売れすぎなクルマ=ベストセラー車だが、そのベストセラー車といえども、重箱の隅を突くようで申し訳ないが、いまひとつな部分はあるのだろうか? いやあるはずだ!
ということで、ホンダN-BOX、スズキスペーシア、日産ノート、トヨタヤリス、カローラクロスの5台をピックアップし、いまひとつな欠点を、重箱の隅を突くようにモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏に挙げてもらった。
バブル末期に現れた個性派スポーツクーペ! トヨタ サイノスの「壁」
文/渡辺陽一郎
写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱、ダイハツ、スズキ
【画像ギャラリー】ここがもったいない! 今大人気の軽自動車とコンパクトカーに改善してほしいポイントは?
■ホンダN-BOXのいまひとつな欠点→マイルドHVがない、シートの座り心地が悪く、電動パーキングブレーキがない
●2021年1~9月の1ヵ月の平均月販台数:約1万7000台
2020年11月25日に行なわれたマイナーチェンジで標準モデルはフロントグリルやロアグリルのデザインを変更し、メッキ加飾も増やしている。グリル内にある横方向のメッキバーをホンダロゴの位置に下げ、さらにバンパーの開口部にも細いバーを追加
N-BOXカスタムは逆台形メッキグリルから横長6角形のグリルケースに横線グリルを走らせたデザインへと変更することによってひと目でノーマルとカスタムの個性の幅を広げるマスクに仕立てている。さらにバンパー下部のフォグランプ回りもコの字型のメッキ追加やN-BOXカスタムのみナンバープレートの位置が右側から中央に変更
絶好調に売れているクルマでも、欠点はある。そこを指摘してみたい。まずはホンダN-BOXだ。今は国内販売の1位はトヨタヤリスとされるが、日本自動車販売協会連合会が公表する数字には、コンパクトカーのヤリスに加えて、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスも含まれる。ヤリスシリーズの合計台数だ。
そしてヤリスとヤリスクロスは外観が大幅に異なり、一般的にも違うクルマと認識されている。そこで登録台数を分割すると、2021年1~9月の1ヵ月平均は、ヤリスが9100台でヤリスクロスは9200台だ。N-BOXは1万7000台だから、ヤリスとヤリスクロスを大幅に上まわり、実質的に日本のベストセラーになる。
販売が好調な理由は、前輪駆動をベースにした軽自動車では居住空間が最も広く、内装もコンパクトカーと同等か、それ以上に上質なことだ。さらに燃料タンクを前席の下に搭載したから荷室も広く、自転車も簡単に積める。実用性は高いが、欠点も散見される。
N-BOXの室内空間。スペーシアに比べるとフタのついたボックスや引き出しが少なく、後席の座り心地はタントに比べると見劣りするという
居住空間については小柄なドライバーが運転席に座ると、圧迫感が生じる場合がある。メーターは高い位置に装着されて見やすいが、その分だけ前方の視界が悪化するからだ。
収納設備はひと通りそろうが、スペーシアなどに比べるとフタの付いたボックスや引き出しは少ない。トレイが目立つ。
後席の頭上と足元の空間は広いが、座り心地は、現行型で柔軟性を強めたタントに見劣りする。大腿部のサポート性を含めて向上させる余地がある。
車両重量は標準ボディのLでも900kgと重い。全高が1700mmを超える軽自動車では、動力性能は平均水準だが、コンパクトカーに比べるとパワー不足だ。
解決方法としてはターボを選ぶ。最大トルクはNAエンジンの1.6倍に増強され、発生回転数は2600回転と低いから、1Lエンジンを積んでいる感覚で運転できる。WLTCモード燃費の悪化率は5%と小さく、ターボは効率が優れている。
しかもLとLターボの価格を比べると、後者が約20万円高いが、装備も充実する。Lターボには、Lでオプションのサイド&カーテンエアバッグと右側スライドドアの電動機能を標準装着した。
