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ベントレー・コンチネンタルGTスピード&GTCスピード 飯田裕子が比較試乗

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ベントレー・コンチネンタルGTスピード&GTCスピード 飯田裕子が比較試乗

コンチネンタルGTスピードと過ごす時間

「あっという間だな」

【画像】ベントレー・コンチネンタルGTスピードで極上の旅【クルマやお宿】 全70枚

東名高速に入ったあたりですでに名残惜しくなっていたベントレー・コンチネンタルGTCスピードとのドライブ。

この日は都内から箱根は強羅の温泉宿を目指していた。

復路はクーペモデルのGTスピードのハンドルを握ることになっていたのだが、いずれにせよこの移動時間の充実感や幸福感は高価なモデルだからとか、6L W12エンジンを搭載する「ベントレー史上最高のパフォーマンスを誇るロードカー」の単なる速さだけが名残惜しさを生んでいたわけではない。

大前提にあるのは高精度に整えられた静的/動的性能が生む相互作用がそこに乗る人の心身を満たすということなのだ。

ベントレーなら当たり前と思われるかもしれないが、そんな当たり前のなかにあるこだわりの感性、品質や演出に目を向けてこそベントレーの魅力が増すというものではないか。

例えば静的なデザインの高いクオリティ。クラシカルモダン&ラグジュアリーな世界に魅了され昂揚もすれば癒やされもする。

伝統を保ちつつ進化を続ける工芸品に囲まれるようなキャビンは最新の「ローテーションディスプレイ」がクルクルと表示を変える仕組みも含め、組みつけや動作にいたる隅々の品質を整え保ってこそ成立する。

素材で表情を変えるウッドやインテリアに華を添えるかのごとくレザーの随所に施されるステッチの色や太さやピッチ、金属の細工とその輝度までこだわり丁寧につくり込まれるからこそ、これからオーナーになろうという方々は素材や色選びを心から楽しもうと思えるだろう。

この日もそうだった。

ゆったりとシートに体重を預け、滑らかな走りも相まってGTCスピードのキャビンで過ごす時間がたちまち愛おしくなったのだ。

目指すお宿で寛ぐ時間を想像しながら、一方でGTCスピードとのドライブがもっと続けばいいのに、と。

街中の喧噪から隔離された格別な空間

3世代目となるコンチネンタルGTはV8 4Lツインターボクーペ(550ps/78.5kg-m)エンジン搭載モデルから登場し、この「スピード」モデルにはベントレーのエンジンラインナップ中最強となる6L 12気筒エンジン(659ps/91.8kg-m)の改良型が搭載されている。

すでに安定/安心と操る楽しさをあわせ持つシャシー制御の秀逸ぶりは知るところではあるが、さらにe-LSDという新たなシャシー技術も初採用されパフォーマンスは向上。速さ以上の魅力を速さを成立させるべく保たれた性能の懐で味わうことができる。

静粛で乗り心地も良いGTCスピードはむしろ街中のほうが特別な印象を抱けるかもしれない。

街中の喧噪から隔離された格別に居心地の良い空間は必要な音、足元の感触だけを伝えてくれるがほかは取り除かれているのだ。

高速道路でもソフトトップを閉じた状態の静粛さはクーペモデルと遜色ない。

W12 6Lツインターボエンジンの加速はなんと淀みなく豊かなことだろう。

ボリューム感たっぷりのトルクをアクセルペダルの重みで感じながら、ドライバーの意思(ペダル操作)によって人間が呼吸をするように自在にコントロールできる。

このストレスフリーなコントロールの精良さはベントレー共通だが、この贅沢なボリューム感はこのエンジンを搭載するモデルにのみ与えられた豊かさの象徴だ。

高速走行中、わずかなペダル量を維持するだけで巡航するベントレーGTCスピードの車内ではアップル・カープレイでスマートフォンの音楽を聴き、このプライベート空間からますます離れがたくなったのだった。

爽快感とともにワインディングへ

高速を降り、50km/h以下なら19秒で開閉が可能なルーフトップを開けて海沿いを走り、目の前に相模湾が広がる海沿いの駐車場にGTCスピードを停めた。

GTスピード/GTCスピードは、筋肉質な造形にダーク色のラジエター&ロアバンパーグリルが備わり表情を引き締め、22インチのタイヤ&ホイールが標準採用された足元の存在感も一層際立つ。

今回の仕様、「ピーコック」メタリックブル-のGTCスピードは4座オープンモデルならではの伸びやかなオープンフォルムが引き立ちこのときばかりは力強さよりも美しさが勝る。

