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プロパイロット 2.0は首都圏でも使えるのか? 実際に試した!

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プロパイロット 2.0は首都圏でも使えるのか? 実際に試した!

ハンズ・オフ(手放し)運転機能を搭載した日産の運転支援システム「プロパイロット 2.0」はホントに使えるのか? 多くの人が疑問に思っているはず。かくいうボクもそのひとりだった。

2019年9月初旬におこなわれた、プロパイロット2.0を搭載する新型スカラインの試乗会は、山梨県・河口湖を起点に、比較的空いている&カーブの少ない中央自動車道がステージだったから、とくに問題なくプロパイロット 2.0は機能し、ハンズ・オフ運転を体感出来た。

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【主要諸元(GT Type SP ハイブリッド)】全長×全幅×全高:4810mm×1820mm×1440mm、ホイールベース:2850mm、車両重量:1840kg、乗車定員:5名、エンジン:3498ccV型6気筒DOHC(306ps/6800rpm、350Nm/5000rpm)+モーター(50kW/290Nm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:FR、タイヤサイズ:245/40RF19、価格:604万8000円(OP含まず)。では、交通量やカーブの多い首都圏の高速道路ではきちんと機能するのか? 日産の広報担当者は「もちろん大丈夫です!」と、自信たっぷりに述べる。

早速、神奈川県・横浜市にある日産自動車本社からプロパイロット 2.0を搭載した「スカイライン GT(ハイブリッド)」を借り出した。

革巻きのステアリング・ホイールに、プロパイロット 2.0関連のスウィッチがある。プロパイロット 2.0のメインスウィッチはブルーのイラストが描かれた部分。右手の親指で押しやすい位置にある。首都高速神奈川1号横羽線のみなとみらい入口を抜け、本線に合流。すぐに、プロパイロット 2.0を体感すべくステアリング・ホイールにあるブルーのスウィッチを押した。

すると、メーターパネル中央のインフォメーション・ディスプレイおよびヘッドアップディスプレイに、緑色の表示が出る。緑の場合は、通常の操舵支援機能付きACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)だ。

メーターパネル中央のインフォメーション・ディスプレイに表示されているステアリング・ホイールが緑色の場合、通常の操舵支援機能付きACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)作動中をあらわす。速度制御はたくみだ。東神奈川をすぎると、少し急なカーブが出てくる。その直前に緩やかに減速し、カーブを問題なくこなしていく。多くのACCは設定速度のままカーブに入るので、前走車が減速すれば問題ないものの、前走車がない場合はオーバースピード気味になり、ブレーキを踏む機会が多い。

訊くと、3D高精度地図データと連動し、カーブにさしかかると自動で減速するという。先日の試乗会は、それほど急なカーブがなかったため気づかなかった。自然な減速感に、びっくりしたのである。

3D高精度地図データ搭載によって、急なカーブも、手前でスムーズに減速し、走っていく。検知角度の異なるフロントの3眼カメラを含む7個のカメラ映像、5個のレーダー、12個のソナーによって道路の白線、標識、周辺車両を検知する。首都高でもハンズ・オフOK!カーブを過ぎると、急にメーターパネル中央のインフォメーション・ディスプレイおよびヘッドアップディスプレイが青色に変わった。ハンズ・オフ運転のスタートだ。

ただ、ここは首都高である。横羽線は首都高のなかでもそれなりにカーブも多い。カーブの多い首都高はハンズ・オフ運転機能が作動しないはずでは? 気になったので、ハンズ・オフ運転をしたまま、日産の広報に確認すべくハンズ・オフ通話した。

ハンズ・オフ運転機能作動中はステアリング・ホイールを握る必要はない。インパネ上部の赤外線カメラが、ドライバーの視線を常に監視。前方を見ていないと音などで警告する。前方を注視していないと、メーターパネル内のインフォメーション・ディスプレイに「前を向いてください」と、警告が表示される。訊くと、首都高でもとりわけカーブの多い環状線や、GPS電波の受信が不安定になる山手トンネルなどは、ハンズ・オフ運転が機能しないとのこと。それ以外の横羽線や湾岸線、3号線の三軒茶屋~用賀間などは機能するという。

意外と首都高でも使えるじゃん! と、感心しつつ、ハンズ・オフ運転を楽しむ。自車は難なく横羽線を走っていく。途中、羽田をすぎたあたりで渋滞が発生。低速走行になりゴー・アンド・ストップが頻繁に発生するものの、自動で停止&自動で発進するから楽ちんだ。とくに発進時はスイッチを押したり、アクセルを踏んだりする必要もない。全自動だ。