パドルシフトなども加わるので、これらの価格換算額を差し引いたターボの正味価格は7万円だ。N-BOXに限らず、背の高い軽自動車ではパワー不足が大きな欠点だが、ターボを選ぶと割安な出費で解消できる。
このほかN-BOXは、カーブを曲がったり、車線を変える時などにボディがほかの車種よりも大きめに傾く。後輪の接地性が優れているから安定性は確保されるが、タントやスペーシアに比べると、峠道などでは少し曲がりにくい。
メカニズムや装備については、マイルドハイブリッドが設定されていない。また車間距離を自動制御できるクルーズコントロールを採用したが、パーキングブレーキが電動式ではないため、車速が時速25km未満まで下がると制御が解除される。全車速追従型になっていない。
細かいところでは2020年11月のマイナーチェンジで要望が多かった電動パーキングブレーキが装着されなかった。
2020年11月のマイナーチェンジで電動パーキングブレーキが装着されると言われていたが装着されなかった
■スズキスペーシアのいまひとつな欠点→サイドウインドウの下端が高い、標準仕様はNAのみ、低燃費重視タイヤのため乗り心地が固い
●2021年1~9月の1ヵ月の平均販売台数:約1万1800台
2017年12月に登場したスペーシア(写真右)とスペーシアカスタム(写真左)。全車にマイルドハイブリッドを搭載し、WLTCモード燃費は22.2km/Lとクラストップ
N-BOXに続いて好調に売れている軽自動車がスペーシアだ。全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを装着した売れ筋のカテゴリーで、しかも標準ボディ、エアロパーツを装着したカスタム、SUV風のギアと選択肢を豊富に用意した。その結果、売れ行きも伸びている。
天井の高いボディで車内は広く、フタの付いた収納設備、引き出し式のカップホルダーなども豊富だ。小物類が雑然としないように配慮した。
その代わり欠点もある。水平基調のボディだから基本的に視界は良いが、N-BOXや先代スペーシアに比べると、ドライバーの視線に対してサイドウインドウの下端が高い。小柄なドライバーは、クルマに潜り込んだ感覚になり、背の低い障害物も見にくい。
可愛らしいスタイルのスーパーハイトワゴン、スペーシア。写真はハイブリッドX
N-BOXや先代スペーシアに比べるとサイドウインドウの下端が高いため、小柄なドライバーが座った場合、背の低い障害物を見にくいという
後席の背もたれを前側に倒すと、座面も下がって簡単に畳めるが、広げた荷室の床には少し傾斜ができる。
ターボを装着しないNAエンジンは、最大トルクが6.1kgmに留まる。車両重量はハイブリッドXが870kgと比較的軽いが、実用域を中心に、幅広い回転域で動力性能が不足する。登坂路でアクセルペダルを踏み増すと、粗いエンジンノイズが響きやすい。
スペーシアはできればターボを選びたいが、ターボはいかついカスタム系のみ。写真はXSターボ
その意味ではN-BOXと同じくターボを選びたいが、スペーシアの場合、ターボの設定はカスタムとギアのみだ。標準ボディはNAエンジンに限られる。
操舵感は鈍さを抑えて適度に良く曲がるが、乗り心地は硬めだ。転がり抵抗を抑えた低燃費重視のタイヤを装着して、指定空気圧は前後輪ともに240kPaと高いから、細かなデコボコを伝えやすい。
軽自動車は燃費数値を重視して開発する傾向が強いため、乗り心地をライバル車同士で比較して選びたい。
スペーシアギアハイブリッドXZターボ。クロスオーバー風のスタイルで人気
■トヨタヤリスのいまひとつな欠点→後席が狭い、斜め後方と真後ろの視界は悪い、登坂路では3気筒特有の粗いノイズが耳障り、乗り心地が固い
●2021年1~9月の1ヵ月平均販売台数:約9100台(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)
WLTCモード燃費(2WD)は、フィットのe:HEVの27.2~29.4km/Lに対し、ヤリスハイブリッドは35.4~36km/L。この差がヤリスの販売台数を押し上げているのだろうか?
