はワールドプレミア前にワークショップに参加し、詳細を取材することができた。(Motor Magazine2024年2月号より)
ここまで衝撃的なBEVのSUVはこのマカンが初めて
初代マカンは2014年にデビュー。それ以来、グローバルで80万台以上を販売、そして18年に第二世代に進化、今回取材した新型マカンは第3世代となる。もちろんポルシェのベストセラーモデルで15年~22年までの間に6回トップセールスを記録。
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22年は8万6000台以上を販売、23年も1~9月ですでに6万8000台以上が納車されている。これは前年同期比15%増である。またマカン購入者の約80%がポルシェの新規ユーザーであるという。
そんなマカンは、このモデルからピュアEV(BEV)になると公表されている。正確には、当面は従来型のICE搭載車も併売されるが、その生産期間が終了するとともに全モデルがBEVとなるわけだ。今回はそんな次期マカンの詳細をレポートする。
このワークショップでは、助手席での同乗試乗もあったが、その衝撃があり、あまりにインパクトが強かったため、まずはその印象から報告したい。
試乗モデルはトップモデルとなるマカンターボである。最高出力450kW(613ps)、最大トルクは1000Nm以上である。これがどれほどハイスペックかというと、タイカン ターボの最高出力500kW(680ps)にこそ及ばないが、最大トルクの850Nmを150Nm以上も上回っている。
これがどういう意味を持つのか、ポルシェセンターライプツィヒのテストコースで思い知らされた。ちなみに新型マカンは、ここの工場で生産される。
まずは発進加速。テストドライバーに「準備はいいか」と声をかけてもらわなければ確実に首を痛めていたぐらい強烈な加速力である。コーナリングも含めハンドリング性能の高さも見せてくれた。ほぼすべてのコーナーをドリフトしながら走るが不安定な挙動を一切見せることなく駆け抜けていき、まるでスポーツカーのようなパフォーマンスを見せてくれた。これほど衝撃的なBEVのSUVにはこれまで乗ったことがない。間違いなく、これまでの経験値を塗り替えてくれた。
オフロードコースも走った。ここでは度の登坂路を楽々と登り、そして下る。あきらから現行ICEマカンを上回る走破性だ。
ICEとBEVでは、まったく別のクルマになった
今回試乗したのは、まだ外観を偽装、インテリアも市販前のプロトタイプ用に作られたもの。つまり内外装ともに明らかに現行マカンとそれほど大きな相違点は見られない。明らかに違うのは、リアにエキゾーストパイプがないことぐらいである。それでもICEとBEVでは、まったく別のクルマになったと言えるだろう。
今回の取材でわかったのは、ボディサイズは現行マカンと大きく変わらないが、BEVになったことで車両重量は増えることになる。使われるプラットフォームは、アウディがQ6 eトロンでも採用するBEV専用のPPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)である。そう、BEVマカンとアウディQ6 eトロンは、アウディの強味とポルシェの強味を活かした開発体制がとられている。
搭載するバッテリーの総容量は100kWhで、15個の角形セルで構成されたモジュールを12個搭載している。つまりセル数は180個である。これがフロア下部分に敷き詰められ、800Vテクノロジーを採用し、充電は270kWまで対応し、約22分で10%→80%まで充電できる。
後輪操舵機能も採用され80km/hまでは後輪が前輪と逆方向に、駐車時などは前輪と同方向に最大5度操舵されるというものだ。これにより最小回転半径は約1m短縮される。80km/hを超える速度では前輪と同方向に操舵される。
エアサスペンションを備えたBEVマカンは、PASM(ポルシェアクティブサスペンションマネジメント)が採用される。またこれには2チャンバー、2バルブ技術を備えたショックアブソーバーも装備、これは新型カイエンにも採用されたもので、減衰力を伸び側、縮み側それぞれ個別にコントロールするこができるためサスペンションの反応を向上させ、コンフォートライドを実現する。
インテリアはデジタル化が進みスイッチが少なくなった
インテリアは、新型カイエンで使われた先進のPCMが採用される。市販まで少し時間はあるので、「Hey,Porshe」で起動する音声アシスタントなど、カイエンよりも進化するはずだ。
装備されるディスプレイは、最大3つでドライバーディスプレイは12.6インチの曲面タイプ、中央は10.9インチ、さらにオプションで10.9インチの助手席用ディスプレイも用意される。ここでは動画コンテンツなどが運転中も観られるようになっているが、特殊なフィルムが貼られ、安全のため運転席から観ることはできない。
全体的には、アナログスイッチの多い従来型から飛躍的にデジタル化が進められている。ナビには充電スポット検索やバッテリーマネジメントができるようなシステムが組み込まれ、さらに、画像が10m先の距離に表示され87インチディスプレイサイズに相当するという、ポルシェ初のAR(拡張現実)技術を採用したヘッドアップディスプレイも採用される。
またタイカンの例にならい、BEVマカンもトップモデルはターボと命名されるようだ。ということはほかにGTS、S、マカンも用意されると予想できるが、今回、ベースグレードも含めたほかのグレードのことはすべて「今後の発表を待ってほしい」とのこと。
今回、マカンターボの高性能ぶりを実際に体験した身にすれば、ほかのグレードのスペックもとても気になるところである。
しかし、確実に言えるのは、ポルシェは予想を超えた性能をマカンに与えたということ。これはマカンがポルシェにとって重要なモデルであるからに他ならないが、現行マカンオーナーとしてもBEV版はとても気になる存在だ。ポルシェの新型車は想像を簡単に超えてくることはよく知っているので、今は期待の方が大きい。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:ポルシェジャパン)
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