現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 両社の“強み”ゆえに出遅れた!? マツダ&スバルが抱えるエンジンの課題

ここから本文です

両社の“強み”ゆえに出遅れた!? マツダ&スバルが抱えるエンジンの課題

掲載 更新 41
両社の“強み”ゆえに出遅れた!? マツダ&スバルが抱えるエンジンの課題

 マツダとスバルがパワーユニット開発で大きく出遅れてしまった。

 マツダはロータリエンジンを世界で唯一実用化させた実績を持つし、クリーンディーゼルエンジンも早い時期に規制対応。

脱ガソリン車は本当に実現できるか!?? 提言・ニッポンの電動化は公共交通機関から始めよう!

 直近ではこれまた世界中の自動車メーカーが開発していた圧縮着火エンジンを市販している。パワーユニット技術、世界有数だと考えていいだろう。

 スバルも自動車では世界で2つのメーカーしか量産していない水平対向エンジンをストロングポイントにしてきた。バランスの良さを武器にWRCでも大暴れ!

 世界中のクルマ好きにボクサーエンジンの存在をアピールしたほど。4気筒として考えたら圧倒的に振動少なく、同じ出力を考えたら軽量コンパクト。縦置き4WDとの相性も良い。

 しかし、両ブランドともに近年厳しくなるいっぽうの企業平均燃費CAFEに対応できなくなってきた。

文/国沢光宏 写真/編集部、MAZDA、SUBARU

【画像ギャラリー】日本未導入のスバル クロストレックPHVとマツダMX-30 EVをみる

エンジンが「武器」のマツダ&スバルに立ちはだかる厳しい規制

スバルのアイデンティティでもある水平対向エンジン。他社にない魅力を持ち、進化を遂げてきたが、それゆえ燃費規制対応や電動化の加速が急務となっている

 なかでも厳しいのがマツダ。欧州は2021年から本格的な2021 CAFEを開始するのだけれど、2020年より徐々に燃費を向上させていかなければならない。その対応が間に合わず、2020年から販売台数を自主的に押さえなければならなくなってしまった。

 つまり、売れるポテンシャルはあるけれど、売ったらCAFE未達成の罰則金を払わなければならず、赤字になってしまう。したがって泣く泣く燃費が悪いクルマの販売を絞らなければならない。

 また、日本でもマツダ3クラスに2200ccディーゼルエンジンを搭載すると、日本の2020 CAFEをクリアできない。結果、ハイパワーモデルはラインナップできない。

 スバルも状況は同じ。すでに欧州はe-BOXER以外の販売を休止。日本で大幅エンジンのリニューアルをおこなった。

 ご存じのとおりWRXのようなハイパワーエンジン搭載車をすべて引っ込め、わずかでも平均燃費を上げるべく2500ccエンジンを新世代の1800cc直噴ターボに換装しているのだった。エンジンが2社の足を引っ張っているワケです。

なぜマツダとスバルは“お家芸”で規制対応に出遅れたのか

世界初の圧縮着火エンジン「SKYACTIV-X」を実用化したマツダ。技術レベルは極めて高いものの、強化される燃費規制を考えると、さらに燃費の良い電動化ユニットが必要になってきている

 なぜそうなったのか? 予想を完全に外したからに他ならない。私はずっとマツダとスバルのパワーユニット関係者と燃費規制について対応策を問うてきた。

 マツダでいえばSKYACTIV搭載のCX-5が出るあたりから。スバルも2012年あたりからです。当時、次世代燃費規制が本決まりになり、ハイブリッドなしでは難しいことが明々白々だった。

 マツダのパワーユニット戦略を決めていたのは、エンジン技術の天才と呼ばれていた人見光夫氏。そして、スバルは技術研究所長であり技術のすべてを統括していた武藤直人氏だった。

 この2人に会うたび、ハイブリッドはやらないのか? 電気自動車はやらないのか? としつこく聞いてきた。答えは終始完全なる「やらない!」でした。

 そもそも人見氏は「エンジンのほうが電気自動車より総合的に考えたら二酸化炭素排出量は少ない」というポイントから1mmも動かない。SKYACTIV-Xが出たあたりでも同じでした。

