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こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】時代が早すぎた? 今だったら売れたかもしれない! プレミアムワゴンのアヴァンシア!

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こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】時代が早すぎた? 今だったら売れたかもしれない! プレミアムワゴンのアヴァンシア!

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、高級ワゴンとして新しい世界の扉を開けた、ホンダ アヴァンシアを取り上げる。

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】時代が早すぎた? 今だったら売れたかもしれない! プレミアムワゴンのアヴァンシア!

文/フォッケウルフ、写真/ホンダ

■成熟した大人たちに提案する新しいカタチの上級車

 アヴァンシアがデビューした1999年の日本国内の自動車業界は、モータリーゼーションが成熱したことによって、クルマに求められる機能が大きく変化しつつあった。

 それまではすべての機能が満遍なく盛り込まれたセダンがマイカーのスタンダードとして選ばれていたが、多人数乗車が可能なミニバンや広い荷室を有したステーションワゴンといった実用性に長けたクルマが、多彩な用途に対応できることを理由に支持されるようになったのだ。

 こうした市場の変化に対してスタイル、パッケージング、走り、快適性のすべてに新しい価値を追求し、多様化するライフスタイルに対応できる上級車として、ホンダはアヴァンシアを提案した。

1999年に発売されたアヴァンシア。きめ細かに処理されたドアモール、ドアサッシュなどが全体のデザインを引き締めている

 ホンダがアヴァンシアで狙ったのは、乗る人すべてが楽しく交流しながら、車内で誰もが平等に心地よく過ごせる「リムジン空間」の創造だった。

 ボディサイズは全長4700mm、全幅が1790mm、全高1500mmという扱いやすい寸法としていたが、「四座平等リムジンインテリア」を謳い、室内は圧倒的に広く快適な空間としていた。特に同乗者が心地よく過ごせることに注力した作りがなされ、前席はもちろん、後席スペースについても大人がゆったりと足が組めるほどの余裕が確保されていた。

 しかもシフトレバーをインストルメントパネルに設置し、フラットフロア構造としたことで前席の中央にスペースを設け、1215mmというミニバン並みの室内高を確保したことによって前後席間のウォークスルーが可能だった。

 広さだけでなく、快適機能が充実していたことも「四座平等リムジン」を実感させる要素だ。

 前後席それぞれに独立したエアコンアウトレットを備えたほか、アームレストを前席、後席ともにセンター部に装備。シートは異なる風合いと質感の調和を図ったモダンで落ち着きのあるデザインとし、座面部とシートサイド部にそれぞれ異なる硬度をもつ発泡ウレタンを採用。後席はリクライニングとスライドが連動すて好みのポジションにすばやく設定できる2ウェイラウンジシートとしていた。

■独創のアーチキャビンフォルムで斬新な美しさを表現

 「上級車」を謳うだけあって、外装は随所に上質感が漂う。豊かな曲面とシャープなラインを組み合わせたフォルムは、商用車をベースにしたワゴンとは一線を画すエレガンスを主張し、さまざまな用途に応えるアクティブさも感じさせた。

 ルーフ前端部からアーチ状にせり上がり、流れるような弧を描いてテールゲートへと続く「アーチキャビンフォルム」と称した独特のシルエットは、アヴァンシアの特徴であるリムジン空間を包み込む柔らかな膨らみとして、スタイルにおける大きな特徴となっている。

 細部のディテールについてもこだわり、パーツの結合部にできるすき間を限りなくゼロに近づけたり、モールやサッシュといった加飾を適所に廃することで、大人の感性を満たす個性あふれるスタイリングとしていた。

 リアまわりの独創性もアヴァンシアのスタイルにおけるトピックのひとつだ。ルーフエンドに設けられたトップライトウインドウと、ネガティブ形状の曲面を描いて連なるテールゲートウインドウによって構成される、「トップライト・ウイングハッチ」と名付けられたテールゲートを採用。

 トップライト・ウイングハッチは、これまでにない新鮮な美しさを主張するとともに室内に開放感を与え、さらにテールゲート部の剛性確保にも貢献し、上級車に相応しい優れた静粛性にも寄与している。

