この記事をまとめると
■万人が乗りやすく作られることが多いクルマのなかにもクセが強いモデルが存在
ダメなところもある! しかも遅い! それでもナゼか楽しくて笑ってしまう「愛すべき」現行車4選
■デザインを優先していたり仕組みの問題だったりと理由はさまざま
■この記事では国内外のクセ強モデル4台を紹介する
乗らないと感じられないクセがあるクルマを紹介
クルマは常に進化していて、多くの人にとって便利に、快適に、また魅力的になって登場しますが、たまに進化の振れ幅が大きすぎるのか、時代を先取りしすぎているのか、大衆に理解されにくいものもあるものです。でもそうしたものには熱狂的な支持者が現れたり、面白いと感じる人がいるのも事実。今回はそんな、一般的に見たら「クセ強っ!」となるポイントのあるクルマをピックアップしてみました。
まず1台目は、メルセデス・ベンツ(ダイムラー)と時計ブランドのスウォッチが手を組んで生み出した、全長わずか2.5mというマイクロボディの初代smart。2シーターで、駆動方式はRR。これは短い全長でも十分な安全性を持たせるためで、ここはメルセデス・ベンツが手がけるからには譲れないポイントだったのでしょう。カラーコーディネートやインテリアには、スウォッチの世界観に通じるようなポップでオシャレな色とディテールが散りばめられており、クルマに興味がない人からもかなり注目度が高いモデルでした。
そんな初代smartは、0.6リッター3気筒ターボを搭載しており、「シティクーペ」という名前のとおり市街地でのコミューター的な位置付けで発売されたものですが、高剛性ボディやしっかりと煮詰められた足まわりによって、ロングドライブも難なくこなすパフォーマンスを持ち、軽自動車サイズながら当時の軽自動車とは一線を画す乗り味。そのためクルマに一家言ある人たちからも好まれたのですが、そこで「ナンジャこりゃ」となったのがペダル配置です。運転席に座り、普通に足をおろしてアクセルペダルを踏もうとすると、踏んでしまうのはホイールハウス。ペダル配置が極端に左に寄っており、大袈裟に言えば腰から下がぐいっと左に傾くような体勢になってしまうのです。小さなクルマは、左ハンドルから右ハンドルに変換することにより、どうしてもフットスペースが限られてしまうのである程度は仕方のないことですが、全幅1515mmというタイトなボディのしわ寄せがきてしまったのでした。
2台目は、ファストバックのような流麗なスタイルに生まれ変わり、クルマ好きからも注目されているトヨタの新型プリウスです。ハイブリッドカーはつまらない、という概念を打ち砕き、1.8リッターだけでなく2リッターエンジンを採用したこともあって、ドライビングは力強くて刺激的。でも世界トップレベルの低燃費は維持しているので、エコカーとしても優秀です。
また、いろいろと若返りを図っているところもあり、使い勝手や装備でもちょっと斬新といえる進化を果たしたところも。そのひとつが、慣れないと感じる人も多いかもしれない、「トップマウントメーター」という液晶メーターです。7インチというディスプレイは薄型で、メーターフードレス。ドライバーの視界に合うよう、下辺に切れ込みが入って逆六角形のようなデザインになっています。
そして、そこまではいいのですが表示のグラフィックメーターがかなり小さく、走行距離やガソリン残量、走行可能距離、外気温度や時計、ADASの作動状況といったさまざまな情報のアイコンや数字も、いちいち小さいのです。リング状のデザインに集約したとのことですが、これではひと目で一発で情報を理解するのは大変かもしれないですね。
トランスミッションに一癖あることで個性的な乗り味に
3台目は、大人気のイタリア車、フィアット500。キュートなデザインにヒトメボレする人も多く、登場から15年以上が経過しても、いまだに売れ続けているモデルです。3ドアですが後席もちゃんとあり、乗りこんでしまえば大人でも座れるスペース。小さくても走りはシッカリとしているので、ロングドライブが苦にならないところも魅力ではないでしょうか。
でも、よく詳細を知らず、試乗もせずに購入した人がびっくりするのが、2ペダルだけどMT車のような乗り味を再現している、「デュアロジック」というトランスミッション。AT限定免許でも乗れて、ATモードとMTモードが選べるので、まずはATモードにしてアクセルを踏み込むと、ウーンと加速したあとにガックンと大きく失速!? そして再びウーンと加速がはじまるという、独特の加速フィール。これは日本車に多いCVTのような滑らかな加速フィールに慣れた人は、「壊れてる?」と不安になってしまうほど。でもこれはもちろん、こういう特性を持つトランスミッションであって、アクセルを踏んで回転数が上がったところで、一瞬だけアクセルの力を緩め、再び踏み込むという扱い方をしてみると、とても気持ちよく、かつ力強く加速していってくれます。このデュアロジックが登場した当時は、MT比率が高い欧州の人からすると、日本車のCVTのようなスルスルと加速していくほうが、気持ち悪い、ヘン、と感じるのだと、イタリア人の友人が話していました。
4台目は、BMWがいち早く投入した次世代モビリティのひとつ、BMW i3。量産車初のCFRP採用や、内装に植物由来の素材を使うなど未来感たっぷりのクルマとなっています。4人乗りで、両サイドのドアは観音開き。電気モーターのみのピュアEVと、発電用の小型エンジンを積むレンジエクステンダーの2タイプがあり、急速充電にも対応しています。
ところがクセ強っ、となるのが独特のワンペダル走行。力強く飛び出すような鋭い加速で、アクセルペダルを緩めると強い減速Gが発生するので、最初は停止線のかなり手前で止まってしまったり、ちょっと緩めたつもりが失速してしまう人も多かったものでした。ただ、最小回転半径が軽自動車並みのため、街中での扱いやすさは抜群で、かと思えばかなりスポーティなハンドリングで山道を駆け抜けられるのも楽しい1台です。
ということで、いろんなところにクセ強めなポイントがあるクルマたち。でもどれも、多くのファンを持つクルマでもあるので、クセというのは個性でもあり、味でもあり、何にもないクルマより記憶に残るのかもしれないですね。
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