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元町工場の意味は原点を大切にする「もと町工場」だった! エンジン車もハイブリッドもEVもFFも4WDも同じラインで生産する「現在より未来」を見据えた取り組みに感動

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元町工場の意味は原点を大切にする「もと町工場」だった! エンジン車もハイブリッドもEVもFFも4WDも同じラインで生産する「現在より未来」を見据えた取り組みに感動

 この記事をまとめると

■トヨタ自動車の元町工場に潜入

走行中の「CO2排出」を語るだけじゃ「木を見て森を見ず」! クルマの「一生涯」で出すCO2排出量を考える時代がきている

■9車種を混同して生産して生産の効率化を図っている

■工場内では水素を使ったフォークリフトなども活用されている

 トヨタの元町工場に潜入!

 自動車工場の製造ラインといえば、同じ車種が整然と流れる光景を思い浮かべるかもしれません。しかし、トヨタの元町工場では、ガソリン車、ハイブリッド車、EV、FCEVがひとつのラインを次々と流れていく、驚きの生産システムが展開されています。トヨタの原点と未来が交錯するこの場所で、どのような工夫がなされているのか。その一端に触れる機会を得ました。

 自動車の製造工程をご覧になったことはありますか?

 クルマ好きの方であれば、「プレスされ、ボディが組み立てられ、塗装が施され、さらに細かな組み立てが続いていく」という一連の流れが、長いライン上で進行していくイメージを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

 筆者もまさにそのイメージを抱いていましたが、今回訪れたトヨタ自動車の「元町工場」では、少し変わった光景となっていました。それは、同じライン上を、ガソリン車、ハイブリッド車、EV、そしてFCEVが次々と流れてくるといった点です。

 車種や駆動方式が異なるだけでなく、プラットフォームや「心臓部」もまったく異なる車両がひとつのラインで混合して製造されている様子は、なんとも不思議な光景。

 従来の製造ラインでは、通常は同じ車種のみが流れていくものと思っていただけに、この現場は筆者にとって新鮮であり、非常に印象深いシーンでした。

 今回訪れたのは、トヨタ自動車の「元町工場」。この「元町工場」という名前には、由来があります。もともと小さな町工場からスタートしたこの工場には、「元・町工場(まちこうば)」という名のとおり、トヨタの創業の原点を大切にし、未来への発展の「元」となり続けたいという思いが込められているとのこと。

 元町工場は、1959年8月に操業を開始し、アジアで初の乗用車専用工場として歩み始めました。そのピーク時は1990年で、年間生産台数44万台を誇り、当時はクラウンを一貫して生産していた工場でもあります。現在もトヨタの発展の基盤を支える一方で、新たな挑戦にも積極的に取り組んでいます。

 その一例が、冒頭で触れた「9車種混流ライン」です。通常、同じ車種が流れるラインとは異なり、元町工場では、駆動方式やモデルが異なる複数の車種を同じラインで混流して生産しています。同規模の工場であれば通常、年間生産台数は20万台規模となるところですが、元町工場の生産台数は16万台程度にとどまっています。その理由は、効率を優先するよりも「新しい生産方式を実証し、改善を重ねる」ことを重視しているためです。

 筆者が工場を訪れた際も、ミニバンのノアが流れてきたかと思うと、OEM生産しているスバルのソルテラが続き、その後にはクラウンが流れてくるという具合に、9種類の車種が同じラインを流れていました。まさに「マルチパスウェイ」を具現化したシーンです。

 最少人数で生産ラインを効率化

 また、驚かされたのは、工場における人員の少なさです。少人数での自動車生産を可能にするため、トラブルや疑問が発生した際にはもち場横のライトを点灯させてリーダーに知らせるシステムが採用されています。軽微なトラブルであれば黄色、緊急性が高い場合は赤色のランプが点灯し、信号と同様に見た目で状況の深刻度がすぐにわかる工夫がされています。こうした報告やフォローの体制が整っていることで、少人数でのライン運営が可能になっているそう。

 さまざまな車種が同じラインを流れることで、部品の組み立てやパーツの管理に混乱が生じそうな印象もありましたが、そこにも工夫が凝らされています。担当者が部品を取りに来ると、必要な部品が収納されている棚が自動で点灯し、取り忘れや間違いを防ぐために部品を取った際にはボタンを押して電気を消す仕組みが採用されています。このような工夫により、ミスを防ぎつつ効率的な作業を実現しています。

 さらに、元町工場では水素の活用も進められています。場内を巡回するのはFCEV(燃料電池車)バス「SORA」で、工場内の移動手段として活用されています。また、物資の移動には水素で動くフォークリフトが使われており、日本国内で最大の水素フォークリフトの導入台数を誇っています。工場内で使用する作業車両を水素燃料にすることで、CO2削減にも取り組めるメリットがあります。

 さらに、水素フォークリフトには水素充填機が備わっており、充填時に排出される水を回収する仕組みが採用されています。これにより、工場の清潔さを保ちながら環境への配慮も実現。水素の充填時間はわずか3分程度と短く、待ち時間が少ないため、効率的に作業を行うことができる点も特徴です。

 こうした新しい技術や取り組みを積み重ねることで、元町工場はいまなおトヨタの成長と環境への配慮をリードする重要な拠点として、その役割を果たし続けています。

 以上のようなさまざまな工夫によって、トヨタ自動車の元町工場は、創業当時の精神を受け継ぎつつ、時代に応じた挑戦を続ける拠点となっています。同じ生産ライン上で9種類の車種を混流生産するという先進的なシステムを実践し、効率よりも技術革新と柔軟性を優先し、自動車産業の未来へ向けて進化を続けています。

 また、水素を活用した車両の導入や充填時の排水回収システムなど、環境への配慮も徹底。こうした取り組みの積み重ねにより、元町工場はトヨタの成長と未来への貢献を象徴する存在として、その役割を果たし続けています。今後もこの姿勢を土台に、さらなる技術革新と環境への取り組みを通じて、未来のモビリティをリードするトヨタの活躍に期待が高まります。

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みんなのコメント

1件
  • efi********
    古い工場で古い設備を使ってしっかり儲けてるね。知恵の塊だ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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