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ポルシェ パナメーラはサルーンでなく、4ドアグランツーリスモでなければならなかった【10年ひと昔の新車】

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ポルシェ パナメーラはサルーンでなく、4ドアグランツーリスモでなければならなかった【10年ひと昔の新車】

2009年4月、911、ボクスターケイマンカイエンに続くポルシェ第4のモデル「パナメーラ」がワールドデビューを果たした。新型フル4シーターグランツーリスモとして生を受けることになるが、Motor Magazine誌は正式発表を前に、ドイツ・ヴァイザッハのポルシェ研究開発センターでその市販前最終バージョンの詳細な取材に成功している。パナメーラはどんなモデルとして開発されたのか。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年5月号より)

入念な研究の成果による凝りに凝ったボディ構造
ポルシェ社の研究開発担当取締役であるヴォルフガング・デュルハイマー氏の開幕スピーチからスタートしたパナメーラのワークショップイベントは、ドライブトレーン、シャシ/サスペンション、ボディ、アコースティック(サウンドデザイン)という4つのパートを、担当エンジニアが各30分ほどの時間をかけてレクチャーを行うというスタイルで進行した。

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ポルシェ自身が「4ドア グランツーリスモ」とそのキャラクターを紹介するパナメーラ。個人的に最も興味を引かれた内容は、実はボディ構造に関してだった。

4970×1931×1418mmというボディサイズの、ユニークなファストバックプロポーションを備えるパナメーラ。実はそれを構成するのは、類例がないほど多様な材料が用いられた、「超」の文字を加えても良いほどのハイブリッドボディであることが判明したからだ。

パナメーラのボディに適用された基本的な考え方は「適材適所の素材使用による軽量化」というもの。ちなみに適材適所とは、パナメーラが4人乗りとして相応しい居住空間を求められたモデルであることや、スポーツカーメーカーとしポルシェの作品であることなども、もちろん勘案されている。

パナメーラのボディに採用されのは、重量比にして75%がスチール、そして25%がアルミやマグネシウムといった軽合金及びプラスチックなどの複合素材である。

具体的には、キャビン部分のフロアを構成するのはマルチフェーズスチール(多層鋼)がメインで、サイドパネルやルーフ周りには深絞り用スチール、あるいは高張力鋼などを採用する。ドアシルやセンタートンネルなど、とくに高強度が必要とされる部分にはボロンスチールが使用される。また、ダッシュボード部分には、ハイドロフォーム(液圧成形)材の姿も見ることができる。

一方、フロントフードやドアパネル、テールゲートなどの「蓋もの」については、アルミ材が多用される。同時に、サイドフレームやフェンダーにもアルミ材を用いるとともに、フロントエンドマウントにはマグネシウム合金を採用するなど、フロントセクションには積極的に軽量素材を用いた「ハイブリッド構造」とすることで、最もフロントまわりが重い「ターボ」でも52:48という理想的な前後重量配分を達成している。

また、凝りに凝った左右4枚のドア構造も興味深いもの。前述のようにアウターパネルにはアルミ材を使用するが、内部フレームは同じアルミ素材でもレーザー加工を行ったダイキャスト製。さらに側面衝突時の変形を抑えるためのインパクトビームには、アルミでも強度の高い押し出し成型品を使用する。また、そのウインドウフレーム部分にはマグネシウム合金を採用し、周辺ボディパネルとの完全フラッシュサーフェス化を実現している。

ちなみに、かくも軽量化にチャレンジするのなら「ボディ全体をアルミ化すれば良いのではないか?」という疑問は誰もが抱く事柄であろう。だが、とくにパナメーラのようなモデルでそれを行うのは、決して得策ではないという。

なぜならば、アルミ材を用いて必要な強度を得ようとすれば、その断面積はスチール材の場合よりも大きくなってしまうからである。それを、豊かな居住空間も求めるこうしたモデルで行うのは、望ましいことではないというのが彼らの見解なのだ。

ところでパナメーラの空力データは、Cd値がSグレードで0.29、ターボグレードで0.30。またターボのリアウインドウ下端部には、90km/hでポップアップした後に中央分割部から左右に展開して面積を拡大させ、205km/hまではマイナス3度、それ以上の速度ではプラス10度の迎え角に可変される4ウェイアクティブリアスポイラーが装着される。これにより、前後輪ともにダウンフォースを与えることに成功しているという。

パワートレーン系に見る理想を実現させる方策
そして、フロントフードの下には、カイエン用をベースに大幅なリファインが施されたV型8気筒の4.8L直噴エンジンが搭載される。

現時点で発表されているパナメーラのラインナップはS/4S/ターボという3タイプ。うち、前二者には最高出力400ps/最大トルク500Nmという自然吸気ユニットが、また後者には同じく500ps/700Nmというツインターボ付きのユニットが搭載される。

パナメーラ用エンジンの大きな特徴は「カイエン用ではアルミパーツを用いた多くの部分をマグネシウムパーツへ置き換えたことと、(4WDモデルの場合の)フロントドライブシャフトの位置をエンジン本体に対して大幅に上方へ引き上げたことの2点」であるという。

実はパナメーラの開発に際しては「卓越した効率性とパフォーマンスの獲得」が目標に掲げられ、エンジン関係ではこれ以外にも、オンデマンド式のパワーステアリングポンプの採用や、エンジン冷却水温度管理の最適化といった項目もその一例として挙げられている。

そんな項目の中で、やはり最も注目に値するのは、全モデルに標準装備されたオートスタート/ストップシステムだろう。最新の欧州モードでの計測法では、これによって0.6L/100km(約1.7km/L)の燃費向上を見込めるという。