そのうえインテリアにもインペリアルブルーを採用し(内装の差し色のオフホワイト色「リネン」が引き立て役!)、水平線が分ける空と海、そしてこのGTCスピードの内外装の異なる青の眺めがなんと爽快だったことだろう。

そんな爽快感とともに海岸沿いから山間のワインディングへとクルーズドライブを続けた。

高速道路を滑らかに直進するGTCスピードはコーナリングでもその安定感は変わらない。

視線の先のコーナーにあわせてアクセルを緩め、減速し、ステアリングを切り再び加速……。

コーナリング中の姿勢維持もそのままに、出口付近の再加速時にはフロントタイヤが向く方にリアタイヤからスムーズに押し出されるようなドライブをボディの大きさを忘れ、2つ、3つ続くコーナーでもスムースに続けられた。

オープンモデル特有の開放感を上質なインテリアに包まれながら味わうオープンドライブは「ドライビング」を意識して楽しむことはもちろん、オン・ザ・レール・ドライブに優れるGTCスピードで散歩するように「流す」ドライブも自由自在だ。

コンチネンタルGTスピード=寡黙なアスリート

もし、よりハンドリング重視でベントレー史上最高の運動性能味わうならクーペボディの「GTスピード」が理想的かもしれない。

ステアリングフィールは、ともにやや重めだ。

そのうえGTスピードはコーナーで微舵を加えた程度でもボディの塊感とともに車両の引き締まった印象をより強く感じることができる。

「GTCスピード」に対し車重が100kg強軽いこともより大きな排気量を産むエンジンをボンネットに納めるGTスピードモデルの運動性能にとって有利に働くのかもしれないが、個人的にはいずれのボディ形状でも、基本的なパフォーマンス重視する点は「スピード」モデル共通としながら、多少ながら異なるキャラクターづけをしているように感じた。

「スピード」モデル専用のドレスアップがGTスピードを威厳と品格を持ちあわせたガタイの良い「寡黙な」アスリートを思わせ、セクシーさも匂わせる。

「寡黙な」アスリート=多くは語らずパフォーマンスで証明する印象がまさにベントレーらしい。

GTスピード/GTCスピードともにベントレー初採用となる電子制御式「e-LSD」がリアタイヤのトルクを、またAWDが前後の駆動力を配分し、4WSは状況に応じて前後のタイヤ角を制御してくれる。

ブレーキ性能にこだわるならカーボンセラミックブレーキを選ぶこともできる。

これらに加え3チャンバー・アクティブ・エアサスペンションやアダプティブダンパー、48Vのアクティブアンチロール制御システムを採用する「ベントレーダイナミックライド」も搭載。

姿勢制御とコーナリング精度向上によってGTスピードのパフォーマンスを高めている。

さらにドライブモードをスタンダートの「B(ベントレー)」モードから「スポーツ」に切り換えれば、ダイナミクス(コーナリング速度が上がるような)性能を高める方向に制御は向く。

GTスピードはロードホールディング性と柔靱さ産むハンドリングがよりパフォーマンス重視のモデルであることを印象づけてくれるのだ。

欲望満たす多芸多才なパートナー

クルージングとコーナリングドライブでリフレッシュしつつ向かった強羅「佳ら久」は施設の環境やインテリアの質にこだわり、食材にこだわり、全客室のテラスに露天風呂を備えるエクスクルーシブな温泉宿だ。

距離感も絶妙なサービスとホスピタリティのおかげで滞在中のどの瞬間を切り取ってもゆったりとリラックスできた。

そんな滞在もどれか一部が欠けてしまえばリラックスはもちろん、豊かさに満ちた時間とはならないところは、ベントレーのクルマづくりに通づる。

とりわけ開放感たっぷりなプライベート露天温泉の爽快感や癒やしに「あ~ビバ、ビバ」。高台のお宿、テラスからは相模湾まで見渡せる眺望は特筆ものだ。

今、世の中はウイルスや戦争など身体や心に重苦しい影響を与え、心身ともに窮屈さを覚えてはいないだろうか。

日々の暮らしにささやかな変化をもたらすドライブタイムや特別な場所で過ごす時間の大切さや貴重さも2020年以前とは少し様子が違う。

これまで「性能」に目を向けたクルマ選びをしてきた方も、これまでとちょっと違った静的/動的性能がもたらす心身の健やかさや豊かさに注目したらカーライフそのものの価値観も変わるかもしれない。

多芸多才なコンチネンタルGTスピード/GTCスピードは日常から非日常まで欲張りな欲望を満たし、癒やしてくれるパートナーになってくれるだろう。

果たして、都内に戻りGTスピードとのドライブタイムも「あっという間」で名残惜しかったことは言うまでもない……。

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