2024年10月30日、BMWの新型1シリーズが日本上陸を果たしました。ハイブリッド化をはじめ、待望のハンズオフアシスト機能搭載など、先進装備が目白押しの新型について紹介していきます。
モデル名から「i」が消えた意味とは?
2004年に初代1シリーズが登場してから20年、歴代1シリーズは扱いやすいボディサイズと高い走行性能が評価され続けているBMWビジネスを支える主力モデルです。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
4代目となる新型は、日本市場で「120」と「M135 xDrive」の2つのモデルが用意されています。
このとき、BMWをよくご存知の方であれば「あれ、120i/M135iじゃないの?」と気づく方も少なくないと思われます。
これまでモデル名の末尾にはガソリン車の「フューエル インジェクション」を意味した「i」が記されていました。しかし近年では「i4」「iX1」など、完全電気自動車(BEV)のモデル名にも「i」が使用されるようになったため、新型1シリーズの登場を皮切りに、名付け方を整理する運びとなりました。
1シリーズから変わっていく、という姿勢からBMW自身の1シリーズに対する意欲が感じられます。
最新世代のBMWデザインに則った「スポーティ顔」
新型1シリーズのエクステリアを見ると、BMWのシンボルであるキドニーグリルに、斜線が採り入れられています。これはジャパンモビリティショー2023でお披露目されたコンセプトモデル「ビジョン・ノイエ・クラッセ」を思わせる次世代デザインのひとつ。より精悍で、先進的な装いを表現しています。
サイドから見ると、BMWらしい「ロング・フロントノーズ」「ショート・キャビン」であることがわかります。このデザインマジックによって、前輪駆動ベースとは思えない伸びやかさを感じることができます。
リアは新型X2にも似た、4灯型テールライトが次世代デザインに移行したことを強く意識させます。そのほか「120」と記されたモデルバッチは「1」だけが大きくされたり、テールパイプが見えないシンプルなバンパー形状が用いられるなど、新型7シリーズや5シリーズにも通ずる「ニューフェーズ感」が演出されています。
と、新世代デザインの導入や伸びやかなシルエットが特徴の新型1シリーズですが、ボディサイズは全長4370×全幅1800×全高1465mmと、先代と比べてほとんどサイズ変更が行われなかったことにも驚きます。最近では新型の登場とともに肥大化・・・というケースが多々見受けられますが、1シリーズはBMWブランドでもっとも小さいモデルとしての意地(維持)を感じられます。
インテリアは物理ボタンがほとんど消えた!
インテリアに目を転じると、フル液晶のメーターとセンターディスプレイが一枚に繋がった「BMWカーブド・ディスプレイ」が採用されたことに気が付きます。またエアコンの操作パネルがなく、インパネまわりはとにかくシンプルそのもの。一方で夜間にはアンビエントライトでドライバーを包み込むなど、デジタライズに富んだ装いとなっています。
リアシートに関して先代からの変更はアナウンスされていませんが、いっそうスポーティなデザインを手に入れた新型1シリーズながら、大人が十分に収まるレッグルームとヘッドクリアランスが確保されていました。これは前輪駆動化されたプラットフォームを先代から引き継いだ恩恵のひとつといえます。
新型の特徴は装備の充実ぶり!ついにあの装備が1シリーズにも・・・
新型1シリーズの大きな特徴のひとつといえるのが、先進装備の充実ぶりです。
先代までは装備内容に関して、ライバル勢をリードするレベルとはいえず、さらに「先進装備や最新技術は3シリーズ以上から」というヒエラルキーを感じさせる内容であることは否めませんでした。
しかし新型はそれを覆すような先進装備が充実されています。
まずは待望の「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」が搭載されたことが大きなニュースです。これは1シリーズ以外ほぼすべてのモデルに順次搭載されてきたBMWの運転支援技術の要で、この度ようやくの採用となりました。
これは高速道路での渋滞時において、一定条件下でのハンズ・オフ走行が可能となるもので、属するCセグメント内では例を見ない先進装備です。したがってライバルに対する大きなアドバンテージとなるでしょう。
ほかにも「パーキング・アシスト・プロフェッショナル」が用意されていることにも注目です。これは、ドライバーが地点登録を行うと、当該駐車位置で自動駐車を行うことができる「マニューバー・アシスト」が搭載されていることがトピックといえます。
この搭載によって「リモート・コントロール・パーキング」が強化され、スマホアプリ「My BMW」を用いて、前述の自動駐車を「車外からスマホ操作」で遂行できる機能が追加されています。