 人見氏に「小規模なチームでいいから電気自動車をやらせないか?」と聞いたこともあったけれど、そんな余裕ないとバッサリ否定されました。

 武藤氏も同じ。人見氏と違い真正面から否定することはなかったけれど、穏やかな顔つきで「はいはい」と頷くのみ。

 いろんなルートから話を聞くと、武藤氏は新しいパワーユニット開発をいっさい許可しなかったという。新型レヴォーグに搭載されたハイブリッドやPHVにバージョンアップ可能な新世代エンジン開発も、武藤氏の引退後に本格化した。

 ということで、当時から現在までの流れをずっと追いかけてきた私からすれば、この2人が強いブレーキを踏んでいた2012年からの5~6年間で決定的に出遅れたんだと認識している。

 ちなみにスバルは武藤氏の引退後、すぐ「電動化やるぞ!」と大号令を掛けた人がいて、現在フル回転中。マツダはまだ失敗を認めておらず、中途半端な状況。

高い技術力をもつスバル&マツダのパワーユニット 今後はどうなる?

スバルは新型EVのコンセプトモデルを、2020年のスバル技術ミーティングで発表。トヨタとの共同開発を進める電動SUVだ

 今後どうなる? スバルについていえば、間もなくトヨタと共同開発しているCセグメントSUVの電気自動車が発表される(4月の上海ショーでトヨタ仕様を発表か?)。

 このクルマ、欧州のライバルとガチで勝負できる航続距離と価格競争力を持っていると言われる。トヨタとスバルのイメージをガラリと変える実力を持つらしい。

 電気自動車が出て販売台数伸びれば、企業平均燃費もググッと良くなる。しかもスバルのハイブリッドも出てくるようだ。

 スバルにハイパワー車がないという「谷間」は、2021年中には解消する可能性が出てきた。スバル、出遅れたものの挽回できるかもしれない。なにより今の研究所長の藤貫氏は慧眼の持ち主だ。期待していい。

2021年1月に発売されたマツダ初のピュアEV MX-30 EV。その評価は高いだけに、出遅れた電動化での巻き返しに期待充分だ

 マツダは基本対応を変えておらず。そればかりか2022年に3L・6気筒エンジン搭載モデルを販売することを2020年末に正式決定した。

 CAFEに届かないぶんは、トヨタからヤリスやRAV4ハイブリッドのOEM供給を受けることで切り抜けようとしている。カーボンフリーカーに拍車が掛かっている世界情勢を考えたら「う~ん!」です。

 マツダ初の量産電池自動車MX-30 EVの素晴らしい仕上がり具合など考えると、マツダも電気自動車に舵を切るべきだと思う。マツダのポテンシャルなら世界TOPクラスの電気自動車を作れるだろう。

