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ホンダ新型N-BOXは正常進化の極み。新旧乗り比べてみたら、「これでいい」ではなく「これがいい!」と思える進化ぶりだった

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ホンダ新型N-BOXは正常進化の極み。新旧乗り比べてみたら、「これでいい」ではなく「これがいい!」と思える進化ぶりだった

2023年10月5日、本田技研工業はフルモデルチェンジした新型「N-BOX」を10月6日から発売すると発表した。“乗る人すべてに幸せな時間を提供する存在”を目指したという新型を、先代モデル(二代目N-BOX)と乗り比べて、その進化を確かめてみた。見た目は一見するとあまり変わっていないようにも見えるのだが、実は見た目も中身も大幅に進化していた。

販売台数No.1を記録更新し続ける現代の国民車がさらに進化
2011年12月に発売されたスーパーハイトワゴンの初代N-BOXは、センタータンクレイアウトによる広い室内空間やリアゲート開口部の低さや荷室の使い勝手の良さが評価されて、翌年以降の自動車総合販売台数の上位常連になった。2017年に登場した2代目からその勢いはさらに増し、8年連続の軽自動車販売台数No.1記録を更新し続けている超人気車種だから、もはや現代の国民車と言ってもいい。

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N-BOXが長年にわたって人気となっている理由の一つは軽自動車としての「総合力の高さ」だろう。運転のしやすさはもちろん、室内空間の広さ、使い勝手、動力性能……などそのどれをとっても、平均以上に優れている。今回の新型では、そのすべての要素をもう一段高い次元へと引き上げたいという思いで開発されているというから、乗る前から期待が高まっていた。

見た目には全然違いがわからない?なんて最初は思っていたが、それは間違いだった。初代モデルから継承するシンプルでボクシーなスタイルこそ大きくは変わっていないが、丸穴デザインのグリルやバンパー、特にヘッドライトは人間の瞳にも見えるような内部形状と逆反りのレンズなどフロントマスクからしてかなり凝った作り。

リアもテールレンズのデザイン変更だけでなく、テールゲートのインナーハンドルを操作しやすい中央の位置にし、アウターハンドルの位置も先代より70mm低く配置するなどして使い勝手を向上させている。

販売台数No.1を記録更新し続ける現代の国民車がさらに進化
今回の試乗は本田技研研究所内にある「栃木プルービンググラウンドさくら」のテストコースで行われた。さっそく新型N-BOX(ベースモデル)の運転席のドアを開けて乗り込むと、その室内空間の広さは初代モデルに初めて乗った時ほどの驚きはないが、先代モデルに対して頭上空間はさらに5mm拡大されているというし、フラットなデザインのインパネや明るいインテリアカラーによって先代モデルよりも開放感がある。

この新型のインテリアは、ダッシュボードの形状をフラットにし、ドアトリムの上側(フロントサイドウインドウの下側のライン)まで囲うようなデザインを採用したことと、運転席からボンネットの両サイドが見えることで、いままで以上に車両感覚が把握しやすくなっているという。

ベーシックなNAエンジン搭載モデルから試乗
まずは自然吸気エンジンを搭載するベーシックモデルの比較試乗から行った。新型に搭載されるエンジンは2代目N-BOXと共通のS07B型。吸気バルブの制御にVTECとVTCを採用した直列3気筒DOHCで、最高出力は58ps、最大トルクは65Nmを発生している。このスペック自体に変更はないが、細部の制御を見直したことでより扱いやすくなり、WLTCモード燃費も21.6km/Lへと向上している。

先代の自然吸気モデルから試乗すると、正直、これといって大きな不満もなく低速から高速域まで走り、コースを一周した。次に新型に乗り換えて走り出す。パワートレーンの変更がないので、劇的な変化は感じないだろうとたかをくくっていたら、乗り出してすぐにそのスムーズさに驚かされた。出だしからまったく違う。さらに速度を上げてエンジン回転数が上がっていっても静粛性が先代より高いことも体感できた。

今回のテストコースでは高速周回路で100km/hまで加速することができたのだが、先代モデルではアクセルペダルを強く踏み込んでキックダウンする際に息継ぎをするような感覚があったが、新型はキックダウン時の応答性が高く、しかもそこからアクセルペダルを戻した際のつながりもよりスムーズ。これはCVTの制御変更によるもので、意識せず普通に走っているだけでも、新型のなめらかな走りは十分に体感できるはずだ。

また前述した静粛性の部分はルーフライニングの材質や種類を変更し、フロアパネルには遮音層フィルムを敷くなどして静粛性を高めているという。これは特にエンジン回転数や走行風の影響を受ける高速域で体感することができた。実際に後席に座る同乗者との会話時などは顕著に感じられるはず。

