現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > どこまで進化した?デジタルコクピット、先進運転支援システムを搭載した新型「ゴルフeTSI Active」試乗レポート

ここから本文です

どこまで進化した?デジタルコクピット、先進運転支援システムを搭載した新型「ゴルフeTSI Active」試乗レポート

掲載 更新
どこまで進化した?デジタルコクピット、先進運転支援システムを搭載した新型「ゴルフeTSI Active」試乗レポート

いよいよ8代目となるVWゴルフの新型が上陸。発売が開始された。実は、我が愛車として、1985年からゴルフ2に乗り、そして現在もゴルフ7を愛用している筆者としては、ゴルフ8の登場は次期愛車候補としても、大いに気になっていたところなのである。

ここで試乗したのは、現時点でハッチバックモデルとして、先代の4気筒1.2LターボのTSIコンフォートラインに代わる eTSI Active Basic、Active、先代の4気筒1.4LターボのTSIハイライン、R-Lineに代わるTSI Style、eTSI R-Lineと揃う4モデルのラインナップの中で、事実上のベースグレードと言っていい、ゴルフとして初の48VマイルドハイブリッドをパワーユニットとするeTSI Activeである。

印象激変!?内外装ともにシックなグレーを基調としたルノーの限定車「トゥインゴ サンドレ」

新型ゴルフはゴルフ7から採用されたMQBを継続採用したモデルであり、その進化版とも言えるのだが、どこから見てもゴルフそのもののエクステリアは、しかし実に新しい。空気抵抗を示すCD値がゴルフ7の0.30から0.275まで向上したボディのサイズは全長4295×全幅1790×全高1475mm、ホイールベース2620mmと、ゴルフ7に対して全長で+30mm、全幅で-10mm、全高で-5mm、ホイールベースは-15mmと、全長以外はわずかなダウンサイズ、というか、ほぼ変わらないサイズでの登場である。日本の路上で使い、日本の駐車スペースで止める上で、特に全幅1800mm以下は嬉しい。ゴルフ7に今だ満足して乗り続けている筆者が日々、感じていることでもある。

パワーユニットはActive Basic、eTSI Active用が3気筒1Lターボ+48Vマイルドハイブリッド、110ps/5500rpm、20.4kg-m/2000-3000rpm、WLTC総合モード燃費18.6km/L。一方、eTSI Style、eTSI R-Lineは4気筒1.5Lターボ+48Vマイルドハイブリッド、150ps/5000-6000rpm、25.5kg-m/1500-3500rpm、WLTC総合モード燃費17.3km/Lという2種類が、まずは用意されている。48Vマイルドハイブリッドのモーターのスペックは、どちらも13ps、8.3kg-mとなる。

ド派手なライムイエローメタリック(有償)に塗られたeTSI Activeのドアを開ければ、その開閉タッチの音は、ゴルフ7に増して高級感、重厚感あるものだった。ちなみに、1Lモデルと1.5Lモデルのエクステリアの識別点は、左右ヘッドライトをつなぐLEDバー(夜間のみ識別可)、フロントバンパー下のスリット下端のメッキモールディングの有無、フロントフェンダー左右のグレード名入りの加飾、そして16/17インチのタイヤ&ホイールなどになる。



そして、新型ゴルフのハイライトのひとつと言えるのが、先進感溢れるデジタルコクピットだ。

メーターは先代ゴルフの後期型、つまりゴルフ7.5でも採用されたデジタルメータークラスター”デジタルコクピット・プロ”が全車、標準装備となり、その左側には、同じく10インチのタッチ式インフォテイメントシステムが連続して配置されることになる。なお、タッチスライダーコントロールも多用され、インパネ左端にあるライトスイッチなど、今やすべてフラットパネルのタッチコントロール式に改められているのだから、先進感は申し分なしである。



また、7速DSGを引き継ぐミッションのセレクターも、レバー式ではなく、バイワイヤー化された、指先で操作できる小さなスイッチセレクターに改められている。そこで操作できるのはR、N、D/Sポジションで、P(パーキング)はその前にある独立したスイッチになる。もちろん、電子パーキングブレーキ(自動)、およびメモリー機能付きのオートブレーキホールドスイッチもその手前に用意されている。

