スバル・レヴォーグとトヨタ・カローラ ツーリングは、現在ではすっかり数を減らしてしまった数少ない国産ステーションワゴンです。近年見ることの少なくなったステーションワゴンですが、セダンの運動性能に積載性をプラスした個性的なカテゴリーとして、根強い人気があります。
今回は、レヴォーグとカローラツーリングワゴンを比較して、本当におすすめのモデルはどちらなのか探っていきます。
●ひと回り大きいレヴォーグ
ボディサイズを見ると、レヴォーグは全長4755mm×全幅1795mm×全高1500mm、カローラ ツーリングは全長4495mm×全幅1745mm×全高1460mmとなっており、レヴォーグのほうがひとまわり大きいことがわかります。
特に、全長に関してはレヴォーグが260mmも長くなっています。その分、レヴォーグのほうが車内空間やラゲージルームに余裕が生まれます。実際、ラゲッジスペースの容量では、レヴォーグが492L、カローラ ツーリングが392Lと大きな開きがあります。
ラゲージルームが大きいことに加えて、レヴォーグはリアシートが3分割の可倒式であり、2分割可倒式のカローラ ツーリングに比べて、シートアレンジの柔軟さを含めた荷室の使い勝手も秀でていると言えます。
一方、道路が狭小な都市部では、カローラ ツーリングの取り回しの良さが光るでしょう。実際に、最小回転半径を比べると、レヴォーグは5.5mであるのに対し、カローラ ツーリングは5.3mとなっています。
●圧倒的な燃費性能を誇るカローラ ツーリング
レヴォーグに搭載されているエンジンは、新たに開発された1.8Lの水平対向4気筒ターボエンジンもしくは、「R」を冠するハイパフォーマンスグレードに搭載される2.4Lの水平対向4気筒ターボエンジンとなります。
1.8Lエンジンは、最高出力177PS/最大トルク300Nm、2.4Lエンジンは大幅にパワーアップして最高出力275PS/最大トルク375Nmを発揮します。また、カタログ燃費(WLTCモード)では、1.8Lエンジンが16.5~16.6km/L、2.4Lエンジンでは13.1km/Lとなっています。
一方、カローラ ツーリングは1.8L直列4気筒エンジンのハイブリッド、1.2Lのガソリンターボエンジン、そして、1.8Lのガソリンエンジンで展開されています。
メインとなる1.8Lのハイブリッドでは、最高出力98PS/最大トルク142Nmのエンジンを、最高出力72PS/最大トルク163Nmのモーターがアシストします。また、1.8Lのガソリンエンジンは、最高出力140PS/最大トルク170Nm、1.2Lのガソリンターボエンジンは最高出力116PS/最大トルク185Nmを発揮します。
カタログ燃費(WLTCモード)は、ハイブリッドが24.4~29.0km/L、1.8Lガソリンエンジンが14.6km/L、1.2Lガソリンターボエンジンが15.8km/Lとなっています。
このことから、燃費性能に関してはハイブリッドの設定があるカローラ ツーリングが圧勝という形になりました。特に、ハイブリッド車の29.0km/Lという燃費性能は、すべてのクルマの中でもトップクラスとなっています。
ただし、同じ1.8Lの排気量を持つガソリン車では、レヴォーグが16.6km/L、カローラ ツーリングが14.6km/Lとなっています。加えて、駆動方式もレヴォーグが4WD、カローラ ツーリングがFFなので、ガソリン車だけに限れば、レヴォーグの燃費性能も決して悪くはありません。
一方、レヴォーグ最大の魅力は、水平対向エンジンによる気持ちの良い走りです。往年のステーションワゴンらしいスポーティな走りを楽しむなら、レヴォーグが有利です。
●トップクラスの安全性能を備えるレヴォーグ
安全装備を見てみると、カローラ ツーリングにはトヨタの先進安全装備パッケージである「トヨタセーフティセンス」が全車で標準装備されています。
ただし、後進している最中に接近するクルマを検知して自動ブレーキを掛けてくれる「リヤクロストラフィックオートブレーキ」はオプション設定となっているほか、複数のセンサーによりクルマの前後の様子を検知し、障害物が近づくとディスプレイ表示やブザーで知らせてくれる「クリアランスソナー&バックソナー」は、1.2Lのガソリンターボエンジンの
「W×B」グレードにしか用意されていません。
一方、レヴォーグにはスバルの予防安全技術「アイサイト」が全車標準装備となっており、グレード名にEXが付いているモデルには、最新の「アイサイトX」が標準装備されます。
スバルでは、アイサイト装着車では追突事故発生率は84%、歩行者事故発生率は49%減少したと説明しており、その性能の高さがうかがえます。
また、EXが装備するアイサイトXにはハンズオフ機能を始め高速走行時(約70km/h~約120km/h)で、ドライバーがウインカーを操作し、システムが自動で車線変更する「アクティブレーンチェンジアシスト」やドライバーに起こった異常を検知して警告・減速を行う「ドライバー異常時対応システム」も盛り込まれています。
もちろん、カローラ ツーリングの安全装備も平均以上ではありますが、スバルはこの分野で大きくリードしていることから、レヴォーグに軍配が上がると言えそうです。
●価格は大きく異なる両車
レヴォーグとカローラ ツーリングには、大きな価格差があります。エントリーグレードで比較してみると、レヴォーグの「GT」が310万2000円、カローラ ツーリングの「G-X」が201万3000円と、実に100万円以上の差があります。
また、カローラ ツーリングはHYBRID W×Bの4WD車の299万7500円が最高額であることから、最も高いグレードでもレヴォーグのエントリーグレードよりも安いことになります。
ボディサイズをはじめ車格が異なるため、価格差が生じるのは当然のことです。特に、カローラ ツーリングは業務用車両としての利用も想定されていることから、エントリーグレードの装備が限定されている傾向があります。
文:ピーコックブルー
一方のレヴォーグは、エントリーグレードでも必要十分な装備を備えているため、オプションなども含めた実際の価格差は、より小さいものになるかもしれません。ただ、いずれにせよ、両車の性格は大きく異なると言えます。
具体的に言えば、コンパクトカー並のコストパフォーマンスの良さとワゴンの積載性を求めるならカローラ ツーリング、セダンの気持ちの良い走りとワゴンの積載性を求めるならレヴォーグ、というのが、ステーションワゴン選びの大きなポイントとなりそうです。
文:ピーコックブルー
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