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小さな「万能SUV」がマイチェン 熟成のフォルクスワーゲンTクロスへ試乗 95psでも魅力的

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小さな「万能SUV」がマイチェン 熟成のフォルクスワーゲンTクロスへ試乗 95psでも魅力的

スイートスポットは1.0L 3気筒ガソリンターボ

量産車のフェイスリフトへ、社外のデザイン事務所が関わる事例は少なくないと、筆者は耳にしたことがある。オリジナルの長所を損なわず、魅力的にリフレッシュさせる技術をお持ちなのだろう。

【画像】熟成の「万能SUV」がマイチェン VW T-クロス 競合サイズのモデルたち 選ぶなら? 全182枚

ただし、2019年に発売されたTクロスのフェイスリフトは、社内で済まされたのかも。参加した可能性はあるが、見た目の変化は新しいバンパーとヘッドライトなど、非常に限定的。インテリアは、しっかり更新されたのだが。

Tクロスは丸みを帯びたスタイリングで、フォルクスワーゲンらしい落ち着いた雰囲気のクロスオーバーだ。しかし、日産ジュークやフォード・プーマなどと異なり、目を引くような強い個性を備えるわけでもないだろう。

今回のフェイスリフトで最も大胆な要素といえば、鮮やかなイエローの塗装が追加されたこと。新しいヘッドライトと波打つフロントグリルが、イメージを大きく変えたようには感じられないと思う。

同社の中で最小のクロスオーバーとなるTクロスは、登場以来、ラインナップがシンプル化されてきた。英国仕様の場合、当初は5速MTか7速デュアルクラッチATを選べる95psの1.6Lディーゼルターボが存在したが、現在は販売されていない。

そのかわり、2020年に1.5 TSIエボ・エンジンを積んだ仕様が追加された。最高出力150psで、7速デュアルクラッチATが組まれ、秀でた動力性能を求める人へ応えている。だが、スイートスポットは1.0L 3気筒のガソリンターボだとAUTOCARは考える。

実用性に優れるインテリアが大きな強み

これには2つの最高出力が設定され、114psでは6速MTか7速デュアルクラッチATを選択可能。とても洗練されたユニットだ。今回試乗したのは、ベーシックな95ps仕様。英国では、5速MTのみの設定となる。

Tクロスは共通して前輪駆動。サスペンションはフロントがストラット式で、リアがトーションビーム式となる。

このクロスオーバーで強みとなるのが、インテリア。フェイスリフトを経て、ダッシュボードのデザインは大幅に改められ、高級さが増した。各部を引き締める装飾トリムも、雰囲気作りに貢献している。

もっとカラーバリエーションがあっても良さそうだが、支持率は高くないのかもしれない。2019年の発売時には、オプションで華やかなデザインパッケージが設定されていたが、現在はカタログから落ちたようだ。

前列側の空間は感心するほど広く、快適な運転姿勢を探しやすい。後列は前後にスライド可能で、乗員空間を優先するか荷室空間を優先するか、調整できる。荷室のフロアは高さを変えられ、ホームセンターでの買い物などで便利。実用性は高い。

ドライバーの正面には、メーター用モニターが据えられる。ただしサイズは小さめで、アナログ・デザインのメーターは、速度計と回転計を同時に表示できない。燃料計や水温計などのグラフィックは、もう少しモダンでも良いだろう。

内装の質感は、このブランドらしく好印象。ゴルフより上質ということはないが、不快なチープさがあるわけでもない。

95psでも充分 しなやかで落ち着いた乗り心地

95psを発揮する1.0L 3気筒ガソリンターボは、排気量の割にトルクが太く、マナーも良好。軽快に回り、必要な時に必要なだけの力を生み出してくれる。5速MTのレシオはややロングだが、中間加速で不満を感じることもない。変速感も小気味いい。

この上に114psの仕様があり、確かにパワーには余裕が生まれる。とはいえ95psでも充分といえ、7速デュアルクラッチATを選べることが、グレードアップの主なメリットといえそうだ。

ステアリングやペダルは適度に軽いが、フィルターが掛かったように、感触は薄め。扱いやすくはある。ブレーキの強さも、滑らかに調整できる。

試乗車は、大きめの16インチ・アルミホイールを履いていたが、乗り心地はしなやか。路面からの隔離性に優れ、つぎはぎの多い都市部のアスファルトにも、問題なく対処していた。

フェイスリフト前のように、サスペンション・スプリングの柔らかさを感じることもなくなった。従来は100km/h前後で凹凸を通過すると、浮遊感が強く感じられたと記憶している。

姿勢制御はタイト。流れが速めの郊外の一般道でも、ボディの落ち着きが霞むことはない。操縦性には一定の落ち着きがあり、グリップ力も優れている。

小さく合理的なオールラウンド・クロスオーバー

小さなクロスオーバーをお考えで、熟成された実力派がお望みなら、フォルクスワーゲンのTクロスは好適な1択になる。大人なスタイリングも魅力だが、一層のオシャレを望むなら、英国にはクーペ風のタイゴもある。

ブランドらしい洗練性と、優れた車内空間、実用性を備え、エントリーグレードでも品質は高い。より若々しい見た目のライバルも存在するが、Bセグメントの合理的なオールラウンダーとして、モデルライフ後半でも充分な競争力は維持できている。

◯:充実装備で広々とした車内 マナーの良い走りと運転のしやすさ 使い勝手に優れる後席と荷室
△:スタイリッシュさではライバルに及ばない 少し高めの価格帯

フォルクスワーゲンTクロス 1.0TSI 95 ライフ(英国仕様)のスペック

英国価格:2万3975ポンド(約460万円)
全長:4127mm
全幅:1760mm
全高:1573mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:11.2秒
燃費:17.6km/L
CO2排出量:128g/km
車両重量:1254kg
パワートレイン:直列3気筒999cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:95ps/5500rpm
最大トルク:17.8kg-m/1600-3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)

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みんなのコメント

2件
  • よこよこ
    平坦な道を走るには問題ないけど
    登り坂だと顕著にパワー不足を感じる
  • eur********
    日本でも1.5TSIを導入すべき。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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