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「シルビア後継車の夢」はどうして潰えたのか… 10年前に登場した日産コンセプトカーの意欲と無念

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「シルビア後継車の夢」はどうして潰えたのか… 10年前に登場した日産コンセプトカーの意欲と無念

 いよいよ、2023年10月26日から11月5日まで、ジャパンモビリティショー2023が東京ビッグサイトにて開催されます(一般公開は10月28日~)。日本での開催は実に4年ぶり。楽しみにしている方も多いと思います。

 今回もさまざまな技術やアイディアが盛り込まれたクルマが出展されると思いますが、これまでの東京モーターショーで筆者が忘れられないのは、10年前の東京モーターショー2013で登場した、日産のコンセプトカー「IDxフリーフロー」と「IDx NISMO」。完成度が非常に高く、市販化の道もあったのではないかと思われますが、いまに至るまで市販化はされていません。

「シルビア後継車の夢」はどうして潰えたのか… 10年前に登場した日産コンセプトカーの意欲と無念

文:吉川賢一
写真:NISSAN

市販間近とまで報道されていた

 東京モーターショー2013で日産が発表した「IDxフリーフロー」と「IDx NISMO」は、全長4100mm、全幅1700mm(NISMOは1800mm)、全高1300mmという非常にコンパクトなボディサイズ。ノートオーラNISMO(全長4125mm)よりも短いサイズ感です。

 「シンプルでカジュアルなライフスタイルに焦点を置いた」というフリーフローは、素材感のあるチノパンをイメージしたという亜麻色(Flax)のボディカラーが特徴的で、エクステリアやインテリアの各所に施されたシルバーメッキは、シルバーのアクセサリーやベルトをイメージしているそう。

 NISMOのほうは「ドライビングシミュレーターから飛び出してきたような、スポーティモデルの可能性を示した」そうで、ボディ全体にNISMOカラーの加飾が施され、ボディの各部には60~70年代のスカイラインやブルーバードのモチーフが取り入れられているなど、懐かしさも感じさせつつ、いまでも通用する現代風のアレンジの効いたスタイリング。往年のレーシングカーのようなサイド出しのマフラーや、19インチホイール&225幅40扁平のタイヤも装備していました。

 パワートレインは、フリーフローが1.2~1.5LのガソリンエンジンとCVT、NISMOは1.6L直噴ターボエンジンと6速マニュアルモード付きCVTという設定。玄人好みにするならば、マニュアルミッションとの組み合わせが欲しいところですが、日産によるとこの2台のコンセプトカーは、「次世代のお客様に向けた」モデルであり、1990年以降に生まれた世代である「ジェネレーションZ」、いわゆるZ世代の心に響くモデルをつくるため、彼らの欲するクルマを彼らと共につくりあげたそう。Z世代としては、「気軽に運転したい」ということから、CVT(6速マニュアルモード付)になったようです。

 特に、NISMOの異型ステアリングホイールやドアトリム、センターコンソール、シートなどに入った真っ赤なカラーリングは、我々オジサン世代もカッコいいと思うデザインであり、これをZ世代が「よし」としてくれることは、喜ばしいことだと思います。

シンプルな3ボックスフォルムのIDx NISMO。全長4100×全幅1700×全高1300mm。ノートオーラNISMO(全長4125mm)よりも短い設定だった

IDx NISMOのインテリア。シフトノブはあるが設定上は6速マニュアルモード付のCVTだった。異型ステアリングホイールやドアトリム、センターコンソール、シートなどへ入った真っ赤なカラーリングが眩しい

IDx フリーフロー。ボディカラーは、生成りの白いTシャツと素材感のある亜麻色(Flax)のチノパンをイメージしているそう

見た目だけで若者を動かすことはできなかった!??

 このIDx フリーフローとIDx NISMOは、その完成度の高さゆえに、「シルビア後継の後輪駆動スポーツカーでは??」と、当時大いに話題となりましたが、冒頭でも触れたように、現在に至るまで市販化はされていません。日産は、Z世代とともにつくることで、若者にも響くクルマを造ろうとしたわけですが、「若者と一緒につくれば、若者にウケるクルマを造ることができるはず」という思考でつくられたクルマが、(若者が「よし」としたとしても)本当に若者が「欲しい」クルマだったのかは、微妙なところです。

 たとえば、IDx NISMOの逆スラントノーズの3ボックスクーペは、60年代のスポーツカーそのままですが、60年代中盤の日本グランプリでおこしたスカイラインの奇跡なんて、90年代生まれの世代にとっては遠い世界の話。おそらく、日産の都合で始めからベース車が決められていたか、相当に旧車好きなZ世代が混ざっていたか。大人の都合でお膳立てされた選択肢から選んだ、といったことも考えられます。

 市販化されなった理由は定かではありませんが、モーターショーでの反応が思わしくなかったことで、市販化は見送られたことも考えられます。日産は「新たな商品開発手法を取り入れた」としていましたが、見た目だけで若者を動かすことはできなかった、ということなのかもしれません。

「シルビア後継の後輪駆動スポーツカーでは??」と、当時大いに話題となったが、現在に至るまで市販化はされていない

こうしたコンセプトカーを見ることができるのが、モーターショーの醍醐味!!

 若者にとってはイマイチだったとしても、特にIDx NISMOは、我々オジサン世代にとっては、現代版のハコスカともいえる、胸アツなモデル。市販化されなかったことから、ファンのなかには自分でレプリカをつくってしまったという人もいたほど、期待されたクルマでした。

 残念ながら市販化は敵わなかったIDx フリーフローとIDx NISMOですが、こうしたコンセプトカーを見ることができるのが、モーターショーの醍醐味。ジャパンモビリティショー2023では、どんなコンセプトカーが我々クルマファンを熱くしてくれるのか、いまから非常に楽しみです。

こうしたコンセプトカーを見ることができるのが、モーターショーの醍醐味!!

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みんなのコメント

15件
  • nekonekoZ
    このクルマが86/BRZと共にあったなら日本のモータースポーツはもっと盛り上がってたかもね。
    お外がうるさいのは勘弁ですが、レトロ感のある新型車が好きです。
  • まるちゃん
    このままのイメージで市販されるなら検討したいクルマだった。ホントにカッコいい。余計な機能は不要なので、ごくシンプルな装備で手の出しやすい価格帯だったら結構いけるんじゃないかと今でも思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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