毎年たくさんのクルマに試乗している編集スタッフが「2023年に乗ったクルマで、一番良かった、もっとも心に残ったクルマだった」と語るのが、2021年に予約受注が始まった「日産 アリア B9 e-4ORCE」。国産BEVの中でもひときわ上級感漂う1台の、どこが刺さったのでしょうか?
約2年待ってようやくアリアの4WDモデルとご対面
日産アリアに初めて乗ったのは2年ほど前でした。その時は2WD車だったのですが、とても感動しました。その詳細は日産 アリア【3分で読める国産車解説/2022年現行モデル】をご覧いただきたいのですが、とにかく走りも内外装のしつらえも衝撃的でした。真剣に自家用車として買うことを考えたほどです。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
しかし、コロナ禍や半導体不足の影響などで生産が滞り、試乗車の配備も遅れていた4WDモデルがずっと気になっていました。それにようやく乗れたのが2023年初夏のことでした。
試乗車のグレードは2モーターの「B9 e-4ORCE リミテッド」です。「B9」はバッテリーの総電力量(91KWh)を、「e-4ORCE」は電動4WDであることを示しています。
一充電走行距離はWLTCモードで560kmと、国産の電気自動車(BEV)としては最長クラスです。このほかに、2WDやバッテリーの総電力量を66kWhに抑えた「B6」も用意されています。ちなみにB6の2WDの一充電走行距離は470km(WLTCモード)なので、4WDが必要でない人はこちらで十分満足できると思います。
大柄で立派に見えるボディだが、数値的にはそれほど大きくない
日産本社の駐車場で実際にアリアを見ると、佇まいはかなり堂々としたものでした。ちょっと「大きいな」と直感的に思ったのですが、カタログでボディ寸法を見ると、全長4595×全幅1850×全高1665mmと、全長と全高はエクストレイルよりも小さいのです。しかし、全幅1850mmで少し広めですし、国産車としては少し大きいと感じる人も多いかも知れません。
ですが、クルマの周囲360度を映し出すアラウンドビューモニターや、オプションになりますがキーのボタンを操作するだけで車外からクルマを駐車スペースに出し入れできるプロパイロット リモート パーキングといった支援装備も用意されているので、車体の大きさはあまり気にする必要はないと思います。
▶▶▶次ページ:重い車体が嘘のように加速していく
エンジン車では体験できないスムーズ&パワフルな加速
走り出すとやはりパワフルです。前後のモーターはそれぞれ最高出力16kW(218ps)、最大トルク300Nm(30.6kgm)を発生し、システム最高出力と最大トルクはそれぞれ290kW(394ps)、600Nm(61.1kgm)と、かなり強力です。
しかもモーター音などはもちろん聞こえますが、エンジン車と比べると「音もなく」と表現していいほど静かにスッと走り始めるのです。以前書いたB6(2WD)の試乗記の中で「魔法のじゅうたんに乗っているようだ」といった表現をしたのですが、B9 e-4ORCEでもこの感覚は変わりませんでした。
首都高に入るために登り坂になった合流車線でアクセルペダルを踏み込むと、その加速感は爽快です。底なしに力が湧き出てくる、そんな感覚です。これはB6の2WDも同じだったので、どちらを選んでも動力性能で不満を覚えることはないはずです。
B6(2WD)とB9 e-4ORCEの大きな違いは乗り心地です。運転しているぶんにはそれほど気になるものではないのですが、2WD車はやや乗り心地が硬いな、と感じるシーンがあり、後席の人はどうなんだろうと思ったのです。
しかし、B9 e-4ORCEではだいぶ乗り心地がしなやかなになっていました。大容量バッテリーや2モーターを搭載することによる重量増の効果か、それとも改善された足まわりのおかげなのかは定かでありませんが、良くなっていることは確かです。
デザイン性と利便性を見事に両立しているインテリア
アリアで魅力を感じる部分は、外観や走りだけではありません。とても洗練されたインテリアも惹かれるポイントです。
インパネはセンターコンソールなどとは繋がっておらず、宙に浮いているようにセットされています。また、シフトノブがセットされたアームレストを兼ねた電動センターコンソールボックスは、スイッチ操作で任意の位置に150mmの範囲で前後スライドさせることができます。
この独特のインパネとセンターアームレストのおかげで、横方向のウォークスルーもできます。狭い駐車場などでは実に使い勝手が良いのです。
また、車内の収納スペース、カップホルダーとボトルホルダー、充電用のUSBソケットなどの配置と数も国産車らしく痒いところに手が届く充実ぶりです。
こういった使い勝手の良さや先述の可動式のセンターコンソールといった機能的な面は、セレナなどユーティリティを重視した日産車の特徴に通じるものを感じます。一見、デザイン優先のインテリアのようですが、使いやすさは犠牲になっていないこともアリアの美点なのです。
操作性では少し気になる点も見られる
インテリアで気になったのはボタン類がほぼ全てタッチパネル式になっている点です。
走行モードのスイッチはタッチするとブルッと震えてリアクションするという機能も付いているのですが、やはりボタン類はブラインドタッチができる物理スイッチのほうが使いやすいな、というのが本音です。
ちなみに、アリアと同じく日産のBEVでタッチパネルを多用しているサクラではボタンとボタンの間に小さな出っ張りを設けて操作しやすくしています。運転席まわりではここだけが気になりました。
広い後席は乗り心地の改善でさらに快適になった
最後に、後席と荷室についても触れたいと思います。
まず、後席は足元がとにかく広いです。しかも床面にセンタートンネルはもちろんなくフラット。これは乗員の横移動が楽なだけでなく、ちょっとした長尺物も積めて便利です。
実際に撮影時には3段ほどの脚立やカメラ用の三脚を後席フロアに横に寝かせて積んだりもしました。これはBEVならではの、レイアウトの自由度の高さの賜物です。
一方、荷室はどうでしょうか。床面は真っ平らで、5名乗車時でも荷室長は973mm、横幅1387mmとかなり広大です。60:40分割可倒式の後席シートバックを倒せば荷室長は1901mmnに達します。一般的な使い方であれば不足を感じることはないでしょう。
このように、日産 アリア B9 e-4ORCEは見た目や機能の新鮮さ、走りの良さなど、魅力が詰まった1台です。
とは言え、すでに発表からはすでに3年以上が経過しています。そろそろ、大幅な改良が行われてもいいような時期に来ています。2024年はさらなる航続距離の伸長やスポーツグレード(NISMO!?)などの追加があっらいいなぁ、などと思ってしまうのです。
日産アリア B9 e-4ORCE リミテッド 主要諸元
●全長:4595mm
●全幅:1850mm
●全高:1655mm
●ホイールベース:2775mm
●車両重量:2230kg
●パワーユニット:モーター×2基(前後各1基)
●モーター最高出力(1基あたり):160kW(218ps)/5950-11960rpm
●モーター最大トルク(1基あたり):300Nm(30.6kgm)/0-4392rpm
●システム最高出力:290kW(394ps)
●システム最大トルク:600Nm(61.1kgm)
●バッテリー種類・総電力量:リチウムイオン・91kWh
●駆動方式:4WD
●一充電走行距離:560km
●乗車定員:5名
※リミテッドの受注は終了しています。
[ アルバム : 日産 アリア B9 e-4ORCE はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
ディーラー以外で2回くらいしか見てないわ。