新型7シリーズや5シリーズといったハイクラスモデルでのみ採用されてきたため、これを1シリーズにも持ち込んできたあたりは、やはりBMWの新型1シリーズへの意欲が伝わってきます。
こうした超最新といえる運転支援技術の搭載もさることながら、日本市場で先代モデルまで未搭載だったharman/kardon製のHiFiスピーカーシステムの採用や、納車後にオンラインで機能を後付け・更新できるサブスクリプションサービス「BMWコネクテッド・ドライブ・アップグレード」にも対応しています。
といったように、実用的な快適装備も充実しているところから、1シリーズの飛躍ぶりに驚かされます。
ハイブリッド機能を搭載した120、ハイパフォーマンスのM135
日本へ導入される新型1シリーズのラインナップは前述のとおり、エントリーグレードの120、MハイパフォーマンスモデルのM135 xDriveの2種類です。また120には日本でも人気の高い「Mスポーツ」を選択することができます。
120が搭載するパワートレーンは、1.5L直3ターボエンジンに48Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせており最高出力170ps、最大トルク280Nmを発生します。
ちなみにこれは先代の「118i」の1.5L直3ターボエンジンと比べて馬力で30ps、トルクで60Nmアップとなります。そのうえ、WLTCモード燃費は16.8km/Lと、先代のそれと比べて1Lあたり3.1kmも向上していることにも注目です。
M135 xDriveが搭載するのは、2L直4ターボエンジンで、こちらはノン・ハイブリッドモデルとなります。最高出力は300ps、最大トルクは400Nmと強力ですが、実はこの数値は先代の「M135i xDrive」と比べると6ps/50Nmのパワーダウンが図られています。
一方で燃費性能は0.5km/L向上していますから、より省燃費性が高められたパフォーマンスモデルへ進化した、といえるでしょう。
価格は478万円~と超戦略的!先代からわずか2万円高。
さて「超進化」を遂げた新型1シリーズ。気になるプライスは、478万円からとなります。
実はこの価格、先代118iの476万円からたった2万円差となります。さらに120 Mスポーツは498万円と、先代118i Mスポーツの516万円よりも18万円低い価格設定となりますから驚くばかりです。
さらにM135 xDriveは698万円と、先代のM135i xDriveと据え置きされていることから、新型1シリーズの価格設定は極めて戦略的といえます。
これまでどおりの扱いやすいボディサイズ、最新世代の内外装、ハイクラスと肉薄する先進装備、驚きのプライス・・・と、新型1シリーズは魅力度をグッと引き上げてきました。
対する競合勢は、年末にフォルクスワーゲン新型ゴルフの登場があり、メルセデス・ベンツのAクラスはフルモデルチェンジが噂されるなど、2024年~25年の輸入Cセグメントの勢いには今後も目を離せません。
が、新型1シリーズはコストパフォーマンス性に大変優れていますので、ライバル勢の新型登場を待たずに、買い替えの第一候補に挙げて損はないと思います。
BMW 120 主要諸元
●全長×全幅×全高:4370×1800×1465mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1460kg
●乗車定員:5名
●パワートレーン:1.5L直3ターボ+モーター
●総排気量:1498cc
●最高出力:115kW(156ps)/5000rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1500-4000rpm
●システム最高出力:125kW(170ps)
●システム最大トルク:280Nm(28.6kgm)
●駆動方式:FF
●WLTCモード燃費:16.8km/L
●車両価格:4,780,000円
BMW M135 xDrive 主要諸元
●全長×全幅×全高:4370×1800×1450mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1570kg
●乗車定員:5名
●パワートレーン:2L直4ターボ
●総排気量:1998cc
●最高出力:221kW(300ps)/5750rpm
●最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2000-4500rpm
●駆動方式:4WD
●WLTCモード燃費:12.5km/L
●車両価格:6,980,000円
[ アルバム : BMW 新型1シリーズ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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