この記事をまとめると
■観光バスが複数台で移動する際に利用するのが「梯団(ていだん)走行」だ
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■「梯団」の語源は軍隊の移動で用いられたことに由来する
■熟練者が先頭と最後部を担当して真ん中に経験が浅いドライバーを入れるという構造だ
大型バス独自の走り方
観光や研修などで貸し切られた大型バスが、複数台になった場合の移動で利用されるのが、梯団(ていだん)走行という手法だ。
梯(はしご)という漢字と、集団という意味で用いられる団を組み合わせていることから、はしごのように連なり、まとまって走ることを意味していると想像できるだろう。
梯団の語源は、軍隊の移動で用いられた言葉であるようだ。大人数の兵団が移動したり、物資を輸送したりする際に、それぞれがバラバラになってしまわないよう、一団であり続けるための工夫である。
ばらけてしまわない程度の小隊グループの、先頭に立つのは、熟練し、部隊全体の行動を管理できる能力を持った集団や指揮官が担う。続いて、経験の浅い部隊が続き、大がかりな部隊数のある移動では、中間に経験豊富な集団が適宜入る。そして1番後ろは、先頭に次いで経験豊富といえる集団が脱落者を防止する。
移動集団の前後を熟練した人や集団で固め、経験の多少を問わず、部隊全体が目的地へ移動できるための管理方法だ。
これを、複数の貸し切りバスで同じ目的地を目指す際に利用したのが、梯団走行である。先頭は道筋などに詳しく、後続車への配慮もできる熟練運転手が担う。続いて、経験の浅い運転手のバスが続き、一番後ろは、それなりに経験豊富な運転手が、はぐれるバスの出ないように、またバスとバスの間が空いてしまって行き先がわからなくなりそうなバスを補うよう指示を出すなどして、目的地を目指す。
こうすることで、複数のバスが到着時刻に大きなズレなく、目的地に全車無事に到着できることが約束される。
この手法は、かつて筆者はボーイスカウトで教わったし、数人で山登りなどをする際にも利用できる。体力や経験に差がある仲間との登山では、先頭は地図を読め、方角や道順、天候の変化などに詳しい人が引っ張る。一番後ろにも熟練した人が備え、その間に初心者などを挟んで、脱落や遭難を出さないようにする。
この手法はまた、複数のクルマでドライブに出かけるときにも活用できる。先頭のクルマは、運転に慣れているだけでなく、ルームミラーなどを注意し、後続のクルマが離れてしまわないようにしながら運転できる人が務める。2番手や3番手は、免許を取得して間もない人などが続き、最後に万一先頭とはぐれても、道順や目的地の様子に理解があり、慌てず安全運転で追うことのできる人が押さえる。
先頭のクルマは、後続車が遅れたら、安全な場所で停車し、後続車を待つことなどにも気を配れる人でなければならない。交差点の信号も、後続の複数のクルマが通過できるかといった読みが必要だ。それでも、台数が多ければ赤信号で止まり、離れてしまう後続車は出てくるだろう。そうしたことへの対処ができる人でないと、みんながバラバラになり、運転に慣れない人は焦って、不要な事故を起こす懸念も生じる。
梯団走行や、梯団を活用した行動や移動は、貸し切りバスだけでなく、集団での移動でさまざまに利用できる考え方だ。
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みんなのコメント
修学旅行のバスなどが先頭車から号数を下げていって最後尾が1号車になるのは聞いたことがある。
バスが後ろに何台繋がっているか分かりやすくするためだそうだ。
一番後ろはさらに馬力あるバイク乗りを当てたりする