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【試乗】公道を走れるレーシングカー「ダラーラ ストラダーレ」に乗った!

掲載 更新 3
【試乗】公道を走れるレーシングカー「ダラーラ ストラダーレ」に乗った!

2020年の初夢試乗はダラーラ ストラダーレ。どこぞのクルマだ?と思うなかれ。レースファン、特にフォーミュラカーレースが好きな人にとってダラーラはリスペクトする存在である。イタリアのヴァラーノ・デ・メルガーリに本社を置く「ダラーラ・アウトモビリ」が、世界のフォーミュラレースを支えているといっても過言ではない。なぜなら、ダラーラはフォミューラのシャシーコンストラクターとして超有名なのだから。そのダラーラが送り出したロードゴーイングカーがストラダーレであり、このたび、国内でのデリバリーが開始された。これが初夢試乗の相手である。

現在のフォーミュラレースのカテゴリーでは、ほとんどがダラーラのシャシーが使用されている。北米最高峰のレースであるインディカーのシャシーや欧州を中心にしたF2、F3は、ダラーラのワンメイク状態。F1でもホンダが1998年にシャシー開発を開始していたときに製造を担当(設計はホンダ)したのは有名な話だ。レースシーンではメジャーな存在だが、公道を走ることができるスーパースポーツの開発は、このストラダーレが初だ。

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ストラダーレの開発は、ダラーラ・アウトモビリの創始者であるジャンパオロ・ダラーラ氏の80歳を記念するアニバーサリーモデルとして2015年から開発が進められた。20人のエンジニアと5人のメカニックによるチームがプロジェクトを推進し、現在のレーシングテクノロジーとエアロダイナミクスを存分に生かしたスーパースポーツが誕生した。2017年11月16日、ジャンパウロ氏81回目の誕生日に、彼の故郷にほど近いヴァラーノ・デ・メルガーリの地で第1号車が手渡されたという。日本ではインポーターの老舗であるアトランティックカーズが正規輸入・販売を行う。

このような特別なモデルの試乗はとてもうれしいと同時に、クルマの成り立ちを聞くほどにじつは不安にもなった。生粋のレーシングコンストラクターがリリースするスーパースポーツの試乗に、筆者は恐れを抱いていた。レースはかじったことはあるが、フォーミュラカーはドライビングしたこともない。市販車ベースでもレーシングカーとなると別物が多いというのはよくわかっているから、市販車とはいえフルカーボンモノコックのミッドシップスポーツをうまく走らせられるか正直不安だった。

ストラダーレの“素”のモデルは、フロントウインドーが付かないバルケッタ(オープン)だというから、やはりレーシングカーを想像させる。バルケッタにフロントスクリーンを付けると“ロードスター”になり、そこにTフレームを追加することで“タルガ”に進化。さらにガルウイングドアを取り付けることでクーペのスタイルになる。ちなみにリヤウイングもオプションで、今回試乗したのは、最終形態(?)のリヤウイング付きクーペ仕様だ。

ガレージでストラダーレと対面すると意外にコンパクトであることに驚いたが、真黒なカーボンボディカラーはオーラに満ちていた。クーペスタイルのフロントスクリーンの中央には垂直にワイパーブレードが置かれている。まるでFIA世界耐久選手権(WEC)のマシンのようだ。

簡単なコックピットドリルを受けてストラダーレに乗り込むとき、試乗に対する不安がピークに達した。ガルウイングドアはあるものの、その開口部は驚くほど狭く高い位置にある。ボディサイドに腰掛け、足を先に入れて乗り込む乗車スタイルはレーシングカーそのものだ。こうした乗車方法は初体験だし、足元のシートに書かれた「STEP HERE」で素性を確信した。体を滑り込ませて薄いシートに腰を下ろすと周りの景色が違う。明らかにアイポイントが低く、周りがカーボンで囲まれているのも特別な雰囲気だ。シートはボディと一体で固定され、フロアから立ち上がるアクセルやブレーキペダルの調整は、シートサイドに隠されたレバーを握ることで手前にスライドする。もちろんシートベルトは4点式でレーシングカーと同様の調節。