ヤリスはコンパクトカーの人気車種だ。ハイブリッドのWLTCモード燃費は35.4~36km/Lと優秀で、日本で購入可能な乗用車では燃費数値が最も優れている。
車両重量も最上級のハイブリッドZが1090kg(2WD)と軽く、燃費と合わせて加速性能も良好だ。1.5LのNAエンジンには6速MTも用意した。
ヤリスの後席に身長170cmの大人が座ったときの膝先空間はコブシ1つ少々。居住空間は新型アクアやライバルのホンダフィットと比べて劣る
その代わり後席は狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ少々だ。頭上にも握りコブシが1つ収まらない。
ちなみにライバル車のフィットは、ヤリスと同じ測り方をして、膝先空間は握りコブシ2つ半になる。頭上にも窮屈に感じさせない余裕があり、後席も快適だ。ヤリスを買う時は、フィットやアクアなど、ヤリスよりも後席の広いコンパクトカーと比べたい。
ヤリスの荷室は、床面積についてはコンパクトカーの平均水準に達するが、リアゲートを大きく寝かせたから背の高い角張った荷物は積みにくい。
コンパクトカーだから全長は4m以内で小回りも利くが、サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げたので、斜め後方と真後ろの視界は悪い。購入時には、縦列駐車を行うなど、後方視界も確かめておきたい。
ボディが軽いので、1.5LのNAエンジンとハイブリッドは加速が軽快だが、登坂路では3気筒特有の粗いノイズが耳障りだ。
全般的にスポーティ感覚を重視して、機敏に曲がる傾向が強い。この影響で乗り心地は硬めだ。特にXやGに標準装着される14インチタイヤは、転がり抵抗を抑えた仕様で、指定空気圧も前輪が250kPa、後輪は240kPaとかなり高い。14インチタイヤ装着車は、路上の細かなデコボコを伝えやすく、段差の通過などでは突き上げ感も気になる。
装備については、1Lエンジンを搭載するX・Bパッケージに注意したい。Xに装着される衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能を省き、しかも価格はXに比べて6万円しか安くならない。
ディーラーオプションではCD・DVDデッキを用意するが、助手席の下側に設置するので、信号待ちの時などに簡単に操作することはできない。
■カローラクロスのいまひとつな欠点→全幅が1825mmだから取り回しがやや難、後席が狭い、Zグレードの乗り心地が硬い、ガソリンエンジンにアイドリングストップがない
●2021年9月14日発売。月販目標4000台、事前受注開始から約1ヵ月で約1万3500台受注
ボディサイズは全長4490×全幅1825×全高1620mm。C-HRが全長4360×全幅1795×全高1550mm、RAV4が全長4600×全幅1855×全高1685mmだからカローラクロスはちょうどC-HRとRAV4の間を埋めるサイズ
日本の使用環境に適したミドルサイズSUVだ。プラットフォームはカローラやC-HRと共通で、カローラクロスは荷室容量に余裕を持たせた。ガソリンエンジンとハイブリッドの価格差を35万円に抑えるなど、実用性と割安感を重視している。
選ぶ時の注意点として全幅が挙げられる。1825mmとワイドだから、裏道や駐車場での取りまわし性を確認したい。
後席の居住空間はホンダヴェゼルと比べると狭いという
荷室の奥行寸法に余裕を持たせたこともあり、後席の足元空間はあまり広くない。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半だ。4名乗車は可能だが、2つ半を確保するヴェゼルに比べると狭い。
乗り心地は全般的に快適だが、18インチタイヤのZは少し硬い。17インチのSが快適だ。また4WDのリアサスペンションは独立式のダブルウイッシュボーンだが、2WDは車軸式のトーションビームだから、2WDは4WDに比べて乗り心地が硬めだ。したがってZの2WDは最も硬く、Sの4WDは最も快適になる。