デジタルコクピットの先進感もさることながら、このグレードで驚かされたのが、シートのかけ心地。これまでのゴルフ、というかフォルクスワーゲンの前席は、車種、グレードを問わず、硬めかつ、しっかりと体をホールドしてくれるタッチ、デザインが特徴的で、かけ心地の良さ、前上がりの座面の太腿裏の圧迫感のなさなど、個人的にも実用車としてこれ以上望めないシートとほれ込んでいたのだが、ベースグレードのeTSI Activeの前席のかけ心地は、なんと、ふんわりとしたソファ的なものになっていたのだからびっくり。フランス車的とも言える、分厚いクッション感あるソフトなタッチなのである。

まるでタブレットのようなインフォテイメントシステムに目を移せば、ゴルフ7.5以前のゴルフユーザーが乗り換えた場合、新鮮さとともに、覚えることがたくさんありすぎるほど多機能だ。ナビの目的地設定、ガソリン残量表示、エアコンのON/OFFなど、レクチャーを受けるか、取説を熟読しないと、すんなりとは出来なかったぐらいである(トホホ)。

新型ゴルフには標準装備でスマホとも連携できるWe Connect(10年間無償)、We Connect Plus(3年間無償)と呼ばれる、これからの時代のクルマに不可欠なモバイルオンラインサービスが付帯される。そう、車載通信モジュールがあらかじめ備わっているのだ。オンラインで目的地をクルマ(のナビ)にインポートでき、アプリでドアのロック、アンロックも可能となる。

ちなみに、ゴルフ7、7.5から買い替える場合に気になるはずの前後席のスペースだが、前席は同等。後席は頭上方向がやや狭まり、しかし、先代モデルで狭さを感じた膝周りスペースには、やや余裕が出ている印象だ。そして後席をよく使う、あるいは後席にペットを乗せる・・・というユ―ザーにとってうれしいのは、eTSI Active以上のグレードに3ゾーンフルオートエアコンが付いたこと。前席左右は当然として、後席(もちろんエアコン吹き出し口あり)もまた、独立した温度設定が可能になったのである!!

VW純正のペット用フラットベッド装着例

走行面での1Lモデルと1.5Lモデルの違いは、先代同様、タイヤ&ホイールサイズだけではない。フロントサスはともにストラット式だが、1Lはスチール、1.5Lはアルミのサブフレームにマウントされる。リヤサスは1Lがトーションビーム、1.5Lがスタビライザー付きの4リンクに格上げされるのも先代と変わらない。

さて、eTSI Activeを走らせれば、まずは3気筒とは思えないエンジンのスムーズさ、振動のなさ、必要十分なトルクに驚かされることになる。しかも、これまでのフォルクスワーゲンのクルマとは別物と感じさせる軽やかさ極まる加速、乗り味を披露する。さらにパワステの操舵感も実に軽々としているではないか。そして先代1.2Lモデルと比較すれば、圧倒的に静かに、爽快に走る。言い方を変えれば、これまでのフォルクスワーゲン感、ゴルフ感は希薄。1.2Lターボにしてまるでトルクの塊のようなエンジンフィール、ドシリとした乗り心地が特徴的だった先代までの乗り味は影を潜めているのだ。ゴルフ7のオーナーが、目隠しをされて乗り込み、走ったとしたら、フォルクスワーゲン、ゴルフとは気づかないかも知れない・・・。

また、アクセルペダルから足を離した走行では、すぐさまコースティング状態に入る。スルスルと、静かに、滑らかに滑走し、もちろん、燃費向上にも貢献する。そこからエンジンが始動しても、そうとは気づかせない制御の巧みさも、うれしいポイントだ。

市街地走行中に、ゴルフ7のオーナーとして感激したのは、DSGのマナーだ。先代は最後期型でかなり洗練されたとはいえ、基本、マニュアルミッションならではのギクシャク感がぬぐい切れなかった。初期型なら、発進、低速走行中はギクシャク感との戦いである。が、新型は、DSGそのものの改良とともに、48Vマイルドハイブリッドが功を奏し、今やギクシャクしたシフトショックは皆無。アイドリングストップからの復帰時の振動、音、ショックもまた、ないに等しくなっているのである。DSGユーザーにとって、48Vマイルドハイブリッド化は大歓迎すべき進化のひとつと断言したい。

