ランドローバーの一角を支えるディフェンダー
2019年に生まれ変わったランドローバー・ディフェンダーの重要性は、従来以上に増している。2023年の販売数を見ると、レンジローバー・ヴェラールとイヴォーク、ディスカバリー・スポーツを合算した数以上に、ディフェンダーは売れているのだ。
【画像】オンとオフの高度な二刀流! ランドローバー・ディフェンダー 90 本気のオフローダーたち 全147枚
英国では、販売数は増加傾向。高級志向が進み、ちょっと良い仕様を選ぶと10万ポンド(約1950万円)を超えるにも関わらず。ジャガー・ランドローバーにとって、屋台骨の一角を構成している。
そんな基幹モデルなだけに、6年目となる2025年仕様では大きなアップデートが施された。スタイリングは殆ど変わらないが、インテリアは更に上質になった。
新しく強力なエンジンも導入。英国仕様では、D250かD350が選べる3.0L 6気筒ディーゼルターボと、4気筒ガソリンターボのプラグイン・ハイブリッドが主力になる。V8ガソリンでは、P425とP500の2種類の上に、新しく635psのオクタが登場した。
トランスミッションは、共通でZF社製の8速オートマティック。ローレシオ付きの四輪駆動システムに変わりはない。
2025年の小変更で空力特性が改善
ディフェンダーをおさらいすると、ボディは長さが違う90、110、130の3種類。レトロフューチャーなスタイリングは、登場当初は注目を集めたが、近年では見慣れたように思う。同社のアイコンは、見事に再解釈されたといえる。
空気抵抗を示すCd値は0.40と小さくはないが、フロントガラスは直立に近く、サイドウインドウのラインは低く、テールゲートは横ヒンジ。オリジナルの特徴は、ミニ・クーパーやフィアット500のように、巧みに継承されている。
今回のアップデートで、ヘッドライトやテールライトの造形へ手が加えられ、空力特性
は改善。その窪みには、汚れが溜まりそうだが。
プラットフォームは同社のD7系で、ボディパネルはアルミニウム製。過酷なオフロード走行を想定し、ホワイトボディはリベットで締結され、前後にはスチール製サブフレームが組まれる。その結果、車高が高い。
牽引重量は3500kgまでで、エアサスを装備し、渡河水深は900mmまで。衝突安全性や多くの豪華装備、快適性を踏まえた結果、外寸はオリジナルから大幅に拡大。真ん中の110では、全長が5018mmある。
高級感と堅牢性が巧妙にバランス
インテリアは、高級感と堅牢性を巧妙にバランス。あえて部分的に露出したボディ塗装やボルト、ハンドル、メーター類などが活かされ、現代的にデザインされている。ご先祖と異なり、製造品質は非常に高い。
レンジローバーやアウディQ7、ボルボXC90以上の豪華さとはいえないが、質実剛健なトヨタ・ランドクルーザー 250には勝る。全幅が1996mmもあるから、車内は広々。オプションで1列目を3名掛けにしても、そこまで窮屈さはない。
運転姿勢は直立気味で、ステアリングホイールは大きく、前方視界は広い。後方は、テールゲートの形状によって死角が小さくないが。
2列目も、シートが大きく快適。足元にも頭上にも、空間的な余裕はたっぷり。荷室も、開口部はやや狭めだが、110以降なら容量に不満はないだろう。130では、2列目が独立した2名掛けになり、3名掛けの3列目へのアクセス性が保たれる。
2025年仕様としては、ヒーター/クーラー内臓の新シートが登場。内装の選択肢にも幅が生まれた。
インフォテインメント・システムも新世代へアップデート。タッチモニターの反応は良く、スマートフォンとの連携にも対応する。エアコンは従来的なハードスイッチで操作でき、ステアリングホイール上にも頻繁に利用する機能のボタンが並ぶ。
オンロードとオフロードの能力を高次元に両立
それでは公道へ出てみよう。D300との交代で登場したのが、今回試乗したマイルド・ハイブリッドのD350。直6ディーゼルはモデル定番のユニットといえ、改良を受け回転時の滑らかさが増している。オンロードでもオフロードでも、まったく力不足感はない。
燃費も比較的良好。現実的に、平均で11.0km/L位は狙えるだろう。
プラグイン・ハイブリッドのP400eも、英国では支持率が高い。2.0Lガソリンターボに駆動用モーターが組み合わされ、システム総合での最高出力は404ps。15.4kWhの駆動用バッテリーを積み、現実的に32km前後を電気だけで走行できる。
V8ツインターボは5.0Lの排気量を活かし、期待通りのたくましさと豊かさ、音響的な楽しさを与える。ただし車重が影響し、猛烈に速いわけではない。燃費は7.0km/Lに届けば御の字だろう。
乗り心地や操縦性は、このクラスのトップ。同社の技術者は、オリジナルのディフェンダーもベンチマークの1つに据えたとしているが、従来の弱点はすべて克服。オンロードとオフロードでの能力を高次元に両立させている。
ステアリングはスムーズに反応し、ロックトゥロックは2.7回転と遅すぎず速すぎず。アクセルペダルも扱いやすく、必要なパワーをすぐに引き出せる。スポーティではないが、姿勢制御と乗り心地のバランスは高い。
操る楽しさを伴う 悪路の走破性はライバル以上
高めの速度域ではボディロールを隠さないものの、充分に抑制され車内は平安に保たれる。オールテレーンタイヤを履いていても、このクラスとしては一体感があり、操る楽しさを伴うといえる。
市街地ではボディがかさばりそうだが、高めの視点で想像以上に扱いやすい。四角いカタチで、四隅の位置も把握しやすい。ホイールベースの短い90の方が、やはり身のこなしは快活。重すぎることもなく、直感的に操縦できる。
悪路の走破性も間違いない。テレインレスポンス・システムが、スロットル・レスポンスやスタビリティ・コントロールを制御するが、モードを問わず安楽に悪路を処理できる。カメラや水深検出機能などが実装され、身を乗り出して下を確かめる必要もない。
ボディと地面が接する角度は、フロントのアプローチで38度。ホイールベース間のブレークオーバーは28度、リアのデパーチャーで40度もある。
エアスプリングを伸ばすと、最低地上高は291mmへ高まる。いずれもライバル以上といえ、ディフェンダーは、同社の主張どおり本気のオフローダーだ。
英国価格は、ベースグレードの110で6万ポンド(約1170万円)を切る。ただし、装備は基本的に充実しているが、性能と価格はある程度比例する。
世界最高峰の能力はさらに盤石に
改めてディフェンダーへ試乗したが、オンロードでもオフロードでも、弱点は見つからなかったと表現できる。特に過酷な悪路では、そんな環境を好まない人を想定したかのように、非常に安楽。加えて、オンロードでの妥協もほぼない。
森林の中を駆け回ることも、広大な農地の管理に奔走することも、学校の送り迎えで市街地を往復することも、当たり前のようにこなせる。都心での重要な会議のために、高速道路を長時間巡航することも。
確かに、価格はお高めではある。だが今回のアップデートで、世界最高峰の能力がさらに盤石になったことは間違いないだろう。
◯:シリアスなオフロードでも出色の走破性 実用的で上質な車内空間 見事なオンロード性能 説得力の高い操縦性
△:長いボディは大きく重い V8エンジンの燃費の悪さ やや狭いテールゲート オプションを選び出すとすぐに高価になる
ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)のスペック
英国価格:8万3220ポンド(約1623万円)
全長:4323mm
全幅:1996mm
全高:1974mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:11.9km/L
CO2排出量:224g/km
車両重量:2241kg
パワートレイン:直列6気筒2997cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
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