端正で無駄のないデザインのリアまわり。3次元ドアガラスで構成された大らかな曲面がのびやかなフォルムを創造

■シルキーコンフォートと称した高品位な走りと乗り心地

 高品位な上級車を目指したアヴァンシアは、走りにおいても高い水準の能力を有していた。基本的なメカニズムはオデッセイをベースとしながら、走行性能を決定付けるいくつかの要素に関するレベルを高めるだけでなく、あらゆる状況下において静かさ、乗り心地、操縦安定性や制動力といった能力を一貫して発揮できるよう走行性能に磨きがかけられた。

 パワーユニットは2.3L直列4気筒と、3L V型6気筒をラインアップ。いずれもホンダ独自の可変バルブタイミングリフト機構であるVTECによって全域で車格に見合う動力性能を発揮するとともに、アヴァンシアが走りおいて掲げた「シルキーコンフォート」というコンセプトに合致する、上質かつ安定した走りの源となった。

 特に3.0Lエンジンには、ホンダとしては初となる5速ATが組み合わされた。ドライバーの意志に素早く反応する特性と滑らかなシフトアップ特性によって洗練されたシフト感覚をもたらし、爽快な走りを味わわせた。

 足まわりの特性は、乗り心地のしなやかさと走りの爽快感を高い次元で両立したもので、これもクルマのキャラクターを見事に表現していた。サスペンションは、アコードをベースにダンピングフォースやスプリングバネレート、スタビライザーバネレートの最適化が図られたダブルウイッシュボーン式を前後に採用。

 可変ステアリングギアレシオシステム、前後に採用した15インチの大径ディスクブレーキといったメカニズムの効果も相まって、リニアな応答性と乗り心地のよさ、高速域での安定感と低速域での扱いやすさといった相反する要素を見事に両立していた。

 また、走行中に生じる騒音や振動の発生を抑えるボディ構造を基本に、振動伝播経路から室内への入力を遮断する作り込みによって、耳ざわりなノイズや不快な振動を低減。さらに内装構造にいたるまで一貫した防音・遮音対策を実施することで高められた静粛性もシルキーコンフォートの実現に大きく貢献していた。

情報を伝達する表示系と、エアコンなどの操作系を明確に分け、それぞれ使いやすい最適な位置にまとめて配置。ドライバーの視線移動と煩雑な操作による負担を軽減

 リムジンのようなくつろぎと華やぎに充ちた空間を実現していたことや、上級サルーンを標榜して高められた走りのポテンシャルなど、クルマとしての出来に文句のつけようはなく、ユーザーには大きな満足感を提供したアヴァンシアだが、1999年のデビューからわずか4年で生産終了となる。

 新しい上級車のカタチを模索し、ホンダ独創のアイディアや技術によって具現化したものの、当時としては斬新すぎた狙いや、ワゴン=実用車というユーザーが抱くイメージを変えることが叶わなかったことが影響して販売成績は振るわなかった。

 しかし、セダンやミニバンでもなく、ワゴンともちょっと違う、それでもセダンのように上質かつ快適で、ミニバンやワゴンのように使えるというアヴァンシアの魅力は、違いの分かる個性派には大いに評価された。

【画像ギャラリー】違いのわかる大人のためのプレミアムカー、アヴァンシアの写真をもっと見る!(9枚)

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みんなのコメント

13件
  • abk********
    要するに、ステーションワゴンモデルが各社飽和状態になってきて、今までに無い変わったステーションワゴン風モデルで打って出たが、それをニーズとするユーザーが少なかったと云う事でしょう。

    時々このアヴァンシアをネット自動車媒体は「今だったら売れたかも」と持ち上げますが、新車で販売していた頃はそんなに持ち上げていたかなぁと感じます。

    今さら何だよ…と、草葉の陰から声が聞こえてきそうな。
  • res********
    元アヴァンシアのオーナーの立場から見て、この記事を書いた者はアヴァンシアに乗った事がないのでは?と思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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