ノンビリが楽しい。歳相応に旧車軽生活を満喫
福岡県朝倉市にあるあまぎ水の文化村で4月に開催された、「第3回Kカーミーティング2023」。新旧さまざまな軽自動車が並び、多くの愛好家が交流を深めていた。そのなかで、1987式の三菱「ミニキャブ」にアゲ系カスタムを施して楽しんでいる畑島勇一さんに話を伺った。
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最近、旧車がブームである。当時憧れた車両に乗る40~50歳代のオーナーだけではなく、自分が生まれる前の昭和の旧車を楽しむ20~30歳代も増えてきているのが、理由のひとつでもあるようだ。
だが、車両価格は年々高騰していくのが現状。そしてせっかく手に入れたのなら、走りも楽しみたい。だが実際に乗って楽しんでいくためには車両の維持も大切である。しかし、当時の部品はすでに廃盤。中古部品も車両同様に価格が高騰し、旧車を取り巻く環境は決して楽ではない。
そんななか、車両選び次第では価格も手頃なベース車がある。それが、一部の軽バンなのだ。元々が商用車だけに、速さなどを追求しても意味がない。それよりも、当時の味わい深さを噛みしめながらノンビリと走らせた方が、より楽しめるに決まっている。今回ご紹介する畑島さんの軽バンライフは、そんなノンビリ、ゆったりがテーマなのだ。
「子供たちも手離れして、来年で自分も還暦。無理のない範囲で手に入れることができる、若い頃に好きだったクルマを手に入れていったら、このミニキャブを入れて旧車が3台になっていました(笑)。ちなみに私は、旧車好きの仲間とともに“オールドカーで町おこしプロジェクト”というイベントにも携わっています。九州では、過疎化やコロナなどの影響で元気がなくなってしまった田舎町がたくさんあります。そこに、ロンドンバスやたくさんの旧車を展示してもらい、それをきっかけに多くの人がその町に足を運んでくれるようにするためのイベントなのです」
畑島さんのミニキャブは、ボディ全体がライトブラウン。ルーフをはじめ要所をブラック系でまとめて、ほんのわずかにリフトアップしている。現在、軽自動車によるアゲ系が大人気だが、ネオクラシック軽バンによるこのスタイルがとても可愛らしく、会場内でもとても目立っていた。
畑島さんによると、軽バンで探していたのはホンダ「アクティストリート」だったとのこと。じつは若かりし頃に、「ストリートL」の5速MT、角目、ハイルーフに当時オプション設定だったエアコンを装備し、それと同時に機能する冷蔵庫付きという車両を所有していたことがあり、同じような個体を探していたそう。しかし、畑島さんの理想に近い車両が見つからず諦めかけていたところ、こちらの三菱ミニキャブがネットオークションで目に留まったのだ。
「4速MTで価格も自分の予算内。しかも、出品先は隣の長崎県というのが魅力的でした。本来であればすでに落札されて岡山に行ってしまうはずだったのに、そのときは取引が不成立に。その後再出品された際に私が発見し、現車確認で別の愛車のローレル(C32)で訪れたところ、私が勤務している運送会社に関係がある整備工場が出品者だったことが判明したのです。そんな偶然が重なったこともあり、このミニキャブを手に入れることにしました」
部品取り用に兄弟車のブラボーも所有
奇跡的な出会いによって畑島さんの元にやって来たミニキャブは、当初からこのカラーでチョイアゲ仕様だったそう。しかも、部品取り用としてミニキャブの乗用モデルとなる「ミニキャブブラボー」の5速MT、スーパーチャージャー付きも入手済み。そのため、サイドミラーやシートなどはブラボーのパーツへ変更した。
入手した時点でリフトアップされていた足まわりは、車両全体の色味を合わせるため、ネットオークションにてメーカー不明のブラックディスクのアルミホイールをゲットした。こうして全体のバランスを整え、この可愛らしさとネオクラシックとしての当時の雰囲気を崩さないよう、少しずつ畑島さんによるアレンジが追加され、今のスタイルへと落ち着いた。
「今後は、ブラボーの5速MTへ乗せ換えて、タコメーター付きのメーターに自分で変更する予定です。若い頃にKP61スターレットに乗っていて、そのときに最低限のメンテナンスや修理などを学んだので、ミニキャブだったらミッション交換ぐらいは自分でできますから。でも、いくらミッションを変えたところで、車両そのものが決して速いワケではないし、クルマ本来の性能をイジメるようなカスタムは好きじゃないのです。だから、ノンビリと気持ちよく走れるこの状態で、ずっと楽しんでいきたいですね」
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