ガソリンエンジンにはアイドリングストップが装着されず、WLTCモード燃費は14.4km/Lに留まる。アイドリングストップのニーズは用途によって異なるが、ユーザーによっては信号待ちなどでアイドリングすることに罪悪感を抱く。アイドリングストップをオプション設定する必要がある。
またハイブリッドのWLTCモード燃費は26.2km/L(2WD)だから、ガソリンエンジンの燃料代は、ハイブリッドの1.9倍に達する。燃料代の格差が大きい。
その一方でガソリンエンジンとハイブリッドの価格差は35万円で、ハイブリッドは購入時の税額が約8万円安いため(Zの場合)、実質差額は27万円に縮まる。
レギュラーガソリン価格が1L当たり150円とすれば、5万~6万kmを走ると、燃料代の差額で27万円の実質差額を取り戻せる。
ガソリンエンジンは価格自体が安くても、燃費や静粛性の違いを考えると割高感が伴うので、カローラクロスでは受注台数の90%をハイブリッドが占めている。
ガソリン車が199万円~264万円、ハイブリッド車が259万円~319万9000円。受注台数の90%をハイブリッドを占めている
■日産ノートのいまひとつな欠点→ガソリンエンジンが選べず価格が高い、足回りが固い、ノーマルモードでブレーキの協調制御がない
●2021年1~9月の1ヵ月の平均販売台数:約7500台(ノートオーラなどを含む)
トヨタのTHSIIやホンダのe:HEVと同様、ノーマルモードでブレーキペダルを踏んでも減速エネルギーを使って積極的に発電/充電する協調制御を採用してほしいという
ノートは国内向けに開発されたコンパクトカーで、内外装が上質だ。4名乗車の可能な室内空間が備わり、ファミリーカーとしても使いやすい。
ルノーがプラットフォームを開発したこともあり、ドライバーを中心に車両が旋回していく運転感覚も味わえる。車両との一体感を味わえて、クルマ好きのユーザーに適したコンパクトカーでもある。
現行型の特徴はハイブリッドのe-POWER専用車にしたことで、純ガソリンエンジンが選べない。そのために価格はすべて200万円を超える。
しかもLEDヘッドランプはアダプティブ機能とセットで9万9000円のオプションだ。人気の高い運転支援機能のプロパイロットも、カーナビの機能を使い、なおかつインテリジェントルームミラーなどもセットオプションに加えたから、装着するには44万2200円の上乗せになる。
ノートのプロパイロット(ナビリンク機能付き)はグレードに設定されるが高額なので装着率は約40%と低い。もっと安くしてほしい
プロパイロットは218万6800円のXだけに設定されるので、上記のセットオプションをLEDヘッドランプも含めてXに装着すると、合計価格は272万8000円だ。高額になるので、プロパイロットは日産車で人気の高い装備なのに、ノートの装着比率は約40%と低い。
プロパイロットのセットオプションに含まれるインテリジェントルームミラーは、液晶タイプだから、通常のミラーと違ってチェックする時に目の焦点が大きく移動する。
そのためにミラーを前方視界の一部に含めておき、頻繁に確認する作業もしにくい。角度によっては、鏡面の映り込みも気になる。
乗り心地は時速50km以下では少し硬い。足まわりをもう少し柔軟に伸縮させてほしい。
SPORT、ECO、NORMALの3種類のドライブモードを設定。SPORTモードでは、より力強い加速感を高めている。またSPORTとECOの両モードにクリープを設定し、駐車時などの速度調整をしやすくしている
またe-POWERは、従来型と同じくブレーキの協調制御がない。最良の燃費性能を得るには、エコ、あるいはスポーツモードを選ぶ必要があり、アクセルペダルを戻すと強めの制動力が働く。このワンペダルドライブが好みに合わず、ノーマルモードで走ると、良好な燃費性能を得られない。
そしてノートを購入したユーザーの約20%は、燃費の悪いノーマルモードを使っている。トヨタのTHSIIやホンダのe:HEVと同様、ノーマルモードでブレーキペダルを踏んでも、減速エネルギーを使って積極的に発電/充電する協調制御を採用してほしい。
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タイトルでカービュー記事ってわかるようにするとか