合流部分に近づくと、メーターパネル内のインフォメーション・ディスプレイにお知らせが表示される。渋滞時、前走車が発進すると、自動で自車も発信する。ただし、側方からの急な割り込み車両があったりするとシステムが解除されるから気は抜けない。またインターチェンジで、本線に合流するクルマに道を譲る場合、自らブレーキを踏み、プロパイロット 2.0の全機能を解除する機会が何度かあった。この場合、再度ハンズ・オフ運転機能を起動するには、ゼロから設定しなくてはならないので少々面倒だった。

ハンズ・オフ機能以外にも驚きの機能が!渋滞を通過し、芝浦周辺にさしかかると「ポン」という音とともにハンズ・オフ運転機能が解除された。「3D高精度地図データが対応していない」旨の表示も出た。ハンズ・オフ運転機能が対応していない都心環状線だからしょうがない。

通常の操舵支援機能付きACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)に切り替え、ステアリング・ホイールを軽く握り、オフィスのある渋谷に向かう。

メーターパネル内中央にあるインフォメーション・ディスプレイは、前走車の種類によってアニメーション表示を変える。前走車がバイクの場合はバイクのアニメーションに、トラックの場合はトラックのアニメーションになる。ハンズ・オフ運転機能こそ作動していないものの、操舵支援は正確だ。都心環状線外まわり・芝公園あたりの急なカーブも、スムーズにかつ強力に操舵を支援するから、ハンドルをほんのわずか握っているだけでよい。

メーターパネルのインフォメーション・ディスプレイでは、プロパイロット 2.0の作動状況のほか、燃費や各種車両情報などを表示出来る。天現寺のインターチェンジを通過し、一般道に入る。操舵支援機能付きACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)をオフにする。それでも、自車が前走車に接近すると緩やかにブレーキがかかる。

なぜACCがオフにもかかわらず追従するのか? と、不思議に思い、調べると、スカイラインには「インテリジェント ペダル(車間距離維持支援システム)」が搭載されているという。先行車に近づいたとき、アクセルペダルを戻すと、なめらかに自動でブレーキをかけるシステムである。

しかも、ドライバーがアクセルペダルを踏んだまま先行車に近づくと、アクセルペダルを押し戻す方向に力を発生させ、アクセルペダルを戻す操作を支援するという。そしてドライバーがアクセルペダルを戻すと、なめらかに自動でブレーキをかけるそうだ。

ボディカラーはレッドのほか、ブルーやシルバー、ホワイトなどが選べる。車線変更支援機能は微妙?今回、東名高速道路の東京~横浜青葉間でも数回、ハンズ・オフ運転機能を体感した。あわせて、首都高では体感出来なかった車線変更支援機能を試した。

車線変更支援機能は、周囲にクルマがない場合作動する。車線変更したい方向にウインカーレバーを出し、ステアリング・ホイールを軽く握ると、強力な操舵支援によってほぼ自動で車線変更をおこなう。車線変更が完了するとウインカーレバーが消灯する。

プロパイロット 2.0の作動状況は、ヘッドアップディスプレイにも表示される。車線変更支援機能は、なかなか作動しない。側方車両を敏感に検知するからだ。ずいぶんうしろを走っているから問題ないのでは? と、思う距離でもシステムはそれを許さない。どうやら車線変更支援機能を作動させるには、側方車両がない場合か、はるか遠くを走っている場合でないと難しいようだ。

さらに、法定速度範囲内でしかハンズ・オフ機能が作動しない点も気になる。ながれの速い東名高速道路では、自然にいちばん左の車線を走る機会が多かった。時折、大型トラックがぐんぐん接近してきたのは少々怖かった。もちろん、法定速度を遵守しているゆえ、ボクに非はない。

ちなみにハンズ・オフ運転機能は、法定速度プラス10km/hまで作動するよう設定を変更出来る。10km/hの違いは結構ありそうだ。

最高出力405psを発揮する3.0リッターV型6気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載する「400R」も選べる。なお、ガソリンターボ・エンジンモデルはプロパイロット2.0を搭載しない。ハンズ・オフ運転機能を含むプロパイロット 2.0は、想像以上に“使える”運転支援システムだった。交通量やカーブの多い都心部の高速道路・有料道路でも問題なく作動したし、疲労も軽減したように思う。

「自動運転の実用化は難しい」と、考える向きも多いようだし、ボクも半信半疑だった。しかし、プロパイロット 2.0を体感した今、「自動運転の実用化はもうすぐでは?」と、考えなおしたほど驚きの運転支援システムだった。ぜひ、機会があれば読者の皆さんも体感してほしい。きっと、びっくりするはずだ。

文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)、稲垣邦康(GQ)

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