昨年10月に山中湖で行われたカングーユーザー参加型イベントのカングージャンボリーにて日本初公開された新型カングー。正式発表は今年2月で、正式発表前の輸入車がユーザー向けイベントでお披露目されるのは異例とも言える。ルノージャポンとカングーユーザーはお互いを尊重し合っていることの現れだと言えるが、実は日本でのカングー人気は当初予想外だったそうだ。
文/西川昇吾、写真/Renault
「なんで日本でカングーが売れるのか?」 人気は想定外だった!? カングーが日本人の心を鷲掴みにできたワケ
■日本市場に導入された経緯
2002年に日本に導入された初代カングー。実用性の高さと扱いやすいボディサイズで予想外の人気を集めた
初代カングーが日本に導入されたのは2002年のこと。日産とルノーのアライアンス関係が結ばれてから「ルノーの持っている乗用モデルは出来る限り日本市場に展開しよう」という流れになった。そうした流れからカングーは投入されたのだ。
既にフランスではカングーは販売されており、商用モデルと乗用モデルが存在していたが、当然乗用モデルが日本市場に導入された。
ルノージャポンから正規輸入される前から、カングーは並行輸入もされていてマニアの間では認知されていたそうだ。しかし、ルノージャポンとしてはそこまで売れる自信はなかったとのこと。
理由は日本の小型ミニバンの完成度が高いからだ。カングーは商用モデルもあり、乗用モデルであっても内装の一部が鉄板むき出しであったり、各種装備が簡素だったりしたし、細かなクオリティなどは日本のミニバンの方が高かった。日本の乗用バンたちに比べると乗用車としての魅力は薄いと考えていたのだ。
しかし、販売を開始するとルノージャポンとしても予想外の人気となった。導入された2002年には773台が販売された。この年の日本市場におけるルノー全体の販売台数は2412台だったので、登場していきなり同ブランドの約1/3というスコアを記録したことになる。翌2003年は1037台、2004年は1184台と年々台数を増やしていった。
■モーターショーでは「家族」が食いついた
2009年に日本導入された2代目カングー。大型化で3ナンバーサイズに
少し話は前後してしまうが、カングーは日本に正式導入される前の2001年東京モーターショーに展示されていた。当時のルノーブースには4.5L V8エンジンを搭載したコンセプトカー「タリスマン」や、ミニバンとラグジュアリークーペを融合し独特なデザインを持つ「アヴァンタイム」など華やかなモデルたちが並んでいた。
その中にカングーもあったが、あまり目立たない方だったという。ネット上にある当時のルノーブースの記事を探してみても、あまりカングーに触れている記事はない。
しかし、長年ルノージャポンに務めている広報担当に話を聞くと、カングーの注目のされ方は他とは違っていたそうだ。
「家族みんなで一斉に展示車に乗り込んで(乗車OK)、内装の各部を実際にチェックしていました。オーバーヘッドコンソールに驚きつつ、色んなシートアレンジを実際に試したり、バックドアを開け閉めしていましたね。モーターショーにクルマを見に来るというよりかは、ディーラーに家族でクルマを見に来たイメージに近い印象でした。あの光景はとても印象深かったです」
モーターショーとなると、どうも華やかなクルマに目が行きがちだが、カングーはファミリー層から現実的な夢として見られていたのかもしれない。
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