205/55R16サイズのタイヤによる乗り心地は、前記の軽やかなドライブフィールの好みはともかくとして、依然、ゴルフ一流のしなやかさ、フラット感あるものだ。ゴルフ7に始めて乗った時は、進化著しい極上の乗り心地に、走り出してすぐに感動できたものだが、そこまでの劇的な印象こそないものの、街乗りメインでの使い勝手なら、穏やかな動力性能ながら、運転のしやすさ、快適性ともに、十分満足できると思える。もちろん、高速走行もソツなくこなし、山道ならパドルシフトを駆使すれば、それなりにキビキビと走れるから、新型ゴルフの3気筒1Lターボ、48Vマイルドハイブリッド恐るべし、といった結論になる。

ところで、新型ゴルフには、デジタルコクピットなどとともに、さらなる切り札がある。それは「トラベルアシスト」と呼ばれる、大きく進化した先進運転支援システムだ。それはACCとレーンキープアシストを組み合わせたもので、なんと210km/hまで機能する。追従走行時の加減速、渋滞追従、停止保持、再発進機能など、もはや完璧と言っていい。メーター内には車線、前後左右を走る車両(トラックも検知しトラックの絵も出る)が表示されるから、ブラインドスポットモニターの機能とともに、視覚的にも自車周囲の状況をリアルタイムに把握できて、実に安心・安全だ。

そんな新型ゴルフ eTSI Activeの価格は312.5万円。ナビのDiscover Proパッケージ19万8000円はぜひとも付けたいところで(メーター内にもマップが表示されるメリットは大)、LEDマトリックスヘッドライト”IQライト”、ダイナミックコーナリングライト、パークディスタンスコントロール、ヘッドアップディスプレーなどを含む20万9000円のテクノロジーパッケージに関しては、好みと予算で決めればいいだろう(ボディカラーの一部は有償で3万3000円、フロアマットは別途OP)。つまり、Discover Proパッケージのみの追加装備なら、332万3000円となるのがeTSI Activeである。先代ゴルフ7の1.2Lモデル、最終型のコンフォートライン マイスターが323万円だったのだから、48Vマイルドハイブリッド、トラベルアシストやモバイルオンラインサービスなどの進化ぶり、機能、装備を照らし合わせれば、お買い得とさえ言えるのではないだろうか。

結論として、eTSI Active の1Lモデルは、ドイツ車然とした骨太さのない、軽やかで爽やかな乗り味によって、国産車から突然乗り換えても違和感がないのが特徴だ。世界のCセグメント、コンパクトカーの基準を知る意味でも、国産車からの乗り換え、アップグレードにも、うってつけのように思える(軽やかに走る、パワステ軽々なゴルフを望む人にも向く)。しかし、これまでのゴルフのユーザーで、そのクラスを超えた重厚、高質な乗り味が気に入っているのなら、別途、試乗レポートをお届けする、1.5Lモデルを薦めたいというのが本音である。そのほうが、シートのかけ心地、レスポンスに優れた精密感ある重めのステアリングフィール、ドイツ車らしいガッチリ、ドシリとした乗り心地など、これまでのフォルクスワーゲンらしさ、ゴルフらしさが、大いなる進化の中にしっかりと継承されているからだ。

