1919年というから第1次世界大戦が終結した翌年のこと。戦闘機用ロータリーエンジンで名を馳せたひとりの天才設計技師が自動車製造会社を興す。
エンジニアの名は、ウォルター・オーウェン・ベントレー。
敬意と親しみをこめイニシャルのW.O.と呼ばれるようになった彼の造る自動車は、瞬く間に英国きっての高性能高級車の代名詞となり、設立から1世紀が経とうとする今もなお、彼の名=ベントレーは世界最高峰の自動車ブランドのひとつとしてその地位を保ち続けている。
2019年7月10日が、創業100周年を記念する日だ。この日に限らずベントレーは今年、世界中で自らのセンテナリーを祝う様々なイベントを企画しているのだが、イベントにでかけずとも100年の歴史を感じる機会がベントレーファンには提供されている。センテナリー記念モデルがそれだ。
なかでも自動車歴史マニア垂涎の的といえるのが、3月のジュネーブショーにおいて披露された、世界限定100台という貴重なコンチネンタルGTナンバー9エディションbyマリナーである。
写真をご覧になればすぐに分かるとおり、この特別なコンチネンタルGTには目立つ特徴がある。グリルに大きく白文字のゼッケン9が入っているからである。このナンバー9について語れば、黎明期のベントレーがいかにして高性能車となっていったのか、歴史の重要な一頁を知ってもらえると思う。
ベントレーの伝説は創設後間もなく参加したモータースポーツシーンにおいて始まった。1921年に最初のベントレーをデリバリーすると、早くも英国内のヒルクライムやレースに参戦。速さのみならず耐久性の高さでも評判を得たベントレーは、翌22年には早くもメジャーイベント(インディアナポリス500)にエンジンサプライヤーとしてデビューを果たしている。
もっともベントレーが真の意味での世界的な評価を確立したイベントといえば、ちょうど23年に始まったル・マン24時間レースであった。24年に優勝を果たすと、27年からはなんと4連覇を達成し、世界で最も速いブランドとしての地位を揺るぎなきものとした。
ベントレー製マシンをこよなく愛し、1920年代のメジャーレースを戦ったのが“ベントレー・ボーイズ”と呼ばれる愛好家たちであり、多くは裕福な貴族や軍人であったという。
ベントレー・ボーイズの中心的な人物として必ず語られるのが、ヘンリー・ラルフ・スタンレー・「ティム」・バーキン卿である。レーサーであり起業家でもあったバーキン卿は、フリーランスエンジニアのアムハースト・ヴァリヤースと組み、レースに勝つべくスーパーチャージャー付き4 1/2リッターベントレーを製作する。1930年のル・マン24時間レースに挑戦した彼の車両のゼッケンが9だった。
“ベントレーブロワー”と称されたナンバー9のベントレー4 1/2は深いグリーンにペイントされており、そのサイズと相まって圧倒的な存在感で見る者に迫った。数々のサーキットで最速ラップを刻むなど、優勝こそしなかったものの戦前のベントレーを代表するレーシングカーとして今日、伝説的に語られているマシンである。
そう、100周年を記念してクルー(ベントレーの本拠地)が送りだす100台限定のコンチネンタルGTナンバー9byマリナーは、戦前の名車“バーキン卿のベントレーブロワーNo.9”へのオマージュ、というわけだった。
ベントレーマニアの心をくすぐるのは、何もグリルのナンバー9だけじゃない。むしろ、その内側=インテリアにこそあった。
スペシャルな光沢を与えたカンブリアグリーンもしくはベルーガのレザーハイドが奢られ、ブロワーのドアパッドデザインに習ったBマークがデボス加工で入れられている。内外装ともにグリーンを選べば、正にベントレー・ボーイズが駆った戦前のマシンの雰囲気そのものだ。
センターコンソールは憧れのエンジンターン仕様で、エアコン吹き出しを調整するオルガンストップには18Kゴールドコーティングが施されている。
最大のハイライトが新型コンチネンタルGTの見どころであるローテーションディスプレイで、そこには歴史の一幕が埋め込まれた。
まずは3連メーター。マリナーとイエーガー社が共同開発したブロアー風のクラシカルメーターとした。当時と同様の伝統的な製法で造られたものだ。
そして、もうひとつ。バーキン卿が共に戦ったベントレーブロワーNo.9そのものをレストアした際にドライバー席から回収された木片も、ローテーションディスプレイの一面に樹脂コーディングされライトアップで浮き上がるよう細工されているというから、正にヘリテージの継承というべきだろう。
2019年に販売されるベントレーの全モデルには、望めば内外装にセンテナリー専用デザインのディテールが与えられることになっている。ボンネットやトランク、ホイールセンターなどのBマークにはセンテナリーゴールドのリングがデザインされており、なかでもボンネットとトランクのBマークには1919 to 2019の文字も追加された。インテリアやキーケースのBマークも同様である。
新型コンチネンタルGTを発表し、SUVベンテイガの販売も好調なベントレー。電動化や自動化、そしてコネクテッドといったこれまでの自動車のあり方を大きく覆すような価値がクルマ選びの基本となっていくなか、ラグジュアリィカービジネスにおいてはデザインやヘリテージがいっそう重要になっていく。
100年の歴史を持つということのアドバンテージは計り知れないものになるというわけだ。
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