■見たことあるようで「ちょっと違う」!? マツダ「教習車」とは
クルマの運転免許を取得する際にお世話になってきたであろう車種、それが「教習車」です。
多くの場合は市販モデルがベースですが、なかにはベース車自体が販売されていない「教習車専用モデル」もあるといいます。
AT限定免許しかないのに「MT車を運転」は無免許運転になる? それとも…?
教習車には様々な車種が用いられていますが、なかでも最近路上で見かけることが増えてきたのが、マツダのエンブレムを備えた教習車ではないでしょうか。
フロントマスクはコンパクトカー「MAZDA2」の前身である「デミオ」に似ていますが、リアセクションを見てみるとトランクが独立した形状のセダン型となっています。
ハッチバック型のMAZDA2やデミオとは異なり、日本で見慣れないボディを採用しているこの車種は、車名もズバリ「マツダ教習車」です。
これは海外市場専用の「MAZDA2セダン」がベースとなったモデルで、2019年7月から導入されています。
ベース車自体が日本で販売されておらず、教習所専用車しか存在しないというケースは、現在国内ではほかに見られません。
従来型のマツダ教習車は「アクセラ」(3代目モデル)をベースとしていましたが、モデルチェンジを経てボディサイズが拡大してしまいました。
教習車として用いるにはやや大きすぎるという懸念が出てきてしまったため、より小さなベース車を用いることになったのです。
ただ教習車には、道路交通法などに基づいた規定のボディサイズが存在しています。
たとえば全長は4.4m以上であることが定められており、小さすぎてもその要件をクリアできません。
しかしデミオ/MAZDA2の全長は4m少々。条件を満たすMAZDA2セダンをベースとした新たな教習車が生まれたというワケなのです。
■教習車でも「走るたのしさ」に配慮!
実はこのモデル、日本では生産しておらず、タイからの輸入車ということになります。
ベースとなったMAZDA2は、マツダ教習車登場以降も何度か改良がなされていますが、マツダ教習車はいわゆる“デミオ時代”のフロントマスクを踏襲しています。
これは補修のしやすさも考えたものであり、ある程度の期間、使用されることを考えた上での措置と言えるでしょう。
そんなマツダ教習車ですが、パワートレインは基本的に国内のデミオと共通となっており、1.5リッター「SKYACTIV-G」ガソリンエンジンと6速MT、もしくは6速ATとの組み合わせ。ベース車に備わる「G-ベクタリングコントロール」も搭載され、運転しやすい車両特性を備えているのも同一です。
これは、教習車であっても走る歓びを感じてもらいたいというマツダの考えから来るものです。
適切な位置に配置されたペダルレイアウトや、正しいドライビングポジションを取りやすくするために備わるチルト&テレスコピックステアリングにシートリフターなど、運転にまつわる部分には一切コストカットがされていない点もその一環と言えるでしょう。
もちろん教習所を運営する側への配慮もなされています。
ベース車がアクセラからデミオに変わったことにより、タイヤサイズが1インチダウンとなり、タイヤやホイール交換にかかるコストが抑えられたことや、高効率なSKYACTIV-Gエンジンとしたことで、燃費性能も向上しています。
さらに、万が一後退時に接触してしまった場合でも、プロテクター部分のみを交換できるようなリペアビリティの高さなどもしっかり考慮されているのです。
加えて、教習車としての使い勝手を向上させるために、助手席にもシートリフターを装着したほか、足元に備わる発煙筒の位置の最適化や、足元のヒーターダクトの位置の最適化を実施。
教官用のサブブレーキを小型化することで足元空間を確保し、最適な角度のフットレストを用意するなど、教習車としてのこだわりぶりもかなりのものとなっています。
またボディカラーも、マツダのプレミアムカラーとして知られる「ソウルレッドクリスタルメタリック」や「マシーングレープレミアムメタリック」も用意されています。
マツダによれば、有料色ながらも多くの教習所で選ばれているそうで、教習生からの評判も上々なんだとか。
このように教習車からも人馬一体の走る歓びを感じてもらおうと、ある意味「草の根運動」のような感覚でリリースされているマツダ教習車。
我々一般ユーザーは購入することができないのが残念なところですが、教習所によってはペーパードライバー教習などを実施しているところもありますから、すでに免許を取得している人もマツダ教習車に乗るチャンスはありそうですね。
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