見どころ満載の耐久レース
執筆:Damien Smith(ダミアン・スミス)
【画像】トップに立つのは誰か【ハイパーカークラス参戦マシンを写真で見る】 全17枚
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)
8月にル・マン24時間レースが開催されるのは初めてのことだ。世界で最も有名な耐久レースであるル・マンは昨年、新型コロナの影響で無観客での開催となった。
今年も従来の開催月である6月から外れてしまったが、少なくとも何万人ものファンを迎え入れることができる。昨年とは大きな違いだ。
モータスポーツ界の一大イベント、第89回ル・マン24時間レースに期待する6つの理由を紹介する。
1. ハイパーカーの登場
あまりにも高価だったLMP1に代わり、新しいハイパーカー(LMH)クラスがル・マンに初登場。レースが再び大きな盛り上がりを見せている。
24時間レースが100周年を迎える2023年には、フェラーリ、ポルシェ、アウディ、トヨタ、プジョー、BMWなど名だたるメーカーが参加し、サルト・サーキット史上最も激しい戦いの火蓋を切ることになるだろう。それもこれも、「身近」なハイブリッド技術と厳しい予算で効率化を図る新しいルールブックのおかげである。
今シーズンの世界耐久選手権には、ハイパーカークラスはわずか5台しか参戦していないが、レースにおける新たな幕開けを意味することに違いはない。
2. トヨタが勝つと決まったわけではない
トヨタの新型GR010ハイブリッドは、これまでに開催された3戦すべてで優勝している。だが、ル・マンでも無敗を貫ける保証はまったくない。
15日に行われたル・マンのテストデーでは、グリッケンハウスのオリビエ・プラが、午後の5時間のセッションのうち10分を過ぎた時点でトヨタのタイムを抜き、トップに躍り出た。トヨタにとって大きな脅威となるはずだ。
グリッケンハウスの007 LMHが3.5Lツインターボ・ノンハイブリッドのV8を搭載しているのに対し、トヨタの3.5LツインターボV6は、フロントアクスルに取り付けられたモーター・ジェネレーター・ユニットと組み合わされている。両者は680ps/500kWという上限出力を達成するため、対照的なソリューションを採用しているのだ。果たしてグリッケンハウスは、トヨタを打ち負かすことができるのだろうか?
モンツァのWECテストでは、ジム・グリッケンハウスの掲げる野望が単なる夢物語ではないことを示したが、結果の如何はマシンの信頼性にかかっている。一方のトヨタは、耐久テストを十分にこなしてはいるものの、トラブルに無縁というわけではない。ル・マンでは何が起こるかわからない。
第5のLMH候補はLMP1マシンのアルピーヌA480で、厳しい制限を受けている。トヨタやグリッケンハウスよりも頻繁に燃料を補給する必要があるが、予選ではグリッケンハウスを抑えて3位についている。1978年以来、2度目となるル・マン優勝の可能性を十分に秘めているといえるだろう。
3. LMP2マシンが総合優勝する可能性
もし、LMHにエントリーする5台が何らかのトラブルに見舞われた場合、LMP2部門のマシンが総合優勝を狙える可能性がある。決勝のグリッドには24台のLMP2が並び、ドライバーには多くのスター選手が名を連ねる。
マクラーレンのチーフであるザク・ブラウンが共同オーナーを務め、昨年のLMP2クラスのチャンピオンであるユナイテッド・オートスポーツは、元F1ドライバーのポール・ディ・レスタ、アレックス・リンとフィル・ハンソンの強力なラインナップで人気を集めている。
また、元グランプリのエースであるロバート・クビサやファン・パブロ・モントーヤ、そしてヤン・マグヌッセンが息子のケビンとともに親子で初出走するなど、注目すべきビッグネームが揃っている。
LMP2の層の厚さには目を見張るものがある。たとえ総合優勝は狙えなかったとしても、このクラスのレースはタイトで魅力的なものになるだろう。
4. ポルシェ対フェラーリ対コルベット
メーカーの関心が薄れているル・マンのGTカテゴリー。しかし、ワークスのポルシェ2台、サポート体制の整ったプライベーターの911 RSR 2台、ファクトリーサポートのフェラーリ488 GTE EVO 1台、ワークスのコルベットC8.R 2台というエントリーは見逃せない。
テストデーではポルシェが優位に立っていたが、AFコルセのフェラーリとのバトルは激しさを増しそうだ。AFコルセのジェームス・カラドは、2019年に続く2度目のクラス優勝を目指している。
コルベットは2015年以来、24時間レースでGT優勝を果たしていないが、ハンドルを握るニック・タンディは同年にポルシェの919ハイブリッドLMP1で総合優勝した経歴を持つ。
5. アマチュアにとって究極のレース
ル・マン24時間レースの魅力は、一流のプロドライバーだけでなく、野心と技術と予算を持ったアマチュアもグリッドに並ぶことができる点にある。
LMP2にはProとAmのサブクラスがあるが、かつて「ジェントルマン・ドライバー」と呼ばれていた人たちに最も近いのはGTE Amだ。マシンはGTE Proと同だが、各ドライバー・ラインナップにはブロンズ等級のアマチュアが2名含まれていなければならない。
GTE Amは、IMSAのスターであり、かつてLMP2ル・マン・クラスで優勝したこともあるハリー・ティンクネルのような優秀なプロが中心となっており、人々にル・マン優勝者になるチャンスを提供している。アストン マーティンは昨シーズン、シニアクラスで優勝してGTEプロから撤退したが、3台のヴァンテージを維持している。
6. ファンが戻ってくる
通常、サルト・サーキットには25万人もの観客が集まるため、今年の5万人という数は圧倒的に少なく思えてしまう。しかし、昨年のようにファンが全くいないよりは確実にマシだ。
今年の初め、ハリー・ティンクネルはAUTOCARの取材に対し、昨年アストンでGTE Proで優勝したときの気分はどうだったかを語ってくれている。
「7年前に初めて表彰台(LMP2)に上ったときは、15万人もの人々がサーキットに集まっていた。去年は50人くらいだったよ!」
「レース中は観客のことは忘れちゃうね。サッカー選手であれば、観客の少なさにもっと気づくと思う。集中しているから、何も気づかないんだ」
彼が気づいたのは、ヘルメットを脱いだときだった。
日曜日には、表彰台のもとにファンが集まり、その喜びを分かち合うことができるだろう。
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