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【試乗】雪道でのフォレスターの頼もしさは別格! ロングドライブで見えた「かゆいところに手が届く」クルマ作りとは

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【試乗】雪道でのフォレスターの頼もしさは別格! ロングドライブで見えた「かゆいところに手が届く」クルマ作りとは

 雪道へ繰り出してくれと言わんばかりの装備

 雪道をフォレスターで走った、“すべらない話”をしようと思うのです。お笑いのネタではないけれど、この場合はすべらない=楽しくて頼もしくて、安心、快適に納得ができる、という意味でフォレスターはスバルのモデル中、もっともすべらないクルマ。と、言いたくなるウインタードライブができました。

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 と言うのも、フォレスターは最低地上高が220mmもあってロードクリアランスにも恵まれている。そして運転席からの視界も抜群に良く、スバル独自のAWDシステムに加え路面状況に応じて駆動力の制御を行ってくれるX-MODEがヒルディセントコントロール付で標準装備されています。

 エンジンラインアップには新型レヴォーグに搭載されている新開発の1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジンと2リッター水平対向4気筒エンジン+モーターを組み合わせた「e-BOXER」があり、今回は昨年のマイナーチェンジをうけてe-BOXERを搭載し専用制御を採用するX-BREAK(グレード)とともにさまざまなシーンのドライブを味わい、楽しみ、確かめてきました。

 ちなみに今回のモデルのタイヤは横浜ゴムのSUV用のスタッドレスタイヤ「アイスガードGO75」が装着されていました。

 スバルはじつに上手なSUVラインアップをしているな、と思うのです。ミドルサイズのフォレスターとXVの2モデルがあって、スバルのなかでも、いや国産SUVのなかでも可愛くなりすぎない癒やし“形”のXVに対し、甘さは極めて控えめ、機能をカタチにしたような大地が似合うフォレスターの存在は対照的でありまたフラッグシップSUVらしい質感と重量感が保たれている印象を抱くのです。

 さてそんななかで今回のX-BREAKは内外装にオレンジのアクセントを差し込み、エクステリアではそれがアンダーガードの存在を際立たせ、よりアクティブな印象が増している。

 インテリアでは撥水性のファブリックを採用するシートや本革巻ステアリングのステッチ、ほかほどよく所々にオレンジを採用。オレンジが施されていないモデルと比べて、過度な主張をし過ぎない配分がもともと落ち着きのある雰囲気が保たれているフォレスターのスポーティさやカジュアルさをほどよく上げてくれていると思うのですが、いかがでしょう。

 室内はどのドアを開けても十分な広さと開放感が感じられ、収納量もとっても頼もしいラゲッジは撥水カーゴフロアボードが、荷物の出し入れもしやすいラゲッジスムーザー機能付で採用されています。それからこのラゲッジにLEDランプが用意されている配慮がまた嬉しい。フォレスターにとってはラゲッジに載る荷物も同乗者と同じくらい一緒に移動するのに大事な存在なんだよね、と気づかされた次第です。

 同乗者への配慮は前後4座にシートヒーター、また前席はもちろん後席にも2口の充電ソケットが用意されています。これだけでも仲間や家族とウインター&ロングドライブにいく気にさせるというものではなりませんか?

 スバルの「ゼロ次安全」思想が走りの安心を生む!

 ウインタードライブと言っても関東近郊から例えば降雪地へ向かう長距離移動はよほどの悪天候ではないかぎり高速道路のほとんどが乾いた舗装路。降雪地帯もじつは除雪整備も行き届いているからお天気の良い日が続けば雪の壁はあっても路面はドライ、ところによりウエット。

 さらに山間部を走ればシャーベットや、日陰や時間帯によっては圧雪やアイスという実にバラエティに富んだ路面状況に遭遇するわけで、そんな環境に慣れないビジターにとって雪国への訪問は楽しみだけど運転には気を遣います。そんなときこそ幅広い走行状況に柔軟なSUVであれば疲労度も変わるはず。試乗を終えたときに「フォレスターはこのボディサイズを裏切らないさまざまなクオリティが保たれているな」と実感できた次第です。

 地上高の高さに自分のベストなドライビングポジションを合せることでスバルがこだわる視界の良好さをあらゆる走行シーンでフル活用することができるはずです。大きなガラスエリアに囲まれ、フロントウインドウ両サイドのAピラー(柱)とサイドミラーの間に生まれるわずかながらもときにヒヤッとするほどの死角を生むエリアも小さく抑えられています。このボディサイズや室内の広さから抱くクルマの取り回しに対してスースーするくらいで、安心感が高まるポイントの一つ。

 せかっくなのでさらに加えると、スバルの0次安全思想のなかの死角については社内基準で1m程度の障害物も視認できる設計を追求しているため、助手席側のミラー付近の視界もしかりですがボンネット周辺の安全性もかなり高く保たれています。進化を続けるセンサー系のサポートもありがたいけれど、先ずはベースとなる車両から安全性を高く保ち、その上でスバルならアイサイトのような先進の安全/運転支援技術を備えれば、より安心、というわけなのです。

 というわけで、運転席からさまざまに変化する路面状況も把握しやすく、見落としそうな「こんなところに掃いた雪が集められてるの!?」とか雪に紛れた障害物なども発見しやすくて頼もしかった。

 X-MODEは4輪の駆動力やブレーキなどをコントロールして悪コンディションの路面からのスムーズな脱出を助けてくれる機能。フォレスターはシフトレバーの手前のダイヤルでノーマルをとし、他に2モードが選べます。