センターコンソールのスターターボタンを押すと、背後でエンジンが目を覚ました。ダラーラ ストラダーレに積まれるエンジンはフォード・フォーカスRS用の2.3リットル直列4気筒ターボ。だが、もちろんノーマルのままではなく、ボッシュの電子制御システムが組み込まれ、最高出力は400馬力を発生する。車両重量(乾燥重量)は、たったの855kg(ベースモデルの数値で試乗車とは異なる)。パワーウエイトレシオは2.14だ。スポーツカーとして2019年に久々の復活を果たしたトヨタ スープラRZは同4.47だからその数値からポテンシャルの高さは容易に想像できる。

2ペダル仕様(基本は6速MT)のため、アクセルペダルを踏むとあっさりと、そしてスムーズに発進。スナッチやギクシャク感は皆無だ。背後からはパドルシフト用のオイルポンプの作動音が聞こえ、やはりレーシングカー直系のモデルであることを実感させる。荒れた一般道では引き締められたサスペンションによってバウンジングと突き上げ感があるが、カーボン製ボディの剛性がしっかりしているため不快ではなく、薄いシートでも乗り心地は意外に快適。カーブでステアリングを切るとノーズが超正確に動く。決して過敏ではなく操作したぶんだけ忠実に動くさまは、精密機械のようだ。スウェードの小径ステアリングが手ににじむ汗を吸ってくれ、徐々にストラダーレに慣れてきた。

あいにく路面が濡れていたためアクセルを踏み込めなかったが、高速道路下の乾いた路面でちょっとだけアクセルを踏むと、弾けるような加速を示した。5000回転を過ぎるとさらにエンジンの吹き上がりが鋭くなるが、一般道ではここまでが限界。ボディが軽いためあっという間にスピードが乗り、法定速度に達してしまうからだ。タイヤが温まったこともあって路面の砂をタイヤが拾い、それがタイヤハウスを叩く音はレーシングカーそのもの。こうして流して走るだけでも胸が高鳴り、高揚感もある。特別なモデルだからこそ感じられる、特別なドライブフィールだ。

一瞬、サーキットを走らせたいと思ったが、ちょっと手に負えないことも自覚している。レーシングカー直系の最新の空力ボディは、280km/hのトップスピードで820kgものダウンフォース(リヤウイング装着時)を発生させ、コーナリングの横Gは2Gを超えるというから驚く。一般道ではオーバーサーボ気味のブレンボ製ブレーキ(鋳鉄ローター)システムは、きっとサーキットで真価を発揮するのだろう。サーキットでタイムアタックするには、それなりの腕と“風”を読む力が必要になる。

 

〈価格〉
6速SMT:2671万9000円(税別…2429万円)
6速MT:2482万1500円(税別…2256万5000円)

■ダラーラ ストラダーレ(MR・6速SMT)主要諸元【寸法・重量】 全長:4180mm 全幅:1870mm 全高:1150mm ホイールベース:2475mm 最低地上高:95~105mm 車両重量:855kg(乾燥重量) 乗車定員:2人 【エンジン・性能】種類:直4ターボ 総排気量:2261cc 最高出力:400ps/6200rpm 最大トルク:500Nm/3000~3000rpm 【諸装置】サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン ブレーキ:前後Vディスク タイヤ:前205/45ZR17 後255/35ZR18 車両価格:2671万9000円 ※ベース車の諸元。試乗車はオプション装着のため諸元が異なり、価格は3964万5100円となる

ダラーラ ストラダーレ公式WEBサイト
http://atlantic-c.jp/dallara-stradale/

アトランティックカーズ
http://atlantic-c.jp

*製品仕様・価格(税込み)などは掲載時のもの

〈文=丸山 誠 写真=driver@web編集部〉

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みんなのコメント

3件
  • 魅力的だけど屋根付きにして4000万、まあこれ買う層は値段なんて気にしないんだろうな。
  • ダラーラ製ですか。気が遠くなるほど魅力的。
    乗れる人が羨ましいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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