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ダンプカーの後部下についている「お団子」…あれ、なに??

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ダンプカーの後部下についている「お団子」…あれ、なに??

 クルマで走行中、目の前を走るダンプカーやトラックの下に、直径70~80センチはありそうな、大きなお団子のような球体をみつけたことはありませんか?? ダンプカーやトラックが大きければ大きいほど、大きくなるこのお団子、いったいどんな役割をもつものなのでしょうか。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Paylessimages
写真:TOYOTA、SUZUKI

ダンプカーの後部下についている「お団子」…あれ、なに??

お団子の正体は、デフギアのケース

 この大きな「串に刺さったお団子」の正体は、ディファレンシャルギア(以下デフギア)が入っているデフケースです。冒頭で紹介したダンプカーの場合、エンジンの出力はトランスミッションやドライブシャフトを通じて、駆動輪である後輪へと伝えられます。その際、左右の駆動輪に動力を伝達し、駆動力を発生させる、という役割を担っているのがディファレンシャルギア(差動装置)です。

 ダンプカーがコーナーを曲がる際、後輪は、内側よりも外側のタイヤのほうが移動する経路が長いため、より多く回転することになります。このとき、後輪の左右輪が直結していると、外輪が地面を跳ねるようにスキップをおこすか、内輪がその場所でスリップしてしまい、スムーズに曲がることができません。この内外輪の回転差を吸収する構造をもつデフがあることで、滑らかに曲がることができるようになるのです。

GRヤリスのリアに搭載されているリアデフ。プロペラシャフトを介して伝達されたトルクは、デフギアを介して左右の後輪へと伝達される

普通乗用車にもデフはあるが、その大きさは小さい

 このように、デフはクルマがスムーズに曲がるためには必須のアイテムであり、普通の乗用車にももれなくついていますが、ダンプカーのような大きな球体はついていません。

 これは、ダンプカーと普通乗用車では、最大で運べる荷物の重さに大きな差があるため。最大で運べる荷物の重さに応じて、デフのサイズを大きくして、デフギアの強度を上げる必要があるのです。つまり「お団子=デフケース」は、最大積載量が大きいほど、大きなお団子になる、ということです。

  たとえば、スズキのJB64ジムニー/ジムニーシエラの場合、デフケースの大きさは、およそ直径20センチほど。トラックやダンプカーの半分以下のサイズです。なおデフケースの内部は、デフオイルで満たされており、デフが滑らかに作動するようにしています。

JB64ジムニーのサスペンション。リアサスペンションの中央にある丸い部分がデフケース

悪路でタイヤが空転しそうな場合は、止めてしまうことも

 ただデフは、「悪さ」をすることもあります。例えば、ぬかるみ路やデコボコの道、凍結路のようなタイヤが滑りやすい悪路で、駆動輪の片方がスリップしてしまうと、駆動輪に駆動トルクが伝達されず、タイヤが駆動力をかけることができなくなり、スタックしてしまいます。

 そうした事態を防ぐため、トラックやダンプカーは、事前にデフの作動を止める「デフロック」という機能を使います。デフロックをすることで、負荷が少ない駆動輪が空転することなく、悪路を走破する可能性が上がります。ただし、通常走行のスムーズな旋回は阻害されますので、デフロックは必要に応じて起動させる必要があります。

 また一部のスポーツカーには、デフの効きをコントロールするための、リミテッドスリップデフ(LSD)という駆動装置がついている場合があります。例えばGRヤリスの場合だと、ジェイテクト製のトルセンLSDがついています。トルセンLSDとは、旋回時に左右輪のトルクを最適に配分する狙いで、へリカルギヤを介して差動を制限し、加速するさいのタイヤスリップによる失速を防ぐ装置のこと。その動作メカニズムは割愛しますが、巧みに考え抜かれたメカ技術としても有名です。

GRヤリスのリアデフに装着されている、ジェイテクトのトルセンLSD。旋回時に左右輪のトルクを最適に配分する駆動装置「LSD(リミテッドスリップデフ)」のひとつで、ヘリカルギヤを介して差動を制限し、加速するさいの失速を防ぐ装置のこと

◆      ◆     ◆

 ほかにも、トラックやダンプカーには、普通乗用車とは異なる、面白い機構があります。また機会をみてご紹介したいと思います。

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