 一つは雪道やアイスバーン、砂利に覆われたような状況=“スノー/ダート”、もう一つがタイヤが埋まってしまうような特殊な場面や雪や砂利などで覆われた急な登坂路での発進時に役立つ“ディープ・スノー/マッド”。脱出が優先の機能ゆえ速度20kn/h以下での使用に限られ、役目を果たすとノーマルモードに戻り、通常のAWD走行が駆動力配分を行って走行を継続してくれる。

 圧雪やシャーベットの登坂路で試してみると、じつは今回の場合ではノーマルモードでも何ら問題なく発進できる。さらに“スノー/ダート”は滑りやすい路面でタイヤの空転をいかに抑えてスムースに発進させるための制御を行うためアクセルを踏めば踏むほど「いやいや、そんなにアクセル踏まないで」的な制御が入ります。“ディープスノー/マッド”は今回は試すチャンスがなかったのですが、こちらは逆にトラクションコントロールを一時的にカットしてむしろタイヤをギュインギュインと働かせ、駆動輪をスリップさせて脱出性能を上げる制御を行ってくれるのです。誤って意図せずに雪壁にズボッと、もしくはこ「こんなに深いとは思わなかった」とハマってしまうようなこともあるわけで、そんなときにはこちらのモードを選ぶとよいでしょう。

 では一般道や高速の走行シーンにも触れておきましょう。

 e-BOXERは必要なときに必要なトルクをもたらす!

 静粛性が高く、ロードノイズも極めて低く、強い加速をするとき意外は高速道路で風切り音が聞こえてくる程度。それも音楽などを聴いていたら意識のなかに入らないのではないかと思います。

 e-BOXERの走りは一瞬にして爆発的なトルクや速さを生む性質ではないけれど、エンジンとモーターアシストによる「今!」というときの瞬発力や必要に応じたトルクを引き出しやすい制御がストレスのない走行をさまざまなシーンで体感することができました。制御という意味ではリニアトロニック(無段階制御AT)も確実に洗練かつそのモデルにあったチューニングも上手になっている模様。すべり感をほとんど感じず、軽々と中味のあるトルクを伴って、フォレスターをしっかりと走らせてくれる。

 全領域で力強さを感じることができるなかでも3000~4000rpmあたりの加速がめちゃくちゃ気持ちいい。加速にもさまざまな強弱があるけれど、踏み足しくらいの加速も優しくて頼もしいのが好印象でした。

 加えてe-BOXERを搭載するこのX-BREAKグレードはよりスポーティかつアクティブな走行が得られる「e-アクティブシフトコントロール」を装備。ステアリングにある“S/I”ドライブスイッチの”S”を選ぶと、コーナーの立ち上がりなどでモーターのアシストがより積極的に活かされるモードへと切り替わる。アクセルをちょっと踏み込んだだけでも出足が違う、クルマの動きにキビキビ感やアクティブさが増すのがわかるでしょう。そんな走行がこのミドルサイズSUVのフォレスターでも楽しめるようになりました。

 ちなみにフォレスターは昨年のマイナーチェンジで新型レヴォーグにも搭載されている新開発の1.8リッターターボエンジンを搭載するモデルもラインアップされています。私は常々搭載されるエンジンによってクルマのキャラが異なる印象を受けるのですが、以前に比較試乗をした際、この1.8リッターターボ+リニアトロニックは、フォレスターにより軽快感かつキビキビとした動力を与えられています。スポーティな走りの印象はこちらのほうが強いです。厚みのあるトルクを選ぶか、軽快感を選ぶかでエンジン選びをしてもよいかもしれません。

 マイナーチェンジを受けて、アイサイトにも新装備が加わり性能も強化。ただし新型レヴォーグのアイサイトXはまだこちらには未搭載となります。が、違いを意識せずにロングドライブを経て感じたのは、やはり新世代のアイサイトXのほうがカーブのサポート性も含めレーンキープの性能が優れているところが魅力的ではありました。

 とはいえこのフォレスターにもドライバーモニタリングシステムなどが新搭載され、これはドライバーの顔を認識でき安全運転をサポートするだけでなく、ドライバーの登録をしておけば「“この顔”のときはこのシートポジションやエアコン設定ね」など個別のおもてなし機能としても利用できる。全車速クルーズコントロールや車線逸脱抑制、先行車発進の合図など様々な機能によりロングドライブから街中を含め、予防安全/運転支援にぬかりはない。

 ステアリングホイールの握り(形状)がとても良く、時計に見立てて9時と3時のあたりの握りは丸ではなくてやや角のある楕円。裏側がへこんでいて、女性の手にも馴染むのではないかと、私は好感を抱きました。

 それから圧倒的に座る機会が長かった運転席ではシートのサポート感も印象に残っています。ゆったりとした室内空間にピッタリの私にとってはやや大きめに見えるシートでした。それが実際に座るとサイドサポートを使う以前に座面のお尻の両サイドがせり上がって左右を支えてくれるような感覚に。もともとサポート性能にも優れるシートではありましたが、座面の“面”でもお尻の左右を支えてくれる感覚は小柄な人にとってより有効だと思います。が、人間工学に基づき設計されたシートは正しいポジションをとって使わなければ意味がないので、ドラポジはしっかり取ってくださいね。

 前述のような状況下ではレヴォーグだって不安はなかった。ただし、よりイザという場面も想定をした頼もしさや、もう一歩、自然に踏み込んだクルマ選びをするならスバル車の最強はフォレスターだと思うのです。どうですか? フォレスターがすべらない理由、おわかりいただけたら幸いです。

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