 ガンコな経営陣の意識が変わらない限り難しいかもしれません。マツダファンからすれば新しい分野で大暴れしてほしいと思うのだけれど。

【画像ギャラリー】日本未導入のスバル クロストレックPHVとマツダMX-30 EVをみる

こんな記事も読まれています

F1シート喪失ボッタスのメルセデスリザーブ復帰は「時間の問題」トト・ウルフ代表認める
F1シート喪失ボッタスのメルセデスリザーブ復帰は「時間の問題」トト・ウルフ代表認める
motorsport.com 日本版
約100万円! トヨタ最新「軽トラック」は使い勝手サイコー! 斬新モデル「エクストラ」は“豪華装備”がすごい! めちゃ「過酷な環境」で愛用される“超タフ軽トラ”の魅力とは!
約100万円! トヨタ最新「軽トラック」は使い勝手サイコー! 斬新モデル「エクストラ」は“豪華装備”がすごい! めちゃ「過酷な環境」で愛用される“超タフ軽トラ”の魅力とは!
くるまのニュース
これがなくっちゃ被っちゃいけない!?「SG規格」とは?【バイク用語辞典】
これがなくっちゃ被っちゃいけない!?「SG規格」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
パンク知らずで空気圧チェックも不要! ブリヂストンの夢のタイヤ「AirFree」に乗ったらアリだった
パンク知らずで空気圧チェックも不要! ブリヂストンの夢のタイヤ「AirFree」に乗ったらアリだった
WEB CARTOP
ステーションワゴン専用モデルに刷新した新型フォルクスワーゲン・パサートが日本で販売開始
ステーションワゴン専用モデルに刷新した新型フォルクスワーゲン・パサートが日本で販売開始
カー・アンド・ドライバー
いすゞ、EV路線バス「エルガEV」の量産を開始
いすゞ、EV路線バス「エルガEV」の量産を開始
日刊自動車新聞
【オープントップ ランクル】ピックアップトラックにも転換可能!トヨタ、SEMAでオープントップ ランドクルーザー コンセプトを初披露!
【オープントップ ランクル】ピックアップトラックにも転換可能!トヨタ、SEMAでオープントップ ランドクルーザー コンセプトを初披露!
AutoBild Japan
「日本一大きい交差点」立体化完成いよいよ“秒読み段階”へ!? 「合計40車線」で“大渋滞エリア”の仙台バイパスに悲願の高架道路
「日本一大きい交差点」立体化完成いよいよ“秒読み段階”へ!? 「合計40車線」で“大渋滞エリア”の仙台バイパスに悲願の高架道路
くるまのニュース
トヨタ『カローラツーリング』などリコール…後方カメラが映らなくなるおそれ
トヨタ『カローラツーリング』などリコール…後方カメラが映らなくなるおそれ
レスポンス
【新車価格情報】国産車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年11月20日時点
【新車価格情報】国産車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年11月20日時点
カー・アンド・ドライバー
トライアンフの大排気量バイク「ロケット3」に“伝説のスタントマン”に敬意を込めた特別仕様車が誕生! 日本限定15台の超貴重モデルです
トライアンフの大排気量バイク「ロケット3」に“伝説のスタントマン”に敬意を込めた特別仕様車が誕生! 日本限定15台の超貴重モデルです
VAGUE
DSの新型電動SUVクーペ、年内デビューへ…ボディに描かれた「750」の意味
DSの新型電動SUVクーペ、年内デビューへ…ボディに描かれた「750」の意味
レスポンス
いま路線バスのサバイバルが始まっている! 電動バス・小型バス・二階建てバスで細かなニーズに対応することが鍵か
いま路線バスのサバイバルが始まっている! 電動バス・小型バス・二階建てバスで細かなニーズに対応することが鍵か
WEB CARTOP
大人の遊び心をくすぐるクラシックデザイン!「CRONOS」と「YADEA」がコラボ車両を発売
大人の遊び心をくすぐるクラシックデザイン!「CRONOS」と「YADEA」がコラボ車両を発売
バイクのニュース
トヨタ新型「ハイラックス“ミカン”」公開! タフ顔&オシャベージュ幌の「チャンプ」! 大注目の「新モデル」日本導入ありそう!?
トヨタ新型「ハイラックス“ミカン”」公開! タフ顔&オシャベージュ幌の「チャンプ」! 大注目の「新モデル」日本導入ありそう!?
くるまのニュース
アウディ Q7/SQ7【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
アウディ Q7/SQ7【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
ROTARY-EVも設定するマツダMX-30が商品改良。特別仕様車Retro Sports Editionも新登場
ROTARY-EVも設定するマツダMX-30が商品改良。特別仕様車Retro Sports Editionも新登場
カー・アンド・ドライバー
新車で買える「“4人乗り”軽トラ」が存在! 斬新すぎる「個性派トラック」が凄い! 悪路に強く「仕事×アウトドア×日常用」まで毎日使えるダイハツ「商用モデル」に注目あり!
新車で買える「“4人乗り”軽トラ」が存在! 斬新すぎる「個性派トラック」が凄い! 悪路に強く「仕事×アウトドア×日常用」まで毎日使えるダイハツ「商用モデル」に注目あり!
くるまのニュース

みんなのコメント

41件
  • 筆者は覚えていらっしゃらないかもしれませんが、スバル(富士重工)はトヨタと提携する前にNECと組んで電気自動車の開発をやっていましたよね。
    軽サイズのプロトタイプをモーターショーとかに出していたじゃないですか。
    トヨタと提携したタイミングでNECとの提携も解消したところを見ると、ハイブリッド車を推進したいトヨタから、軽自動車の生産停止とともに資本提携する条件になったのかもしれませんね。
    袖にされたNECは、その後日産と提携して世界最初の量産電気自動車リーフが生まれたわけですよね。
    ちゃんと調べて書いてくださいね。
  • エンジン以外にまだ取り柄のあるスバルにはこの先 生き残って欲しいけど
    なんとかの一つ覚えのようなロングノーズのデザインしか取り柄がないマツダは別にどうでもいいです
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

310.2576.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.8638.0万円

中古車を検索
レヴォーグの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

310.2576.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.8638.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村