ただし、そんなデバイスの採用にもかかわらずパワーステアリングは油圧式のままといった、すぐには納得し難いポイントもある。

「アイドリングストップ中に操舵力を加えても、パワーアシストを働かせるためにエンジンをスタートさせるといった制御は行わない」というが、それが不自然さを生む原因とならないのか否かは、自らテストドライブを行う時を待つ以外にない。

2ペダル式のトランスミッションは、911カレラやケイマン/ボクスターに採用済みの7速デュアルクラッチ式トランスミッション、PDKである。そのユニットはもちろん「ターボ」の最大トルク700Nmにも対応した新作で、ポルシェの作品らしく「ローンチコントロールの機能も採用」とのこと。

さらに「AT比では、0.8L/100km(約2.2km/L)相当の燃費改善効果がある」というのは、100km/h走行時でのエンジン回転数がわずか1000~1100rpmに過ぎないという7速ギアでの、クルージング時の省燃費効果がかなり大きそうだ。

もう一点、駆動系で見逃せない新技術は、驚くほどコンパクトにまとめられた4WDモデルの前輪駆動システムである。トランスミッション後方右側からベベルギアを介し、車両中心線に対して右側へ11度の角度で前方へUターンしたアウトプットシャフトは、エンジン後部右下にレイアウトされたフロントデファレンシャルへと、電子制御式多板クラッチ型トランスファのPTMを介してエンジントルクを伝達。さらに、デフから左右に伸びたドライブシャフトは、左側がエンジン後部下側を貫通する構造で前輪を駆動する。

ちなみに、メルセデス・ベンツBMWの各モデルでは、この一連のレイアウトがセンタートンネルのフロント右側を大きく張り出させてしまうため、乗用車系4WDモデルでは右ハンドル化が成立していない。

だがパナメーラでは「もちろん4WDモデルにも右ハンドル仕様を設定する」という。さらに、フロントエンジン車ながらパナメーラが驚くほどに低いフード高を実現させているのも、このフロントドライブシャフトの位置が肝要のようだ。

なぜなら、エンジニア氏が自らの両手を用いて表現してくれた「エンジン本体とドライブシャフト位置の、カイエン用との高さ方向の違い」は、軽く15cmほどにも達しているように見えるものだったからだ。

「ありえない」と思わせた圧倒的なパフォーマンス
タクシードライブのために用意されたパナメーラは、2台の「ターボ」と1台の「4S」といういずれも4WDで、アダプティブエアサスペンション(ターボ以外にはオプション設定)仕様のモデルだった。「今日のデモドライブでは是非、後席の快適性も味わって下さい」というデュルハイマー氏のオープニングスピーチにもあったように、早速そのVIP席を確保してパナメーラでの初ドライブへと臨む。

起伏に富んだブラインドコーナーが連続するヴァイザッハのテストコース、そこでのパナメーラ初体験でまず学ばされたのは、このモデルが間違いなく「純正ポルシェのピュアスポーツカーである」というこの一点だった。さしたるエスケープゾーンもないタフなコースを、しかしまさしく「我が庭のように走る」ポルシェのテストドライバーの手に委ねられたパナメーラは、兎にも角にもすこぶる速い!

中でも、スタビリティコントロール機能をカットして、それなりの本気モードで走ってくれた「ターボ」のドライバーが駆る1台は、前後左右にとんでもないGを発しながら、ステアリングを握らずしても十分に実感できる濃密な接地感を少しも失うことなく美しいドリフトアングルを保ちながら、迫り来るコーナーをありえないと感じさせられるペースで駆け抜けてくれたのだ。

リアシートに座ってこれほどの強烈体験をしたのはもちろん初めて。と同時に、そんなパナメーラの走りの実力を知ったAMGやBMW Mの開発陣が頭を抱える姿が、チラリと脳裏に浮かぶことにもなった。

パナメーラは、まず地元であるドイツのマーケットからセールスが開始される。その日は、すでにあと半年を切った今年(編集部註:2009年)の9月12日だ。「果たして、今の時代にこうしたモデルがマッチしているのか!?」という、疑問の声をも含んだパナメーラに関する話題がこの秋に沸騰するのは、もはや間違いのないことだろう。(文:河村康彦)

ポルシェ パナメーラ ターボ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1931×1418mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:2045kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●排気量:4806cc
●最高出力:368kW(500ps)/6000rpm
●最大トルク:700Nm/2250-4500rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:8.2km/L
●タイヤサイズ:前255/45ZR19、後285/40ZR19
●最高速度:303km/h
●0→100km/h加速:4.2秒
※データはEU準拠

ポルシェ パナメーラ 4S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1931×1418mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:1935kg
●エンジン:V8 DOHC
●排気量:4806cc
●最高出力:294kW(400ps)/6500rpm
●最大トルク:500Nm/3500-5000rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:9.0km/L
●タイヤサイズ:前245/50ZR18、後275/45ZR18
●最高速度:282km/h
●0→100km/h加速:5.0秒
※データはEU準拠

ポルシェ パナメーラ S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1931×1418mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:1845kg
●エンジン:V8 DOHC
●排気量:4806cc
●最高出力:294kW(400ps)/6500rpm
●最大トルク:500Nm/3500-5000rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)/[6速MT]
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:9.3[8.0]km/L
●タイヤサイズ:前245/50ZR18、後275/45ZR18
●最高速度:283[285]km/h
●0→100km/h加速:5.4[5.6]秒
※データはEU準拠

[ アルバム : ポルシェ パナメーラ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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