エリーゼ生産終了の悲報
text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
【画像】ついに生産終了……【ロータス・エリーゼどんなモデルがある?】 全108枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
ついに「エリーゼ」が生産を終了する。それは筆者のようなクルマ好きにとって、ちょっと悲しいお知らせだ……。
いつかはその日が来る。それはわかってはいた。けれど、そのタイミングが正式に告げられ、カウントダウンがはじまると一気に現実となってしまう。
イギリスのスポーツカー・メーカーであるロータス・カーズは2021年1月25日にメディア向けのリリースを出した。
それによると、新しいススポーツカーである「タイプ131」のプロトタイプの生産を2021年中に始めるという。
それ自体は喜ばしいことである。しかし、始まりがあれば終わりもある。
タイプ131が世に送り出されるのと入れ替えに、ロータスにとって大成功モデルとなった「エリーゼ」、そしてその高性能モデルとなる「エキシージ」、また上級スポーツカーの「エヴォーラ」も幕を閉じることになったのだ。これら3モデルは2021年で生産を終えるという。
エリーゼが欲しい! でも……
エリーゼは、ロータス社にとって2000年代の主力モデル。4気筒エンジンをミドシップに搭載した、2シーター・オープンスポーツカーだ。
最大のトピックは軽量&コンパクトという同社の原点に回帰したクルマ作りとなっていること。
当初の車両重量は車検証の記載値でもわずか700kg台と市販車とは思えない領域。軽さを実現するために、アルミニウム製の部材を接着剤で結合したフレームにFRP製のボディパネルを装着する、一般的な市販車とはまったく異なる設計が特徴だ。
そして魅力は、通常の市販車では味わえないドライビング体験。太くて背の高いサイドフレームをまたいで乗り込みシートに座ると、まずはその着座姿勢の低さに驚く。
トヨタ・スープラなどスポーツカーの着座姿勢がいくら低いとはいっても、それとは次元の違う低さ。まるで地面に座るのかと錯覚することで、視界はあたかもレーシングカーだ。
走りはまさにダイレクトで、なかでもキビキビとしたハンドリングはエリーゼを運転する歓びの真骨頂である(あまりにクイックかつミドシップなので雨の日はちょっと乗りたくないほど)。スポーツドライビングを好むドライバーを虜にすることは約束できる。
しかし、である。
いくら「エリーゼが欲しい」となっても、「じゃあ最後に新車で買いましょう」とは簡単にはいかないだろう。最大のネックは価格で、日常づかいなんてできそうもないクルマに682万円(現在新車で購入できるもっとも安い「スポーツ220II」の価格)も投入するのはハードルが高い。高すぎる。
しかもなんと、あらためて日本でロータスを扱うエルシーアイ社のウェブサイトを見ると新車のエリーゼはすべて「新規オーダーは終了」と書かれているではないか。
少量生産ゆえに生産キャパシティが限られているからなのだろうが、こんなに早く新車が買えなくなってしまうとは。
国内在庫はまだあるようだから、「ぜひ新車で欲しい」という人は、1日でも、いや1秒でも早くディーラーへ向かったほうがいいだろう。
現実的な解は中古?
というわけで、価格的なハードルを考えると多くの人にとっては中古車というのがエリーゼを手に入れる現実的な解となってくるのではないだろうか。
では、中古車の状況はどうなっているのか。
大手のネット検索サイトで調べてみたところ、登録されている台数は約60台。決して多くない。聞くところによると「オーナーが手放さないから、中古車市場での流通量が少ない」そうだ。
しかも、この記事を執筆する時点でもっとも安いプライスタグなのが税込でジャスト300万円。半数以上は500万円超えで、平均価格(この数字に意味があるのかどうかは微妙だが)は540.8万円というからただただ驚くしかない。
20年以上前から生産されていて、新車価格が500万円を割り込む仕様も用意されていたクルマとしては、きわめて強気な相場といっていい。
そんな相場を見ると、中古だったら、と思っていた自分の考えが甘かったことを実感する。あらためて中古車検索サイトを見たら、エリーゼは中古でも手ごわい存在だと知ることになった。
ところで、中古車のリストを見ていると、面白いことに気が付く。2004年式あたりを境に、明らかに相場が上がっているのだ。その理由はどこにあって何が違うのか?
実は、エンジンが違うのである。当初、エリーゼにはローバー製のK型エンジンが組み込まれていた。しかし、2004年からは一部モデルにトヨタ製エンジン(2ZZ-GE)を組み合わせ、それが主力となっている。
その後2006年からはすべてのモデルにトヨタ製エンジン(2ZZに加え1ZZ-GE、2010年からは1ZR-FAE)を搭載。トヨタ製エンジンのモデルは、ギアボックスもトヨタ製を組み合わせる。
筆者はトヨタ製エンジンのモデルにしか乗ったことがないからわからないが、もしかするとローバー製のほうが味はあるのかもしれない。
とはいえ、スポーツカーの心臓として考えてもトヨタ製エンジンの実力はかなりのもの。エリーゼへ搭載するためにマネージメントをすべてやり直している。その結果として「これがトヨタのエンジンか?」と思える吹け上がり、音、そして刺激を手に入れているのだ。しっかりとスポーツカーのエンジンに仕上がっているのである。
トヨタ製エンジンを搭載したエリーゼに試乗したときは同じエンジンでもトヨタ車とのフィーリングの違いに驚き、制御ってすごいなとあらためて感じたことをよく覚えている。
トヨタ製が狙い目?
ところで、マイカーとして長く付き合おうと考えて中古車を選ぶ際に重要なのは耐久性ではないだろうか。
ローバー製のユニットとトヨタ製ユニットがあったら、(ギアボックスまで含めて)どちらが丈夫で壊れにくいか。その答えは火を見るより明らかだ。もし壊れた時の部品代だってトヨタ製が有利だ。
中古車として購入する場合、メンテナンス代は避けて通れない話。その部分で、トヨタ製ユニットは大きなアドバンテージがある。
というわけで、少し時間が経過してトヨタエンジンのエリーゼがもうちょっと気軽に買えるプライスになったらぜひ中古のエリーゼが欲しいと思っている。
最大の不安は、このまま順調に中古車相場が下がるのか?ということ。もしかすると、生産終了をきっかけにそのまま中古車相場が上昇に転じてしまう可能性があるのだ。
もちろん、将来的にはエリーゼの中古車相場が上がるのは間違いない。それはわかっているけれど、そのタイミングがいつ訪れるのかということである。しばらく、ドキドキがつづきそうだ。
早めに手を打ったほうがいいのは間違いないのだが……。
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みんなのコメント
正直言って無理してまで買えない。