シャシは二代目をベースに改良し、乗り心地の向上と安心感のある操縦安定性を目指した。主に前後サスペンションの締結適正化やアライメントの適正化、電動パワーステアリングの舵角速度フィードバック制御といった改良である。一般道路を模したコースを走る限りでは、路面のうねりに対してもフラットライドで、柔らかめではあるが、ふわふわ感や不快な揺れはなかった。

ここでまたコースを1周してスタート地点に戻り、ギヤをPレンジに入れると、アイドリングストップ機能の進化に気付いた。これまでは駐車場で停車する際などブレーキを踏んでPレンジに入れると、一度アイドリングストップでエンジンが停止してもブレーキを離したタイミングで「ブルン」とエンジンが再始動してしまっていたのだが、新型ではそれがなくなっていた。些細なことだがこれは嬉しいポイントである。

動力性能を求める人の本命ターボエンジン搭載モデル
さて、もう1台は、ターボエンジンを搭載する「カスタム」の試乗。こちらは動力性能を求める人やは高速道路での移動が多い人にとって本命となるモデルだろう。このターボエンジンも先代と変わらず、スペックは最高出力64ps、最大トルク104Nmを発生している。

正直、ターボモデルは先代のカスタムを試乗しても、自然吸気に比べて余裕のある動力性能や乗り味に「これでいい」と思えるぐらい十分な性能を持っていたが、新型と乗り比べてみると、やはり新型の方がエンジン回転のフィーリングや音に雑味がなく、伸びやかな気持ちの良い加速が味わえる。しかもパワーに余裕があるターボモデルの方が当然だが、回転数を上げなくても良いので高速域での静粛性は自然吸気モデルよりも高そうだ。

また、これだけ全高が高いにも関わらず、フットワークは軽やか。コーナリング時のロールの少なさと車高の高さを感じさせない安定感は、さすが3代目になるだけあり、かなり熟成されている。ターボモデルは先代よりも前後のサスペンションの減衰力も変更しているとのことだが、15インチタイヤとの相性も良く路面とのあたりも優しい。乗り心地は自然吸気モデルよりも洗練されていた。

今回、装備面では、車載通信モジュール「ホンダコネクト」を軽自動車で初採用したことや安全運転支援システム「ホンダセンシング」を全車に標準装備としたことがポイントだろう。前者はスマートフォンのアプリでドアロック解除やパワースライドドアの開閉操作ができるもので、後者は、フロントワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサーを採用。従来の機能に加えて、近距離衝突軽減ブレーキと急アクセル抑制機能を新たに追加している。

ADASは不安を感じさせない「いい塩梅」でサポート
また、前述したホンダセンシングの機能のひとつACC/LKASの操作方法が改善されたのもトピック。これによりスタンバイ状態からハンドル右側のスイッチを押すだけでセットが可能になった。これは先代のACC使用率が低かったことから、操作方法を改善し、より多くの人に体感してもらいたいとの思いで変更したという。さらにACC使用中の加減速の具合も不安を感じないよういい塩梅に調整しているというから、今後公道で試乗する機会があれば、ぜひ試してみたいところだ。

軽自動車規格というボディサイズやエンジン排気量などレギュレーションが決められた中での作り込みはもはやF1マシンのようだが、軽自動車の王者も3代目にして、さらに熟成された。全方位に進化した新型は、「これがほしい!」と思える魅力的な内容になっていた。(写真:伊藤嘉啓)

新型N-BOXの車両価格は164万8900円~188万1000円、カスタムシリーズは184万9100円~236万2800円。また同時に発売された福祉車両のN-BOX スロープは184万4000円~218万8000円となる。

ホンダ N-BOX 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1790mm
●ホイールベース:2520mm
●車両重量:910kg
●エンジン型式・種類:S07B型・直3DOHC
●排気量:658cc
●エンジン最高出力:43kW(58ps)/7300rpm
●エンジン最大トルク:65Nm/4800rpm
●トランスミッション:CVT
●WLTCモード燃費:21.6km/L
●タイヤサイズ:155/65R14
●車両価格:164万8900円

新型N-BOXの内外装デザインについてはこちら

[ アルバム : 新型N-BOX先行試乗会 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • eii********
    とりあえず試乗はするが買う買わないはその時判断するよ
  • umi********
    軽は「これでいい」程度が丁度いいんだよ
    色気出して軽規格の普通車なんて作るからコレばかり売れて
    他のラインナップが売れなくなるんだよ
    勿論今のホンダはデザインや強気すぎる価格設定の問題もあるけどさ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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