現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【大矢アキオの イタリアでcosì così でいこう!】【動画】オジサンも若者も過給圧上昇中!「フィアット・ウーノ・ターボ」ミーティング

ここから本文です

【大矢アキオの イタリアでcosì così でいこう!】【動画】オジサンも若者も過給圧上昇中!「フィアット・ウーノ・ターボ」ミーティング

掲載 更新
【大矢アキオの イタリアでcosì così でいこう!】【動画】オジサンも若者も過給圧上昇中!「フィアット・ウーノ・ターボ」ミーティング

小さな爆弾

日本の読者の皆さんは「フィアット・ウーノ・ターボ」をご記憶だろうか? ベースモデルのフィアット製コンパクトカー「ウーノ」に遅れること2年、1985年に登場したハイパワー・バージョンである。正確には「ウーノ・ターボi.e.」という。

連載【桃田健史の突撃! キャンパーライフ~コンちゃんと一緒】第10回 ~オウン(自前)キャンプ施設「キョンちゃんスタジオ・サイトA」開設 ~ご近所農家トラクター出動ハプニングも……!?

https://youtu.be/_haC-_x8fu8

1301ccエンジンはi.e.=iniezione elettronicaつまり電子燃料噴射や日本のIHI製ターボチージャー(+インタークーラー)を組み合わせることにより、105HPにまでパワーアップされていた。845kgの軽い車重と相まって0-100km/h 8.3秒、最高速は約200km/hを叩き出した。アンティスキッド・システムもオプションで追加できた。

エクステリアではハッチ一体型スポイラーや大径タイヤが与えられ、インテリアではモケットのシート地に専用デザインが奢られていた。メーター内には油圧計、油温計そして過給圧計が備わり、また未来感満点のデジタルメーターもオプション設定されていた。ウーノ・ターボは1989年の後期型を経て1993年まで生産された。

ちなみに発表当時メーカーがオフィシャル・フィルムのなかで用いていた「ボンバ(爆弾)」は、後年もこのクルマを形容するニックネームとして一般ユーザーの間で浸透した。

好コンディションの陰の苦労

同車のファンクラブ「ウーノ・ターボ・クラブ・イタリア」は2021年9月末、イタリア中部アレッツォ周辺でツーリング&ミーティングを開催した。旧市街の広場も会場に含むことから参加台数を限定したところ、募集直後から満員となった。

第2日目である9月26日午前、イタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の舞台にもなったアレッツォのグランデ広場で筆者が待ち構えていると、約60台のウーノ・ターボが次々と来場。マルコ・ボニャンニ会長らの誘導によって、ボディカラー別に整列した。

参加車たちは最若でも車齢27年超だがコンディションが良い。愛情溢れるメインテナンスとレストアの賜物であることは明らかだ。ただし、ボニャンニ会長と役員級メンバーたちによれば、プラスチック系パーツはすでに入手困難なものが発生しているという。そのため「(ウーノを現地生産していた)トルコから調達することも、たびたびある」と明かしてくれた。
筆者自身もかつて、ターボではないがウーノを自身で所有した経験がある。たしかにプラスチックの部品は劣化が激しかった。たとえば飛び石で穴が空いたヘッドランプのカバーからは雨水が侵入して、気がつけば"涙目"になっていたときには、思わず笑ってしまった。彼らの苦労が偲ばれる。

また、近年のヤングタイマー人気で、車両の価格が上昇しているのも気がかりと話す。実際、本稿執筆時点でヨーロッパの中古車検索サイト「オートスカウト24」には、車齢30年超にもかかわらず約2万ユーロ(約264万円)の出品がみられる。もはや「部品取り用に買い求める」というには、あまりに高額になってしまっているのだ。

今のクルマにないもの

ウーノ・ターボを愛するようになったきっかけは? そう質問すると、40代から50代初頭のファンの口からは、たびたび同じ答えが返ってきた。彼らは「きっかけは自分たちよりも兄貴世代の走り屋たちだ。彼らがウーノ・ターボを楽しんでいたのに憧れて、免許取得後に手に入れたんだ」というものだ。

いっぽうエクスパートにとってもパッションの対象となりうることを示してくれたのは、マラネッロ在住のマッテオさんだ、普段フェラーリに勤務しながら、スイスにあったというウーノ・ターボを入手。13年かけてレストアしてきた。「現地で冬季に撒かれる塩化カルシウムによる下回りのダメージには苦労した」と振り返る。

最遠来のドイツ人、マイク・ハーダーさんは、2年2カ月をかけてレストアしたあとの晴れ舞台として、今回の本場イベントを選んだという。フランスの「ルノー5GTターボ」「プジョー205GTI」に対して、イタリア版ホットハッチの代表として欧州でウーノ・ターボが今も認識されていることを示している。

ウーノ・ターボの現役時代を知らない世代も、たびたび見かけた。ダニエルさん(24歳)は、その代表である。さまざまなスポーツ系を乗り継いでいたところ、ガールフレンドのパオラさんが乗っていた赤いウーノ・ターボに一目惚れ。彼女の愛車を借りて乗っているうちに自分用も欲しくなり、物色を開始した。購入にあたっては、二人が好きなサンルーフ付きを購入条件にしたという。そうして見つけたのは、自分より5歳も年上の1992年式だ。ステアリングは、自身の名前とUno Turboの文字を彫り込んだサーキット用に交換した。