VWゴルフ
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/golf.html

文・写真/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

こんな記事も読まれています

フィアット『Nuova 500』モチーフのティッシュケースが登場
フィアット『Nuova 500』モチーフのティッシュケースが登場
レスポンス
まさか!? 4時間セーフティカー&またSCでレースは振り出しに……2号車キャデラックが暫定トップ|ル・マン24時間:18時間経過
まさか!? 4時間セーフティカー&またSCでレースは振り出しに……2号車キャデラックが暫定トップ|ル・マン24時間:18時間経過
motorsport.com 日本版
日産「新型・車中泊“専用”バン」がスゴい! 超オシャレ「上質インテリア」採用! クルマとは思えない斬新「部屋仕様」に大反響
日産「新型・車中泊“専用”バン」がスゴい! 超オシャレ「上質インテリア」採用! クルマとは思えない斬新「部屋仕様」に大反響
くるまのニュース
アウトドアカーはシンプルがいいね! 大容量&車中泊に特化したトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
アウトドアカーはシンプルがいいね! 大容量&車中泊に特化したトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
「ヨシムラ SERT Motul」チームの応援グッズが発売!鈴鹿8耐で身につければ、気合いと楽しさは倍増だ!  
「ヨシムラ SERT Motul」チームの応援グッズが発売!鈴鹿8耐で身につければ、気合いと楽しさは倍増だ!  
モーサイ
今年も猛暑! クルマの熱中症対策グッズは「6月」までに準備すべき理由 昨年は9万人以上が救急搬送されている
今年も猛暑! クルマの熱中症対策グッズは「6月」までに準備すべき理由 昨年は9万人以上が救急搬送されている
Merkmal
【特別試乗企画 メルセデスベンツ Eクラス ステーションワゴン×BMW 5シリーズツーリング 前編】きっとあなたも好きになる・・・イケメンワゴンが誘う理想の世界
【特別試乗企画 メルセデスベンツ Eクラス ステーションワゴン×BMW 5シリーズツーリング 前編】きっとあなたも好きになる・・・イケメンワゴンが誘う理想の世界
Webモーターマガジン
2号車キャデラックが降格/2024年WEC第4戦ル・マン24時間 スターティンググリッド
2号車キャデラックが降格/2024年WEC第4戦ル・マン24時間 スターティンググリッド
AUTOSPORT web
ついにヒョンデ 「アイオニック 5 N」発売開始! さらに”ドリキン土屋”監修のチューニングパーツも開発
ついにヒョンデ 「アイオニック 5 N」発売開始! さらに”ドリキン土屋”監修のチューニングパーツも開発
THE EV TIMES
F1ラスベガスGP、底力が試されるのは”第2回”? 初開催は成功裏に終わるも「どんなことからも学ぶことがある」
F1ラスベガスGP、底力が試されるのは”第2回”? 初開催は成功裏に終わるも「どんなことからも学ぶことがある」
motorsport.com 日本版
HKSからGT-R、86/BRZ、GRスープラ用フロアマットがリニューアルされて販売開始
HKSからGT-R、86/BRZ、GRスープラ用フロアマットがリニューアルされて販売開始
レスポンス
箱根のロング有料道路「値上げ」全線通ると普通車1000円超に 37年ぶり7月から 新割引も
箱根のロング有料道路「値上げ」全線通ると普通車1000円超に 37年ぶり7月から 新割引も
乗りものニュース
ホンダが「斬新 軽バン」発表! 荷室フラットで「快適車中泊」出来る? N-VANとe:では違いある?
ホンダが「斬新 軽バン」発表! 荷室フラットで「快適車中泊」出来る? N-VANとe:では違いある?
くるまのニュース
世界に1台しかないフェラーリ「テスタロッサ」タルガトップが5000万円からと激安の理由と製作したEBSとはなにもの?
世界に1台しかないフェラーリ「テスタロッサ」タルガトップが5000万円からと激安の理由と製作したEBSとはなにもの?
Auto Messe Web
3列シート 7人乗り、多彩なライフスタイルにフィットするSUV 電気自動車 メルセデス「EQB」を発売
3列シート 7人乗り、多彩なライフスタイルにフィットするSUV 電気自動車 メルセデス「EQB」を発売
AutoBild Japan
【悲報】 アバルト「F595」/「695」在庫一杯で国内販売終了のお知らせ 電動化の推進に伴い
【悲報】 アバルト「F595」/「695」在庫一杯で国内販売終了のお知らせ 電動化の推進に伴い
AUTOCAR JAPAN
ランボルギーニ公式コーヒー? 「ラヴァッツァ」とのパートナーシップ発表
ランボルギーニ公式コーヒー? 「ラヴァッツァ」とのパートナーシップ発表
レスポンス
「とても生産的」な学びを得たアロンソ。今季最多ポイント獲得のアストンマーティン/F1カナダGP
「とても生産的」な学びを得たアロンソ。今季最多ポイント獲得のアストンマーティン/F1カナダGP
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0838.0万円

中古車を検索
ゴルフ Rの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0838.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村