彫り込んだといえば、ダニエルさんの左腕を見て驚いた。なんと、パオラさんが好きだというカンツォーネ歌手バスコ・ロッシの歌詞とともに、疾走するウーノ・ターボがタトゥーで彫られているではないか。

35年も前にデビューした大衆車ベースのクルマが、今も若者の心を惹きつけるとは。ウーノ・ターボのコンセプトが色褪せないことを示している。そして同時に、今のクルマに何が足りないのかを暗示している気がしてならないのである。

文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
動画 大矢アキオAkio Lorenzo OYA/大矢麻里 Mari OYA

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

約2億円も納得のポルシェ「911カレラ RSR 3.8」は走行距離39キロ! かつて日本のコレクターが所有していた51台限定のレアモデルとは
約2億円も納得のポルシェ「911カレラ RSR 3.8」は走行距離39キロ! かつて日本のコレクターが所有していた51台限定のレアモデルとは
Auto Messe Web
世界初の「AI定義自動車」が中国で発売、シャオペンの高級セダン『P7+』
世界初の「AI定義自動車」が中国で発売、シャオペンの高級セダン『P7+』
レスポンス
【国内4拠点目/中国エリア初のショールーム】ヒョンデ・モビリティ・ラウンジ岡山がオープン!
【国内4拠点目/中国エリア初のショールーム】ヒョンデ・モビリティ・ラウンジ岡山がオープン!
AUTOCAR JAPAN
ヤマハ『TENERE700』などリコール…停車時に車両が前進するおそれ
ヤマハ『TENERE700』などリコール…停車時に車両が前進するおそれ
レスポンス
首都高「八重洲線」異例の「10年間通行止め」へ!?  都心の高速が「大変貌」はじまる! いよいよ「首都高地下化&新トンネル建設」本格化
首都高「八重洲線」異例の「10年間通行止め」へ!? 都心の高速が「大変貌」はじまる! いよいよ「首都高地下化&新トンネル建設」本格化
くるまのニュース
マツダのロータリーエンジン開発を指揮、故・山本健一氏…「FIVA」自動車殿堂入り
マツダのロータリーエンジン開発を指揮、故・山本健一氏…「FIVA」自動車殿堂入り
レスポンス
【MotoGP】KTM、ダニ・ペドロサとのテストライダー契約を更新。「彼の貢献は不可欠」と幹部賞賛
【MotoGP】KTM、ダニ・ペドロサとのテストライダー契約を更新。「彼の貢献は不可欠」と幹部賞賛
motorsport.com 日本版
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」 13年ぶりに車名復活の“最上級クーペSUV”! 「大排気量V6」&“ワゴンボディ”から進化したド迫力顔の「アヴァンシア」に注目!
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」 13年ぶりに車名復活の“最上級クーペSUV”! 「大排気量V6」&“ワゴンボディ”から進化したド迫力顔の「アヴァンシア」に注目!
くるまのニュース
けんちん汁にそばを入れて? ご当地カップ麺「茨城けんちんそば」登場 その味は?
けんちん汁にそばを入れて? ご当地カップ麺「茨城けんちんそば」登場 その味は?
バイクのニュース
スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」は走りも一級品! 激戦のコンパクトSUV市場で個性を放つ。【試乗レビュー】
スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」は走りも一級品! 激戦のコンパクトSUV市場で個性を放つ。【試乗レビュー】
くるくら
トヨタのトップに相応しいクルマは[プリウス]!? 先代を覆す[実力]って?
トヨタのトップに相応しいクルマは[プリウス]!? 先代を覆す[実力]って?
ベストカーWeb
ブガッティ新型「トゥールビヨン」についてクリストフ・ピオション社長が語る…鳥肌が立ったというワールドプレミアの様子を動画でチェックしよう
ブガッティ新型「トゥールビヨン」についてクリストフ・ピオション社長が語る…鳥肌が立ったというワールドプレミアの様子を動画でチェックしよう
Auto Messe Web
都心の高速道路「KK線」ついに「2025年4月上旬」廃止へ! ビル街抜ける「無料高速」あと5か月で消滅へ 「60年間ありがとうございました」
都心の高速道路「KK線」ついに「2025年4月上旬」廃止へ! ビル街抜ける「無料高速」あと5か月で消滅へ 「60年間ありがとうございました」
くるまのニュース
普及する「布製タイヤチェーン」に“軽専用”登場! 樹脂製チェーンも作る国内メーカーが電撃参入!?
普及する「布製タイヤチェーン」に“軽専用”登場! 樹脂製チェーンも作る国内メーカーが電撃参入!?
乗りものニュース
オペルの小型SUV『モッカ』に改良新型、48Vハイブリッドシステム搭載…内装を一新
オペルの小型SUV『モッカ』に改良新型、48Vハイブリッドシステム搭載…内装を一新
レスポンス
TOKYO CRAFTS の「グラフアーム/エレバート シェルフ」予約販売が11/15スタート!
TOKYO CRAFTS の「グラフアーム/エレバート シェルフ」予約販売が11/15スタート!
バイクブロス
【ホンダ】バイク用水素エンジン搭載のラリーカー「HySE-X2」がダカール2025に参戦
【ホンダ】バイク用水素エンジン搭載のラリーカー「HySE-X2」がダカール2025に参戦
バイクブロス
アプリリア、中排気量ネイキッドスポーツの新規モデル『Tuono457』をミラノショーで初公開
アプリリア、中排気量ネイキッドスポーツの新規モデル『Tuono457』をミラノショーで初公開
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

214.0248.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
ウーノの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

214.0248.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村